2020年後半、アメリカのビザ取得事情はどのように変わるのか?6月24日の大統領令を解説

2020年後半、アメリカのビザ取得事情はどのように変わるのか?6月24日の大統領令を解説

更新日 2020.07.14

今回の移民の受け入れ停止の大統領令はすでに4月22日発令され、当初6月24日までの予定だったものが、12月31日までに延長された形である。

ハワイの移民法弁護士、ミチコ・ノーウィッキ弁護士に、この大統領令の解説、また2020年後半のアメリカのビザ取得についての見通しをインタビューした。


 

ミチコ・ノーウィッキ弁護士


 

ミチコ・ノーウィッキ 弁護士
移民法を専門に永住権からビジネスビザ まで扱う弁護士。会社設立、ビザ取得など米国進出に伴うサポートも行う。日英バイリンガルで日本語での相談も可能。

アイナ法律事務所
1580 Makaloa St. Suite 945
☎808-380-3075 
www.ailovisas.com

今回、6月24日に発令された大統領令の主要なポイントは以下のようになる。

  • 1. 米国外からの移民(グリーンカード保持者)の受け入れ停止を12月31日まで延長

    ※ 対象外:
    米国内でグリーンカードを申請中の外国人
    米国市民の配偶者・子供
    既にグリーンカードを所持している人
    医療従事者やエッセンシャルワーカー
     
  • 2. 特定の非移民ビザ(H-1B, H-2B, L-1, 一部のJ-1ビザカテゴリーと帯同家族)の入国を一時停止

    ※入国の一時停止は、以下の2つの条件に該当する方にのみ適用される 
    6月24日時点で、米国外に滞在している。
    6月24日時点で、有効な非移民ビザ(または他の渡航許可等)を保持していない

補足をすると、新規の移民ビザ(グリーンカード)の中には取得の背景が色々あるため、「対象外」となる人が設定されている。アメリカが必要する医療などのエッセンシャルワーカーは受け入れ、またアメリカ人と結婚する人やその子供も受け入れるが、それ以外の人は受け入れられなくなる。

また、非移民ビザの中の、Hビザ=専門職の就労ビザ(雇用主がスポンサーとなって取得)、Lビザ=駐在員ビザ、Jビザ=合法的にアメリカ企業で働くことができる交流プログラム(ワーホリ的な)ビザに受け入れ制限がかけられた。

ミチコ先生は下記のように解説する。

「このように長期間、移民や非移民の受け入れを停止する、というのは長く移民弁護士をやっている自分から見ても見たことのない非常事態です。
 

今回の大統領令の大筋は、”いま国外にいて”、”これからビザを取ろうとしている人”、そして”アメリカ人の雇用を奪う可能性がありそう”な人にストップをかけた形です。
 

というのも、今回の大統領令は、トランプ大統領が大統領選挙で再選を果たすために、失業にあえぐアメリカの労働者層にアピールする材料として打ちだしたもの。

今回の大統領令では適用にならなくても、”アメリカ人の職を奪う可能性があるとみられる”あらゆるビザに、今後規制がかかっていったとしてもおかしくはありません。

今後、大統領選の趨勢次第では、追加の大統領令が突然発令される可能性もあり得ます。」
 

「今回の大統領令で対象とならなかったビザ、例えば投資家向けのEビザなども、審査が厳格化する可能性があります。投資した本人の分は発行されるけれども、その下のマネジメントの方の分は下りない、などの動きが今後起こってきてもおかしくありません。つまり、現地のアメリカ人を雇用すればよいではないか?という観点で、承認がされづらくなるのではと懸念しています。」

「ビザ取得のプロセスでは、移民局が書類審査の上で承認し、その承認通知をもってアメリカ大使館で面接を行い、パスした場合にパスポートにビザスタンプを押されて(またはグリーンカードが発行されて)ようやく正式にアメリカに入国できることになります。

実は、移民局は国土安全保障省の管轄、大使館は国務省の管轄と、管轄が異なります。

今回の大統領令で発表されているのはビザホルダーの入国です。

なので、移民局がビザ申請を承認したとしても、大使館でスタンプを押してもらえない、といった事態もあり得るのです。

現在ビザを持っている方たちの更新は大丈夫なのだろうか? 聞いてみた。

「先ほど申し上げたように、大統領令が発令されるときは、突然ですので、現在アメリカにいる移民・非移民ビザホルダーの方たちに対しても、少なくとも今年いっぱいは不要な入出国は控えたほうがよい、とアドバイスしています。

基本的にアメリカ国内にいる限り、更新がすぐできなくても滞在許可証だけを延長するなど、取れる方法が見つかる可能性があります。また新型コロナウィルスの影響により、失業や一時帰休を余儀なくされている人、雇用主の経営状態が悪化した人、などなど、思いがけない状況になっている方も多いですね。また今のように状況が刻々と変化する中では、正しいこともデマも飛び交いがちです。

私をはじめ、移民弁護士は初回の無料相談を受け付けている人も多いので、不安がある人は早めに弁護士にご相談してみられるのをお勧めします。

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