2024年1月1日から報告書の提出が義務化される
企業透明化法(CTA)とは?
米国連邦政府は、2021年1月1日に、企業透明化法(CTA)を制定しました。この法律は、国防権限法の一環として導入され、マネー・ローンダリング、税務詐欺、テロ資金供与などの違法行為を防ぐことを目的としています。CTAに基づき広範な法人は、所有者や支配者を特定する報告書を米国財務省の金融犯罪捜査網(FinCEN)に提出する義務があります。この義務は2024年1月1日に発効し、それ以降に設立される法人は即座に、既存法人は2025年1月1日までに報告書を提出する必要があります。
CTAはこれまで規制されていなかった企業に対し、所有権の総合的な追跡を目指すものです。法人のコンプライアンスは所有者ではなく法人自体に課せられ、既存法人や休眠法人も対象となります。報告に問題のある法人は早急に対策を講じる必要があります。この要件に対処し、遵守するために、関係者はCTAの適用について理解し、報告期日に向けて準備することが重要です。
なお、この記事は法的助言ではなく、法的な助言やサポートが必要な場合は、別途専門家に相談することをおすすめします。
CTA報告要件の概要
報告義務の対象となる会社(報告会社)とは?
現地法人である報告会社(Domestic Reporting Company)
小規模かつ規制の対象外の企業が報告書提出の対象であり、「報告会社」には現地法人と外国法人が含まれます。現地法人は、米国内や米国領・インディアン部族の法律に基づき、州務長官などの登記当局に所定の書類を提出して設立された法人を指します。
例えば、ハワイ州の登記当局である商業消費者局(DCCA)に「Articles of Incorporation」を提出したcorporation、または「Articles of Organization」を提出したLLCは、報告会社に該当します。また、ハワイ州の場合は、Corporation、LLCに加え、limited liability partnerships、limited partnerships、general partnershipsが含まれます。
外国法人である報告会社(Foreign Reporting Company)
米国の法律の下で、登記当局に外国法人として登録した、あるいは登録される米国外で設立された株式会社、合同会社等を指します。
例えば、ハワイで事業を営むために、日本で設立された株式会社を外国法人としてDCCAに登録された場合は、報告会社に該当します。
「報告会社」に該当しない法人とは?
CTAは、報告義務から免除される法人(適用除外会社)をリストしています。その中には、大手事業会社、特定子会社、上場会社、休眠法人、政府当局、銀行、信用組合、マネーサービス事業、ブローカーディーラー、有価証券報告書発行者、証券取引法下の登録法人、投資会社または投資顧問業者、ベンチャーキャピタル・ファンド顧問業者、保険会社、商品取引法下の登録法人、非課税法人や非営利法人等が含まれます。
上記に加え、特定のプールされた投資ビークル(Pooled Investment Vehicle)は、銀行、信用組合、ブローカーディーラー、連邦法の下に登録された投資顧問業者、ベンチャーキャピタル・ファンド顧問業者等の適用除外会社に運営あるいは助言されていることを前提に、適用除外とされます。但し、適用除外会社に該当するPooled Investment Vehicleが米国で登録された外国法人である場合は、当該法人の実質的支配者の情報をFinCENに報告する必要がございます。
なお、適用除外会社に該当しなくなった法人は、その日より30日以内に報告書を提出する義務があることに留意する必要があります。