11月6日から始まった日本人向けの事前テストプログラム。日本で受診できるハワイ州指定の検査期間も85ヵ所に増えるなど、年末年始の日本人のハワイ渡航に向けた地ならしは着々と進んだ。各エアラインもこぞって増便を決め、2020年12月には43便、2021年1月には59便が日本ーハワイ間で運航するなど、本格的な観光再開へ始動し始めるか?という機運が高まった。
実際の年末から年明け1月にかけてのハワイの動きをまとめた。
2020年~21年、年末年始の日本人のハワイ渡航者数
こちらがハワイ州産業経済開発観光局から発表されている日本からの一日の空港到着人数のチャートである。12月26日の249人をピークに、1月4日も224人、1月8日は233人と、それ以外の日は100人台~数十人と下回る日もあった。
アメリカ本土渡航者数で行けば、年末年始はアメリカ本土からの旅行者(青いライン)が昨年同日比で30-40%の戻りを見せた。
一番下の紫のラインが日本人渡航者で、上のチャートを全体の中に置いたものだが、年末年始期も微増であったことがわかる。
ワイキキやアラモアナなどの街や、ワイキキビーチにも、クリスマスホリデーに久しぶりの家族旅行で楽しむアメリカ人の姿が戻ってきて、観光地ハワイらしい雰囲気を取り戻し、一時的にでもビジネス的にも回復の兆しを感じた店舗やレストランも多かったのではないか。ただし日本人の姿を見かけることはチラホラ、といった程度だった。
そんな中で、年明けに冷水を浴びせられるように発表されたのが、1月8日の水際対策の強化である。
日本政府の水際対策の強化発表
1月8日に外務省が発表した水際対策の強化策では「日本人も含め全ての入国者・再入国者・帰国者に対し、出国前72時間以内に実施したCOVID-19に関する検査による陰性証明の提出を求める」ようになった。
このため、日本人のハワイへの旅行者は、
・日本からハワイへの渡航前72時間以内に検査(1)
・ハワイから日本に帰国前にも72時間に検査(2)
・日本に到着時に空港でさらに検査(3)
・日本に帰国後も、14日間の自己隔離
という計3回の検査、さらには帰国後の自己隔離という厳しいステップを踏まなければならなくなった。
11月から始まった事前プログラムが本格化するか・・・というところで、またもやハワイの観光復興に高いハードルが立ちはだかった形だ。
ハワイのコロナの状況、ワクチン接種の進捗は
ハワイのコロナの感染状況だが、一進一退といったところだが、クリスマスや年末年始の集まりや、州外からの渡航者増、クラスター発生などで、1月7日、322人の新規陽性者を出してしまった。(ただしこれは年末年始期間に、検査機関からの報告が遅れたものが積み重なったなどの理由もある)。
1月15日現在、直近のオアフ島の一日の新規陽性者数(7日間平均で)で、130名となっており、オアフ島を管轄するホノルル市の再開計画は4段階のうち、2番めに厳しいTier2にとどまっている。
一方で、ワクチン接種は順調に進捗を見せている。
ファイザー社、モデルナ社のワクチンが現在供給されており、1月15日現在で、ハワイ州全体では医療関係者・老人介護ケアホーム在住者やスタッフを優先して、約4万人のワクチン接種が完了しているという。さらに11万人分のワクチンが到着しており、接種準備中。1月18日からは大型のワクチン接種センターも運用開始予定である。
ワクチンの供給が予定通り進めば、2021年1月中には10万人、2月・3月・4月は毎月15万人分のワクチン接種を行いたい、というのがハワイ州の希望のスケジュールとなっている。 これが実現すれば4月には70万人強、ハワイ州の人口の半分近くのワクチン接種が完了することになる。
さらに、現在供給されているワクチンはファイザー社とモデルナ社のワクチンのみだが、「もしもFDA(アメリカ食品医薬品局)がジョンソン&ジョンソン社とアストラゼネカ社のワクチンを追加で承認すれば、このワクチン接種計画は2倍のスピードですすめることができる」と、ハワイ州副知事は期待のコメントを出している。
本格的な観光再開はワクチン接種の進捗次第か?
日本でも2月からワクチン接種が開始との報道が出ている。日米含む各国で広範なワクチン接種が進めば、PCR検査での陰性証明だけでなく、ワクチン接種証明などの国際的枠組みの導入も当然行われることだろう。
アメリカ国内では2021年第一四半期は、ワクチン供給を猛スピードで進めつつ、新大統領就任、2度目の大型の政府支援・経済刺激策の導入など、政治的にも経済的にも大きな動きが続く。
ハワイ州が経済予測に利用しているハワイ大学経済所の「ベースライン予測」では、本格的なハワイ州の経済回復は2021年の夏以降となっている。
今しばらく、日本もハワイも、耐え忍ぶ時期が続きそうだ。