ハワイでビジネスをする日本人は知っておきたい !
ハワイと日本の文化・商習慣の違いとトラブル回避策
早川先生:
ハワイで日本人がビジネスをするケースは年々増えています。私も飲食、小売、不動産、サービス業などさまざまな日系のクライアントと接しています。その中で感じるのは、日本人にとってハワイは親しみやすい場所である反面、ビジネス文化や商習慣の違いが想像以上に大きいことです。知らなければ訴訟トラブルにもなりかねないさまざまな違いを弁護士の観点からお伝えします。
日本とハワイの違いが大きく出る、職場のコミュニケーション。
まず多くの日本人オーナーが戸惑うのが、職場でのコミュニケーション。とくに上下関係の感覚の違いです。
ハワイの職場では、従業員が上司をファーストネームで呼ぶのは当たり前。上司と部下の間でも、まるで友達や家族のようにリラックスしたムードで働くのが一般的なハワイスタイルです。これはハワイの文化的な魅力でもあるのですが、日本の厳格な指示命令系統や上下関係の常識に慣れた方にはカルチャーショックかもしれません。
このような違いから問題になりやすいのが、日本人オーナーやマネジャーからの高圧的なマネジメントです。日本の職人的な世界では指導方法の一つとしてみられることのある、厳しい口調、上からの叱責、感情的になって声を荒げることなどは、ハワイの従業員には驚きで、逆の意味でのカルチャーショックとなります。日本人にとっては「この程度で?」と思うことも不満や退職の引き金となってしまいます。
ハワイの労働市場はいわゆる「employee market(求職者有利の市場)」です。仕事を見つけること自体は比較的容易なので、短期間で職場を変えることへの抵抗がなく、転職しながら給与アップをしていくのが一般的なキャリアの積み方です。つまり、従業員は日本に比べて転職や退職に対する心理的ハードルが低いと思っておいたほうがよいです。
だからこそ、ローカルスタッフをうまくマネジメントするためには、ローカルの文化を理解することが不可欠です。日本人オーナーとローカルスタッフの間に、日米バイリンガルのミドルマネージャーに双方の橋渡し役を務めてもらうことが、現実的かつ有効な解決策になるケースもよく見られます。
日本では「冗談」でも、ハワイでは「訴訟」になる。
差別とハラスメント
日本でも近年、女性に対する性差別的な発言は問題視されるようになってきましたが、アメリカではさらに幅広く、「性別・国籍・人種・年齢」などに基づく差別を法律で厳しく禁止されています。これは特に注意していただきたい点です。「〇〇人だから」「もう〇〇歳だから」といった発言は、たとえ悪意がなく、冗談のつもりであっても、職場では絶対に避けてください。
さらに盲点になりやすいのが、見た目や体型に関するコメントです。「太った・痩せた」「肌の色」など日本では比較的よく話題にあがるこれらの言葉が、アメリカでは「hostile work environment(敵対的な職場環境)」を形成したとして訴訟に発展することがあります。これらの発言は、必ずしも経営者や上司本人が行ったものである必要はなく、同僚同士のやり取りであっても、管理職や会社がそれを黙認・放置した場合には責任を問われる可能性があります。差別とまではいえなくても、職場全体として相手に精神的な苦痛を与える環境であったと判断されれば、法的責任が生じることがあるのです。
もう一つ気をつけていただきたいのが、身体的な接触です。アメリカでは握手やハグの文化など、体を接触させての挨拶の機会が多いです。お互い合意の上で行う分には構いません。しかし相手の同意なく体に触れることは法的に問題になり得ます。
肩を抱いたり、励ましの意味で体をポンポンと叩いたりといった行為は、親愛の情からであったとしても、相手が望んでいなければNGとなります。職場においては特にリスクが高いので、よく分からない状況では意識して避けておくのが安全です。
「ハワイアンタイム」に気をつけて!
日本的なスケジュール感でものごとは進まない
ハワイのもう一つの大きな特徴が、時間感覚の違いです。なんでもゆっくりしか進まない、通称「ハワイアンタイム」です。
日本人は計画をしっかり立てることが得意です。我々のところにご相談に来られる方の中にも「プランとして、法人設立、商業リースの締結、ビジネスオープンまでこのくらいの期間で行いたい」としっかりスケジュールを決めている方が多いです。しかし、そのスケジュールに進むことはほぼない、だいたい予定よりも遅れると思っておいてください。
例えば、店舗のリノベーションを伴うビジネスであれば、ある程度準備を進められる部分があるとはいえ、建築許可(Building Permit)の取得だけでハワイでは6ヶ月から1年、場合によってはそれ以上かかることもあります。内装工事のコントラクターに工期を確認しても、「〇ヶ月で終わる」と言われたら、その1.5倍から2倍の時間がかかると思っておいた方がよい、というのが自分の感覚です。
このハワイアンタイム、商業リースにおいては特に注意が必要です。甘い見込みで契約を締結すると、ビジネスがスタートしていないのに家賃だけが発生するいわゆる「カラ家賃」状態になってしまいます。リース締結の際は遅れの可能性を考慮した上で、「ビジネスがスタートしてから家賃が発生する、または締結から一定期間は家賃発生なし」という条件を交渉することが非常に重要です。また、一度契約してしまった後でも、状況によっては再交渉が可能なケースもあります。
メールの返信ひとつとっても、この時間感覚の差は出ます。日本では24時間以内の返信、返信がなければ2日後にはプッシュするというのは当たり前ですね。ですが、状況にもよりますがハワイでは1週間後にフォローアップするくらいが自然なペースです。催促のメールを頻繁に送ると「やたら急かしてくる人」という印象を持たれてしまい、むしろ関係が悪化することもあります。どうしても期限がある場合は、その旨を伝えた上で、「〇〇日までにご返信をお願いします」と具体的な日付を明記するのが有効な対処法です。
まとめ
私は日本人の両親の元、ハワイ生まれでハワイで育ちました。そしてビジネスと訴訟の両面において、日米バイリンガルの弁護士として数多くの日本企業のクライアントをサポートしてまいりました。それゆえに「日本で成功したやり方」をそのままハワイに持ち込むと、思わぬ落とし穴にはまることがある、という事例もたくさん見ています。
コミュニケーションスタイル、ハラスメントの基準、時間感覚など、どれも「知らなかった」では済まされないリスクがあります。これらをあらかじめ理解した上でビジネスに臨むことが、ハワイでの成功への第一歩だと私は思います。何かお困りのことがあれば、ぜひお早めにご相談ください。
共同代表の早川弁護士も登壇!
「ハワイ不動産・ビジネス進出・移住セミナー」in 大阪
2026年6月20日(土)に大阪で開催される「ハワイに住む」主催「ハワイ不動産・ビジネス進出・移住セミナー」において、アドビス法律事務所の早川太基弁護士が講師として登壇される。
またこのセミナーの参加者に限り、セミナーのブース会場にて早川先生に無料相談が可能という大きな特典付き。さらにセミナー参加者の全員への豪華なハワイからのお土産(ホノルルクッキーなど)付き。
ADVIS (アドビス)法律事務所 早川 太基 弁護士
テーマ:
“憧れのハワイ”!ハワイ移住とビジネス、どちらも成功させるには?
ハワイ出身弁護士が教える現地戦略
セミナーの詳細・お申し込みはこちらから↓

早川太基弁護士は、M&A案件、商業リース交渉、企業法務など幅広い分野で日本およびハワイの企業を支援している。さらに、ハワイでは数少ない日本語対応可能な弁護士として、民事訴訟・紛争解決、保険適用に関する案件にも取り組んでいる。日本語・英語の双方に精通し、多国籍文化が交差するハワイという特殊な環境で、日本文化を理解する家庭に育った背景を活かし、ハワイ進出を目指す投資家や企業の力強いパートナーとなっている。 前職では数多くの民事訴訟案件を担当した経験を持ち、商取引や契約書作成においても、将来的な紛争の可能性や訴訟で争点となり得る法的論点を見据え、紛争予防と解決の両面からリスクを最小限に抑える戦略的アドバイスを提供してきた。 2022年7月、「質の高いカスタマーサービス」と「専門性の高い法務知識」を最優先に、クライアントと同じ目線に立つ弁護士であり続けることを理念に掲げ、マロッツ弁護士と共にADVIS法律事務所を設立した。



.png)
