アメリカ・ハワイに長期滞在したい人むけに、ビザ別の税務上、気をつけるべきポイントを 山田&パートナーズ社の遠藤先生に聞く。
ハワイはアメリカの中でも「長期滞在したい」「親子留学したい」「短期留学したい」「日本とハワイを行ったり来たりする生活を送りたい」など さまざまな理由で、日本人の方に人気がある場所。そしてそれぞれの滞在理由に合わせて取得するビザが変わってくる。
そのビザの種類によって、日本とアメリカそれぞれでの税務上の気を付けるべきポイントが変わってくることを、税理士の観点から遠藤先生が指摘する。
ハワイ長期滞在を検討する方へ ― ビザ別に見る日米税務の重要ポイント
山田先生:
ハワイは、さまざまな目的で長期滞在したい方からの相談が多いユニークな州です。 長期滞在のためには目的に合ったビザの取得が必要ですが、見落とされがちなのが、取得するビザによって、税務にも影響が出てくることです。 どのビザを選ぶかによって、日本とアメリカそれぞれでの税務上の居住者判定が変わり、課税範囲や申告義務が大きく変わることがあります。
場合によっては、日本の出国税や、将来的なアメリカのエグジット・タックスまで関係してきます。 ここからは、ハワイ滞在でよく出てくるパターンを整理しながら、税務上の注意点をお話しします。
Fビザ(学生ビザ)の場合
アメリカに留学する際、一般的に取得するのがFビザです。
お子さんがF1ビザを取得し「単独留学」するケースだけでなく、ハワイで特徴的に多いのが「親子留学」のケースです。この親子留学には、厳密には3種類あり、F1ビザで留学する子の保護者として親はF2ビザで簡易な留学をするケース、F1ビザで留学する親の子として子がF2ビザで留学するケース、親子ともF1ビザで留学するケースです。
それぞれ要件が異なり、例えば子が21才以上で親子留学する場合は親子でF1ビザ取得の選択肢しかありません。 親子留学では現地生活の面で資金的な余裕が必要ですが、そこで気になるのが税務です。
米国側はF1ビザやF2ビザは滞在日数にかかわらず「米国非居住者」になります。米国非居住者は米国所得税不要という意味ではありません。米国所得があれば申告が必要ですし、例えば、日本法人のリモートワーク等で日本給与をもらっている場合は、米国所得として米国所得税申告が必要になり、日本側との二重課税を軽減するため日本所得税側で外国税額控除の対応も必要となります。
また、日本側では留学中の生活の本拠が日本にある状態であれば、日本所得税上は「日本居住者」として扱われるため、最近よく話題になる日本の国外転出時課税についても通常は問題になりません。ただし、留学に際して実際に米国に転居する場合は、日本側が「日本非居住者」になってしまい、日本の国外転出時課税の検討が必要になってしまいますので注意が必要です。
Eビザを用いた教育移住の場合
次に増えているのが、親御さまがハワイで会社を設立し、駐在用のEビザを取得して、家族で移住するというケースです。子が21才未満であれば、Eビザの家族帯同ビザが発行されますが、子が21才以上の場合は、家族帯同ビザの対象外のため、Fビザなどを子は個別に取得する必要があります。いずれの場合も親にとっては現地法人の経営が必要となりますので、その点は留意が必要です。なお、米国税務上ではEビザは日数により居住者判定を行います。米国居住者と判定されると日本所得も米国所得税の課税対象となり
子の大学卒業後に米国に残りたい場合
お子さんが米国の大学を卒業した場合などでは、OPTという実習
なお、このOPTの期間は、
グリーンカード(米国永住権)を用いた移住の場合
グリーンカードは、米国で居住も就労も可能です。ただし、
なお、米国永住権は、取得の8年目又はそれ以降に放棄すると米国出国税
まとめ:ビザによって変わる「税務設計」は長期的観点で
ハワイ滞在は魅力的ですが、税務の観点では「どのビザで、どのステイタスになり、どの国で何が課税されるのか」を最初に整理しておくことが重要です。
Fビザは比較的シンプルに見えますが、長期化すると居住者判定が変わってくる可能性があります。Eビザは全世界課税と日本の出国税が焦点になります。グリーンカードは取得後の生活だけでなく、将来帰国する際のエグジット・タックスまで視野に入れておく必要があります。
どうしても、アメリカへの移住や長期滞在を考えるとまず「どうやったら住めるか、ビザが取れるか」というビザ関連の法務にフォーカスしてしまいがちです。しかし私は、ビザと同じくらい、上で解説してきたような税務設計を同時に行うことが重要だと考えています。とくに資産をお持ちの方はその状況、ご家族の将来計画、日本に残す事業や投資、帰国の可能性まで含めて整理すると、想定外の税務コストを避けられるケースが多いからです。
ハワイへの移住、長期滞在、留学などを検討中の方は、ぜひ日米にまたがるクロスボーダー税務について、山田&パートナーズ社にお早めにご相談ください。


