ハワイで低所得世帯などの家賃を補助する連邦制度への支出が、2003年から2024年にかけて約3倍に増えた一方、支援を受ける世帯数の増加は約2割にとどまった。ハワイ大学経済研究機構(UHERO)が9月16日に公表した報告書によると、家賃の上昇で1世帯当たりに必要な補助額が増え、予算の増加が支援対象の拡大につながりにくくなっている。
この制度は「住宅選択バウチャー」と呼ばれ、一般には「セクション8」の名称で知られる。利用世帯が民間の賃貸住宅を借り、所得に応じて家賃の一部を負担し、残額を一定の基準内で政府が補助する仕組みだ。自己負担は原則として、控除などを反映した所得の約30%が目安となる。
報告書は、米住宅都市開発省(HUD)の2003〜2024年の行政データを分析。主に、入居者が民間市場で住宅を選ぶ一般的な家賃補助の仕組みを対象とした。この枠組みに対する2024年の連邦政府の支出は約1億7000万ドルで、物価上昇の影響を除いても2003年比で約7割増えている。
1世帯当たりの月額補助は、同期間に平均約560ドルから約1400ドルへ上昇した。利用世帯の所得が伸び悩むなか、家賃の値上がり分を政府の補助で賄う構造が、支出増加の背景にある。
入居者の自己負担額(オレンジ)はほぼ横ばい。出典:UHERO
支援が届く範囲にも限界がある。特定の対象者向けなどの枠組みを含めると、2024年に州内で住宅バウチャーを利用していたのは約1万2000世帯で、賃貸世帯全体の約7%に相当する。一方、所得要件を満たす賃貸世帯のうち、実際に利用できているのは約5世帯に1世帯と推計された。所得条件を満たしていても、予算や支援枠の制約から、すべての世帯が補助を受けられるわけではない。
利用世帯の高齢化も進んでいる。分析対象のうち、62歳以上の人を含む世帯の割合は、2003年の17%から2024年には38%へ上昇した。年金などを主な収入とする世帯は所得を増やすことが難しく、支援が長期化しやすい。報告書は、高齢者の住まいを支える制度の役割とともに、支援終了によって新たに生まれる受け入れ枠が限られる状況を指摘している。
対応策として報告書が挙げるのは、住宅供給の拡大による家賃上昇の抑制と、就労可能な利用者への職業訓練・教育支援だ。既存の利用世帯の住居を維持しながら、支援を必要とする新たな世帯にも制度を広げるため、賃貸市場と利用者の所得の両面から取り組む必要があるとしている。
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