Eビザを取得してハワイへビジネス進出&移住をした場合、
ハワイの家は購入すべきなのか?賃貸にすべきなのか?
モルート タックス&コンサルティング:
日本でビジネスをお持ちの方が、アメリカに法人を設立・事業投資して、ご自身とご家族でEビザを取得して、ハワイに移住する場合のケースの住まいをどうするかについて考えます。
会社名義、個人名義、購入する、借りる、いろいろなケースが考えられますが、結論からいって、正解はありません。日本・アメリカ、それぞれの法人としての収支、また個人として給与と納税額の観点から、どちらの国でどのような形を取るのがトータルで税効率としてベストなのか、またそれが希望していたライフスタイルに合うのか、などそれぞれの法人、個人の状況に応じてベストの形が変わるからです。
ハワイにビジネスのために移住する投資家ビザ(E2ビザ)の期限は基本的に5年になりますので、まずそれを念頭において、住む場所についても5年タームで考えていくのが良いと思います。
アメリカには「借り上げ住宅」の仕組みはない
住宅費部分は「人件費」「給与」になる
まず、日本とアメリカの大きな違いなのですが、そもそも、アメリカには日本でいう「社宅」という概念がありません。日本のように会社が借り上げた物件を無料や格安で提供し福利厚生の一部とする形は一般的ではありません。
アメリカ法人の税務処理上では社員に住宅を提供した場合、住宅費相当部分は「人件費」扱いになります。または住宅手当として会社が社員に支払った場合も同じです。
逆に、住む側の個人にとってはこの住宅費部分は「給与」となります。アメリカの収入として、W-2(源泉徴収のための収入を提示する税務フォーム)で年度末にはタックスリターン(確定申告)で申告する必要があります。会社が契約した物件が高い場合、Eビザ取得者の給与も高くなり、最終的な納税額も上がる点も注意です。
法人で購入、個人で購入したハワイ不動産に住む場合の注意点
ハワイでの不動産購入時のプロセスは、アメリカ・日本、どちらの法人でも個人でも、大差ありません。
日本法人がハワイで購入・所有している不動産にEビザ取得者が住む場合には、ハワイ不動産の建物価値を日本側の税制に合わせて減価償却できるので、日本側の経費として通算してトータルでの節税につながる可能性があります。
では個人としてハワイ不動産を取得して、ハワイ滞在期間中、持ち家に住むという場合。
もしも5年後にEビザを更新せずに帰国するとなった場合、ハワイ不動産を帰国時に売却することもシナリオとして有りえますね。
その場合、過去5年間のうち、2年間以上をその場所を主たる居住地として住んでいれば売却時の家の価格が値上がりしていても、個人で最高$25万ドルまでキャピタルゲイン税が控除されます。ご夫婦で購入した場合は最高50万ドルまで控除されます。逆に2年以下しか住んでいなかった場合、キャピタルゲイン税の控除が受けられなくなるので、ご注意ください。
ハワイと日本を行ったりきたりして仕事をされる方は、どちらの国に何日ずつ住み「主たる居住地」であることを証明するかなど、Eビザ取得後のライフスタイルをプランする際には、将来的な税のことも加味しておくことをおすすめします。
ハワイの自宅をオフィスとして利用する場合の注意点
また、特にハワイでの事業の立ち上げ初期に、オフィスを借りるほどでもない場合、自宅をオフィスとして利用する人もいらっしゃるでしょう。
自宅の一部をホームオフィスとして利用する場合に、家賃や光熱費などを按分して費用計上することはできます。
ただしその場合には、まるまる一部屋をオフィス専用スペースとして使うというのが原則です。昼はオフィスとして使い、それ以外の時間はリビングやベッドルームとして利用するとか、キッチンの一角をオフィススペースとして利用するといった用途では認められません。その上で、オフィス専用スペース部分が全体広さの30%だとしたら、30%分の家賃や光熱費を按分して計上するという仕組みです。
Eビザ取得して、ハワイへ移住、または半分移住する方の場合、このように法人と個人、また日本とアメリカ(ハワイ)のいろいろな要素を勘案して、会社設立の段階から長期的視点で考えていくことをおすすめします。
アメリカでの税務、ビジネス進出サポートなどのコンサルティングを行っています。ぜひご相談ください。