アメリカではさまざまなテック系の企業からの新商品発表や大型イベントが重なる9月は「Techtember(TechとSeptemberを繋げた造語)」とも呼ばれている。ハワイでもTech系イベントが目白押しの9月となっている。
ハワイといえば観光業や不動産業のイメージが強いが、州をあげてテックやベンチャーのエコシステム作りに注力している。
Honolulu Tech Week ホノルルテックウィーク
2024年より始まったホノルル・テック・ウィークは、ハワイ最大規模のテクノロジー関連イベント。2025年は9月8日から14日までの1週間にわたり開催されている。会場はホノルル市内各所に分散し、コワーキングスペース、大学キャンパス、公共施設など20以上の拠点が利用される予定である。主催はHonolulu Tech Week運営事務局であり、ハワイ州技術開発局(HTDC)や民間スポンサー、ベンチャーキャピタル、主要テック企業が広く支援している。テーマは「Where Tech Meets Hawaiʻi」。地元社会の課題解決とグローバル市場を見据えた技術革新を同時に推進することを目的としている。
会期中は50件以上のイベントが企画され、AI、クラウド、起業、観光テック、海洋テック、農業テック、セキュリティ、メディカルなど幅広い領域におけるテック活用に関して、パネルディスカッション、ピッチイベント、ワークショップ、ネットワーキングセッションなど多岐にわたって行われる。起業家、エンジニア、投資家、政策関係者、教育機関、学生、クリエイターなど約3,000人規模の参加者が見込まれている。
第4回ハワイAI&クラウド・イノベーション・サミット
Presented By Google
「第4回ハワイAI&クラウド・イノベーション・サミット」が、2025年9月10日(水)にハワイ・コンベンションセンター(ホノルル)で開催された。主催はハワイ州ビジネス経済開発観光局(DBEDT)およびTRUE Initiative。Googleの公共セクター部門がスポンサーとして参画する。
大きなテーマとして「AIとクラウドの実装」を掲げ、サイバーセキュリティ、データ民主化、ワークフォース開発、官民連携によるサービス改善また中小企業のAI活用など実務的課題にフォーカス。単なる理論的議論ではなく、具体的なユースケースや導入事例を共有することを通じて、参加者が翌日から活用できる知見を提供し、多くの参加者を集めた。
Blue Startups “Honolulu Demo Day”
Blue Startupsはハワイを代表するアクセラレーターであり、毎年開催される「デモデイ」はハワイのスタートアップ・エコシステムにとって最大の注目イベントの一つである。2025年は9月12日(金)17時から20時まで、カカアコ地区のEntrepreneurs Sandboxにて開催される。ホノルル・テック・ウィークの公式プログラムの一部として実施される。選抜されたアントレプレナーたちが成長を目指すCohortと呼ばれるプログラムに参加。このCohortも17期目となっている。このデモデイは「Cohort 17期メンバーの最終ピッチ」であり、12週間にわたるメンタリングとトレーニングを受けたスタートアップ創業者たちが、自らのプロダクト、サービスなど投資家や業界関係者に披露する。
対象領域はトラベルテック、AI、SaaS、ゲーム、サステナビリティ、ヘルスケアなど幅広く、特にハワイならではの観光・環境課題と結びついた事業も多い。投資家、事業会社、ベンチャーキャピタル、メディア、起業志望者らが参加対象であり、ピッチ終了後にはネットワーキングセッションが設けられ、参加者間での資金調達や事業連携の可能性が活発に模索されることが期待される。
ハワイ経済を活性化する新しい技術を持ったスタートアップ、とくにハワイの地域性ならでは課題を解決する再生エネルギー、海洋や農業テック、メディカルテックなどに対しては投資や誘致にも積極的なハワイ州。 ハワイはアメリカ本土を目指す際のパイロットテストを行うのに適したアメリカの州のひとつ。日本のベンチャーキャピタルやアントレプレナーにとって、テックの面からもハワイに注目していただきたい。