ハワイ・オアフ島の高速鉄道・HARTの現状レポート(2021年3月)

ハワイ・オアフ島の高速鉄道・HARTの現状レポート(2021年3月)

更新日 2021.04.05

2014年から始まり現在も続いているハワイ・オアフ島の高速鉄道HARTの工事。予定では2020年に一部運行を開始する予定だったが、2021年3月現在も開通していない。一体いつ部分開通するのか?全面開通はいつになるのか?最新情報をレポートする。

目次

ハワイ 高速鉄道 HART
白と緑が基調の車両には「虹」が描かれている、車両は日立製

ハワイ・オアフ島の高速鉄道・HARTの現在の状況

大幅な工期の遅れ、CEOの度重なる交代、肥大化する予算など、一筋縄にはいかない問題が山積みのHART。2020年予定されていた、イーストカポレイからアロハスタジアムまでの9駅に及ぶ一部開通は、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響もあり延期になっている。

2021年1月に暫定的にCEOに就任したロリ・カヒキナ氏が地元メディアに話した内容によると、現状は以下の5つにまとめられる。

①予定されている全長32km、21駅のうち3/4の工事はほぼ終了

②最後の4マイル(6.43km)の区間(ディリンハム通り~アラモアナセンター)の工事が未着手

③ディリンハム通りの工事の一時停止

④$3ビリオン(約3200億円)の予算不足

⑤イヴィレイからアラモアナセンターまでの間にある6駅のデザインが5月に完成、お披露目予定。

ハワイ 高速鉄道 HART
ワイパフトランジットセンター駅の様子

①②については特に説明する必要はないが、
③については、市街地では線路を通すための下準備として、周辺にある電線などの生活インフラを地下に全て埋蔵する予定だったのだが、そのための予算が大幅に増え、かつ地下インフラへの適切なアクセスが準備できていないという理由で一旦白紙に戻されている。

そして④については、現在、連邦政府の新型コロナウィルス救済基金約75億円が支給後も、$3ビリオン(約3200億円)の予算不足があることが分かっており、HART社内の人員削減や無駄なコンサルタント費や工費のカットを積極的に行うことでコスト減とコスト見直しが進められている。

と、ここまで読んできて、
「何年もかけて何も進んでないような気がする!」という感想を持たれた方も多いのではないだろうか。さまざまな要因や問題が重なりあっての現状だが「牛の歩みも千里」。HARTには一つづつ問題をクリアにしてもらい、我々としてはいつの日か訪れる全面開通の日を待ち続けるしかなさそうだ。

このようにHARTに関するニュースはネガティブなものが多い昨今だが、唯一楽しみなのは、
⑤のイヴィレイからアラモアナセンターまでの間にある6駅のデザインが5月に完成すること。特に交通網のハブとしての機能が期待されているアラモアナセンター駅のデザインがどのようになるのかは楽しみだ。

 

ハワイの高速鉄道・HART、一部開通は2022年か?

さて、当初2020年に一部運行を開始する予定だった区間(イーストカポレイからアロハスタジアムまでの9駅)の開通はいつになるのだろうか?
暫定CEOのロリ・カヒキナ氏によると、この区間の線路と駅、そして車両は、今年度末までに運営を担当するホノルル市へ引き渡す予定とのこと。

ハワイ 高速鉄道 HART
カポレイからアラモアナセンターまでの路線図

その後はブランジャルディ・ホノルル市長がいつ開通するかを決定する。ただ2021年末に引き渡しということは、今年中の一部開通はなさそうだ。

また、一部開通する際の終着駅となるアロハスタジアムがニューノーマル下では臨時休業中になっており、「開通しても誰も利用しない鉄道や駅になってしまうのではないか?」という議論が内部では起こっている。
しかし運営の観点からすると、オペレーションを担当している日立がすでに人員を確保し、教育を始めているので、このまま開通せずにいるのも人件費の無駄遣いになってしまう。

いずれにせよブランジャルディ・ホノルル市長は今年度末、難しい決定を迫られそうだ。

 

ハワイの高速鉄道・HART、全面開通は2031年に!

一番最初の計画では2020年に全面開通している予定だったハワイの高速鉄道・HARTだが、現在、イーストカポレイからアラモアナセンターまでの21駅の全面開通は2031年にズレ込むとの見通しがたてられている。

ハワイ 高速鉄道 HART
リーワードコミュニティカレッジ駅の地上入り口 。緑も整備される。

そして2022年に一部開通したら、次の開通予定区間はパールハーバーからミドルストリートまでの4駅になるそうだ。この中にはダニエル・K・イノウエ空港駅も含まれるので、オアフ島西側から空港までのアクセスは容易になる。

ワイキキやアラモアナなどホノルル市中心に滞在する観光客にはあまり関係ないが、軍関係者やビジネスマン、オアフ島西側から通勤通学をする地元民にとっては移動が楽になり、渋滞がさらに緩和されることが期待される。

ハワイ 高速鉄道 HART
車両内の様子。車椅子などのスペースのために折り畳み式の座席もある。

ハワイ 高速鉄道 HART
座席の上にはスーツケース対応の荷物ラック。自転車を積めるスペースもある。

そしていよいよ最後の開通区間となるのが、ディリンハム通り駅からアラモアナセンター駅までの8駅なのだが、先述したような都市インフラの埋蔵化を含めた市街地ならではの問題がこれからも先も噴出することが予測される。
しかし、そのような状況下であっても、この区間における鉄道工事の前段階のインフラ整備に関する契約を今年度中に済ませ、計画を進めていくことが発表されている。

ハワイ 高速鉄道 HART
鉄道駅に「ホームドア」を設置する作業員。

一方で、市民の中には「最後の8駅はもう取りやめにしたらどうか?」という意見もあるのも事実である。

しかし暫定CEOのロリ・カヒキナ氏は、この計画の目的の一つに「アラモアナセンター駅のハブ化」をあげ、ここを観光客やローカルがワイキキやダウンタウンへの移動、そして空港までの移動の拠点にし、将来的にはハワイ大学まで線路を伸ばしたいと述べている。
さらに現在までの連邦政府からの助成金には「アラモアナセンター駅」までの区間が含まれており、これを反故にすると今後連邦政府からの助成金が下りなくなる可能性もあるそうだ。

「アラモアナセンター駅」まで線路ができないと、空港からホノルル市街地に来る観光客にとってはあまり意味のない鉄道になってしまうので、なんとしても空港からアラモアナまでは鉄道を通して欲しいものである。

 

ということで、今回はハワイ・オアフ島の高速鉄道・HARTに関する現在の状況をアップデートした。引き続き新しい情報が公開され次第「ハワイに住むネット」でも紹介していく。
HART公式サイト>>https://www.honolulutransit.org/

ハオアフ島の高速鉄道HARTの概要についてはこちらから>>
https://www.kaukauhawaii.com/editornews/121781/

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