ホノルルリアルター協会による 2025年11月のマーケットレポートサマリー
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- 戸建ての中間価格は1,100,000ドルで、前年同月比1.3%減
- 戸建ての販売数は241件(前年同月203件)で18.7%増
- 戸建ての売出期間中央値は27日で、前年同月の24日から3日延びた
- コンドミニアムの中間価格は487,450ドルで、前年同月比8.0%減
- コンドミニアムの販売数は316件(前年同月341件)で7.3%減
- コンドミニアムの売出期間中央値は40日で、前年同月の32日から8日延びた
ここから、それぞれの主要な指標について見ていく。
中間価格
(チャートは緑のラインが戸建て、黄色のラインがコンド。以下のチャートはすべて同じ)
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2025年11月の戸建て住宅の中間価格は1,100,000ドルで、前年同月の1,115,000ドルから小幅に下落を見せた。先月の1,162,500ドルと比べてもやや下落しており、価格の上昇の一服感が見られる。
一方で、2025年の年初来累での中間価格は1,141,500ドルと前年同期間比3.8%増となっており、年間を通してみると戸建て価格は依然として緩やかな上昇トレンドにある。
コンドミニアムの中間価格は487,450ドルで、前年同月の530,000ドルから8.0%の下落となった。50万ドル台以上の価格帯で取引が減少し、10万~30万ドル台の低価格帯の成約が増えたことが、全体の中間価格を押し下げる要因となった。
2025年の年初来累計で見ると、コンドミニアムの中間価格は507,750ドルと前年同期間比0.4%の微減でほぼ横ばい。短期的には調整局面だが、長い目で見ると大きく崩れているわけではなく、安定したマーケットを保っている。
価格帯別の販売件数
戸建て市場では、価格帯別の動きに大きな差がみられた。80万~89万9,999ドルの価格帯では、成約件数が前年同月の14件から33件へと2倍以上に増加。200万ドル以上の高価格帯でも、成約が16件から34件へと大きく伸びており、富裕層・ハイエンド層の需要が引き続き強いことがうかがえる。
一方、需要の高い90万~約110万ドルのレンジでは、在庫が前年同月比で25%減少しており、実需層に人気の価格帯で供給がややタイトになっている。希望条件に合う物件を見つけた場合、資金計画を早めに整えておくことが重要になりそうだ。

コンドミニアムでは、15万未満、15万〜40万ドル未満といった低価格帯で販売件数がそれぞれ伸び、エントリー層や投資目的の需要の強さが際立った。一方、40万ドル台、50万ドル台という中間価格前後の価格帯では減少が見られ、特に50万ドル台は前年同月36%減をという最大の落ち込みを見せた。

売出期間
売出しから成約までにかかる日数を見ると、全体として「じっくり時間をかけて売買する」傾向が続いている。

戸建て住宅の売出期間中央値は27日で、前年同月の24日から3日延びたものの、1カ月前後での成約ペースは維持されている。競争が非常に激しかった数年前と比べると落ち着いているが、条件の良い物件は引き続き比較的早く売れるものもあり、差が激しい。
コンドミニアムの売出期間中央値は40日で、前年同月の32日から8日増加。特に中価格帯以上の物件では、価格調整や条件見直しを行いながら買い手を待つケースが増えている。買い手側からすると、情報収集と比較検討の時間を取りやすいマーケット環境と言える。
市場在庫・新規売出し物件数
市場在庫は、戸建てが724件で前年同月比3.3%減、コンドミニアムは2,284件で前年同月比11.5%増となった。

戸建ては全体の在庫がわずかに減る中で、80万~約110万ドル帯の在庫が大きく減少し、200万ドル以上の在庫が約15%増加するなど、価格帯によって供給の偏りが見られる。
コンドミニアムは、30万~59万9,999ドルの価格帯で在庫が増え、特に30万~39万9,999ドルと40万~49万9,999ドルでは、市場在庫が前年同月比で約20%前後増加している。全体の在庫月数は6.3カ月と、前年の5.6カ月から増加しており、やや買い手有利寄りのマーケットに近づきつつある。
新規売出し件数は、戸建てが273件で前年同月比8.1%減、コンドミニアムは525件で12.2%減と、売り手側の動きはやや控えめになった。取引件数が堅調な戸建てでは「売りたい物件が増えにくい」一方、コンドミニアムでは在庫が積み上がりやすい構図が続いている。

価格競争の状況
成約価格が元の売出価格を上回った割合は、戸建てで約27%と、前年同月の26%からほぼ横ばいだった。人気エリアや条件の良い物件は今も複数オファーが入りやすい状況が続いている。
一方、コンドミニアムで売出価格を上回って成約した物件は全体の9%にとどまり、前年の12%から減少した。成約価格/売出価格比率の中央値も96.4%と、前年同月の98.0%から低下しており、指値を受け入れる売り手の増加、価格交渉の余地が広がっていることがわかる。

2025年11月のオアフ島不動産マーケットは、戸建てが販売件数・価格ともに底堅く推移し、特にミドル~ハイエンド帯で取引が活発な一方、コンドミニアムは価格調整と在庫増を背景に、買い手にとって選択肢が広がる局面となった。
来年の金利予測など不透明が広がるアメリカ経済。ハワイの不動産市場でも、価格帯やエリアで競争率に大きく出るモザイク模様のマーケットは続きそうだ。
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