今日はハワイの不動産エージェントいそのななさんに、不動産買い替え時にかかるキャピタルゲイン税を繰延できる制度「1031エクスチェンジ」について詳しく解説をしていただいた。
>いそのななさん(コーコラン・パシフィック・プロパティ所属)のプロフィールはこちら

1031エクスチェンジとは
ななさん:私はハワイで不動産エージェントとして日々お客様と接していますが、日本人のお客様は1031エクスチェンジについて、そもそも「制度自体を知らない方」も多いですし、「聞いたことはあるけれど、難しくて自分に使えるものなのか分からない」という方も多いように思います。
1031エクスチェンジとは、アメリカの税法に基づき、 投資用不動産を売却し、その売却資金を使って別の投資用不動産に買い替えることで、キャピタルゲイン税の支払いを売却時に支払わずに先送りできる制度です。 通常、不動産を売却して利益が出ると、その時点で税金を支払う必要があります。 しかし1031エクスチェンジを使えば、 税金を一度支払わずに、その資金を次の不動産購入に充てることが可能になります。
スキームの流れ
- 1. 各投資用不動産を売却
- 2. 売却資金は交換物件の買い替え購入までの期間は1031専門エスクローが管理
- 3. 売却後45日以内に買い替え候補物件を1つ、または複数でも可
- 4. 買い替えに充てる金額は、売却の際の成約額から有効な経費が差し引かれた額と同額か、その200%まで
- 5. 売却後180日以内に新しい投資用不動産のオファーをし、受け入れ完了
- 6. 売却益はすべて交換する物件購入に使わなければならない(一部だけほかの用途に使うなどということはできない)
- 7. これらの条件を満たした場合にキャピタルゲイン税を繰り延べできる
これらのルールに従って買い換えることで、本来であれば売却時に支払うべきキャピタルゲイン税を繰延べて、次の不動産購入へと効率的に資産を運用することができます。
こんな方におすすめしたい!1031エクスチェンジ
Q: 1031エクスチェンジは、アメリカ人向けの制度という印象がありますが、日本人にとっても有効な手段なのでしょうか?。A(ななさん): アメリカの制度だからアメリカ人のみに適用されるものだと誤解されている方も多くいらっしゃるようですが、1031エクスチェンジは国籍を問わず使える制度なので、日本在住の個人や日本法人のお客様でも問題なく利用できます。 判断基準は売却物件のオーナーが、あくまでも同じ名義のオーナーとしての買い替えで、それが投資用不動産かどうかです。(場合によっては別荘物件でも適用されることもあります。詳しくはご相談ください)
アメリカ本土からハワイへの買い替えも可能
Q: 州をまたいだ買い替え、たとえば本土からハワイでも使えますか?A: はい、使えます。 カリフォルニアやテキサスなどの投資用物件を売却し、 その資金でより安定性のあるハワイの投資用不動産へ買い替えるケースも、1031エクスチェンジの対象として、よくあるパターンです。
最近は 「投資として買ってみたが、本土の物件管理が大変になってきた。」 「思ったよりも利回りが良くない。長期的にみて地理的にもオーナー本人もアクセスしやすく、資産価値の安定したハワイへ移したい。」 という理由で、こうした買い替えを検討される日本人投資家の方も増えています。
管理費(HOA)が高くなってきた場合にも有効
Q: ハワイのコンドミニアム特有の悩みはありますか?A: よくご相談いただくのが、コンドミニアムの月々の管理費(HOA)の上昇です。築年数が経つにつれて、管理費や修繕積立金、特別徴収が増え、 「購入当初より利回りが合わなくなってきた」と感じる方は少なくありません。
Q: そうした理由での買い替えにも使えるのでしょうか?
A: もちろんです。 管理費が高くなった投資用コンドを売却し、 より管理費がリーズナブルで条件の整った物件へ買い替える。これは投資としてとても合理的な判断で、 1031エクスチェンジが最も活きる場面の一つだと思います。
減価償却が終わるタイミングでの買い替えにも有効
Q: 日本法人で購入していた場合、減価償却との関係はありますか?A: はい、これは非常に重要なポイントです。 日本法人でハワイ不動産を保有している場合、 減価償却期間が終了するタイミングで次の選択を迫られることが多いです。
減価償却が終わると、
⚫︎節税効果が薄れる
⚫︎キャッシュフローが変化する といった影響が出てきます。
そのタイミングで、
物件を売却し、再び減価償却が取れ、その時点でより条件のよい新しい物件へ買い替えるという戦略にも、1031エクスチェンジは非常に有効です。
期限があるからこそ、事前準備が重要
Q: 注意点があれば教えてください。
A: 一番大切なのは、 45日・180日という期限があることです。
そのため、
⚫︎売却前から買い替えの方向性を考えておく
⚫︎1031エクスチェンジに精通した不動産エージェント
⚫︎1031エクスチェンジを扱うエスクローオフィサー、エスクロー会社(QI)
(エージェントがおつなぎします)
⚫︎米国税務に強いハワイ現地の税理士
と連携して進めることが、成功の鍵になります。
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1031エクスチェンジを使った場合・使わなかった場合の差
ここからは、1031エクスチェンジを利用した場合と利用しなかった場合で、どのような差が生じるのかを、具体的なケースで比較してみます。
ケース例
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7年前にハワイで新築コンドミニアムを投資用として 700,000ドルで購入
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今回の売却価格:1,200,000ドル
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キャピタルゲイン:500,000ドル
まず知っておきたい基本ルール
アメリカ人または米国法人が不動産を売却した場合、キャピタルゲインに対して原則20%の税金が課されます。(日本人が保有する米国法人はアメリカ人と扱い同様の扱い)このケースでは、最終的に100,000ドルのキャピタルゲイン税が発生します。1031エクスチェンジを使うとこの100,000ドルを支払うことなく売却益を次に買う物件に回します。
通常だと、個人所有や日本法人などの外国人が不動産を売却する場合には、税金の取り逃がしを防ぐ目的で、以下の源泉徴収が一時的に行われます。
⚫︎HARPTA(ハワイ州):売却額の 7.25%
⚫︎FIRPTA(連邦):売却額の 15% 合計でキャピタルゲイン額ではなく 売却額の22.5% が売却時に源泉徴収されます。
この税金は後日、米国でのタックスリターンを行うことで支払った分の約半分以上は還付されます。 *ハワイの現地法人を設立して不動産を所有している場合、HARPTA 7.25%は免除
1031エクスチェンジを使わなかった場合
⚫︎HARPTA(州税):1,200,000ドル × 7.25% = 87,000ドル⚫︎FIRPTA(連邦税):1,200,000ドル × 15% = 180,000ドル
合計で 267,000ドル が源泉徴収されます。
これらの税金は還付金の申請をした場合に、タックスリターンにより翌年または翌々年に約半分が還付される。 さらに物件買い替えをする場合は、自由な時期に自由な価格で物件選定、購入ができるが、税金の繰り延べはないために最終的に支払う金額は増えることになる。
1031エクスチェンジを使った場合
では、1031エクスチェンジを利用した場合はどうなるでしょうか。1031エクスチェンジを適用すると、日本人個人や日本法人であっても、HARPTA(州税)の源泉徴収は完全に免除されますが、FIRPTA(連邦税)は一時的に徴収される。
FIRPTA(連邦税):1,200,000ドル × 15% = 180,000ドル 合計で180,000ドル が源泉徴収されます。
ただし還付金の申請をした場合に、タックスリターンにより翌年または翌々年に約半分が還付される。
1031エクスチェンジは売却額から経費を除いた額が 最低限の買い替えに必要な額となる
1031エクスチェンジで経費として売却額から支払うことが認められている主な費用は以下の通りです。-
不動産エージェント手数料
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エスクロー手数料
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所有権保険料(オーナーズタイトル保険)
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登記料・譲渡税
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物件アプレイザル費用(必要だった場合)
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取引に直接関係する法律・税務顧問料
自己負担が必要となる費用
一方で、1031エクスチェンジを利用する場合、以下の費用は売却額以外で自己資金での支払いが必要となります。
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FIRPTAの源泉徴収分
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新規購入物件のローン取得手数料(必要な場合)
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プロレートされた固定資産税
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保険料などの非控除対象費用
知っているかどうかで、次の一手が変わる
1031エクスチェンジは、 アメリカ人だけの特別な制度ではありません。
日本人投資家にとっても、
⚫︎本土からハワイへの資産移行
⚫︎管理費や収支バランスの見直し
⚫︎減価償却が終わるタイミングでの戦略的な買い替え
といった場面で、非常に有効な選択肢になります。
ハワイ不動産を 「ただ保有し続ける」のではなく、 状況に合わせて組み替えていく。 その選択肢の一つとして、1031エクスチェンジを知っておく価値は十分にあるでしょう。
ハワイ不動産の売却や買い替えを検討する際、
「自分の場合1031エクスチェンジは有効なのだろうか?」
そう感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
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