投資家目線で考えるハワイ不動産とコロナによるマーケットの動きについて(グレイス不動産 岡崎恵子さんにインタビュー)

更新日 2021.12.24

「長期管理」と「売買」、投資物件に強いグレイスインターナショナル不動産 岡崎恵子さんに聞く

岡崎さん:
2003年にハワイ州の不動産ライセンスを取得して以来、不動産管理と不動産売買の18年以上の経験があります。過去には短期バケーションレンタル、長期賃貸の管理を合わせて200ユニット以上を管理していたこともあります。

現在は長期賃貸と、別荘・不在宅管理、そして不動産エージェントとして売買のお手伝いもしています。

私自身も不動産投資を複数行っている投資家であるため、投資目的で物件を購入するお客様からのご相談が多いですね。

不動産管理に精通しているからこそ分かる長期的視点での不動産価値の守り方・高め方、またリアルな不動産投資のシナリオがお伝えできる自信があります。
 

グレイスインターナショナル不動産  岡崎恵子さんプロフィール
Principal Broker 代表取締役。GRI(不動産上級教育課程終了)、ABR(購入者エージェントライセンス)、SFR(ショートセール、競売物件専門ライセンス)の資格を保有。センチュリー21オールアイランド、Faith Naluai LLCなどでの不動産管理、不動産売買の経験を経て、2016年グレイスインターナショナル不動産を設立し、独立し現在に至る。ライセンスNo【RB19676、RB22035】

コロナによる、ハワイ不動産マーケットの変化

岡崎さん: 
パンデミックが始まって約2年が経とうとしていますが、ご存知の通りハワイ経済、特に観光経済は大きくその影響を受けました。これは不動産マーケットにも大きな動きをもたらしました。

不動産オーナー側、テナント側、それぞれに影響を見てみます。

オーナー側の動き:ショートターム(バケレン)から長期賃貸へ

最も影響が大きかったのは観光客を相手に6ヶ月以下のショートタームでの賃貸を行っていたバケーションレンタルのマーケットです。コロナからの観光業がなかなか全面復活しない中、私からオーナーさんへ運用方法を短期バケレンから6ヶ月以上の長期賃貸へと切り替えるご提案し、実際に踏み切ったオーナーも多かったです。とにかく空室期間をなるべく作らないためのご提案でした。

また長期賃貸にすることで固定資産税を下げる(短期バケレンの約1/3になる)という点も、経費削減の観点から大きいです。
 

短期でみれば収益性の高い6ヶ月未満の短期賃貸も、長い目で見ると出ていく経費や税率の関係で長期賃貸とほぼ同じ利回りに収束します。 

そもそも不動産の収益を上げるためには、マーケットに合った家賃設定で空室期間を作らず、管理のための経費を削減することの両輪が重要です。
 

その事実を踏まえて、早めに動いたオーナーさんのほうが結果的に利益を確保できました。

テナント側の動き:家賃価格帯によって、動きの違いが大きく出た  

逆に、借り手であるテナント側にも色々な動きがありました。

●高価格帯(月間4000-5000ドル以上の高級コンドミニアムなど)。
メインランドからの長期滞在・ワーケーション組、またハワイにマネジメントポジションで移動・転職してくるような富裕層による高額賃貸物件の引き合いが急増しました。


●中価格帯(月2000~3000ドル前後の中堅コンドミニアム) 
もともとハワイに住んでいた定職のある中間層は、コロナよる収入の影響が比較的少なく、今までの住まいにそのまま住み続ける人も多かったため、私の管理物件の中では一番動きが少ない層でした。
 

●低価格帯(月1000ドル台~) 
ホスピタリティワーカーなど観光業や飲食業の従業員などは、一時帰休や解雇などで無職となる方も多く、一時は失業率が40%以上にもなりました。しかし、こういった経済的困窮状態にある方がホームレスにならないよう、連邦や州のルールでオーナー(大家)は立ち退き勧告をしてはいけないといったモラトリアム期間が設定されたり、公的な家賃補助(テナントからの申請によりオーナーへ家賃が直接振り込まれる形)ができたりと救済策も多く実施されました。コロナ禍においては、低所得者層の方たちは政府や州から最も守られた層と言えるでしょう。

このように物件の家賃相場によって、マーケット内の借り手の状況も大きく変わったのです。

利回りを確保するためには、オーナーに対してもテナントに対しても、この状況を乗り越えるためのスピード感のある打ち手が求められました。

不動産管理の立場からの打ち手、利回り確保のために

岡崎さん: 
上記のようなマーケット環境の変化を踏まえて、グレイス インターナショナル不動産としてはオーナーとテナントの両方に情報提供とアクションを即す動きを取りました。

オーナーに対して: 

まずオーナーさんにお伝えしたことは「パニックにならないこと」。

定職を持っていたテナントさんが無職になってしまったとか、そのためにテナントさんから家賃を安くしてほしいという交渉を受けたなど、オーナーの中には慌てふためいて「どうしよう!?」と連絡してくる方もいました。

しかし、安易な家賃交渉には一切応じないようにオーナーさんにお話しました。テナントは上述のような公的支援があるのだから焦ることはない、まずは収益率を大きく損なう空室期間をなるべく作らないことを念頭に、使える支援はフルに活用することを提案しました。
 

テナントに対して:  

テナントさんに対しても、同じ働きかけをしました。 家賃の未払が起きてしまったテナントさんには家賃補助を始めとした各種の補助金があること、その申請方法などを細かくお伝えしたり、滞納分の支払い計画を一緒に立てたりしました。

意外と、低所得者層の方たちの中には政府や州からの補助金など情報が届いていない人、またやり方が分からないといった方も多かったのです。



このようにオーナーとテナントの双方に必要な情報を届け、アクションできるように取り持つのが、コロナにおけるグレイスインターナショナル不動産の大きなミッションとなりました。ただ、ここまで実際に手を動かしてサポートしていた不動産管理会社ばかりではなかったと思います。
 

不動産オーナーの投資スタンスが問われたパンデミック 

岡崎さん: 
このような状況下で不動産オーナーはご自身の投資スタンスを問われることとなりました。わたしからいくつかポイントをお伝えしたいと思います。

ご自身の資金余裕・投資の時間軸を知る

2020年パンデミックがスタート直後、バケレン物件が全く稼働していなかった時期に、短期的にでも損失が出ることが許容できないオーナーさんは売却に走りました。逆にその時期に出た売り物件を、リスティングプライスの20-30%近くも低いキャッシュオファーで大量に買い増ししたオーナーさんもいました。

時期を捉えて逆張りできた方は、一定期間の損失を受容できるご自身の資金余力をきちんと把握できていた方たちです。

よく「いつが買い時ですか?」と聞かれるのですが、ハワイ不動産には他マーケットのように激しい上下動はないため、底値を狙って高値で売却といったタイプの投資を行う場所ではありません。 

わたしがお伝えしたいのは「買いたい!」となったときに、ご自身のいまの経済力・与信で一体いくらの物件なら買えるのか、どのエリアの物件が買いたいのか、いつまでに買いたいのか、相場はどのくらいなのかなどの概要が理解できているかが重要ということです。準備期間をしっかり取って、マーケット理解を深めておくことで、動くべきときに動けます。

またご自身でもステイして楽しみたいのか、純粋に投資として考えるのか、長期保有なのか、節税目的なのかなどで、狙うべき物件も変わります。あれもこれも・・・ではなく、目的は絞りましょう。

借り手が付きやすい=投資物件として優良なわけではない

また単純に借りたい人が多いエリアにあるからと言って投資物件としての利回りが優良となるわけではない、というのも重要なポイントです。

開発が進み人気が上がっているエリアであれば、そもそもの物件購入金額も急上昇していることが多いもの。ですが、それを賃料にそのまま転嫁して上乗せできるわけではないのです。

投資のセオリーは「周囲の開発が進んできたエリアで、現状は完璧ではないが安く取得でき、かつ将来的に家賃が高く取れる可能性がある物件を探すこと」です。

そういった物件を見つけることは簡単なことではありませんが、これは改修や管理の経験があり、実際にテナントを見つけるプロセスに通じている弊社だからこそ、できることでもあります。


 

物件価値を守るには業者さんとのネットワークもカギ

弊社ではワイキキ、アラモアナのコンドミニアムをはじめ、ハワイカイ、パールシティー、アイエア、エバ、カポレイなどのタウンハウスや一軒家を管理しています。それ以外のエリア(例えばカネオヘやカイルア、ノースショアなど)は管理も売買もお受けしていません。


これは「ハワイあるある」なのですが、修繕や工事などの業者も地域密着でやっているところが多く、エリアによって得意・不得意、対応の早い・遅いの違いがあるのです。ですので弊社では各地域、各領域で、常に頼れる専門業者を複数確保しており、修繕がなるべく早く完了し、相見積もりを取りやすいネットワークを作っています。

どういった修繕や改修が必要なのかは、その建物の躯体や構造が分かっていなければ適切な判断ができません。その点に関しては不動産管理の専門家としての経験を元に、オーナー様の不動産価値が高まり、利回りを確保できる管理体制を提供いたします。

ぜひ、ワイキキ、アラモアナ、ハワイカイ、パールシティー、アイエア、エバ、カポレイ地区の不動産管理と売買についてはご相談ください。


 

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