ホノルル市のブランジャルディ市長は、4月26日にホノルル市内での短期バケーションレンタルの規制を強化する法案41号(Bill 41)に署名をし同法案が成立した。施行は2022年10月23日以降からとなる。これはオアフ島内に不動産を所有し、バケーションレンタルを行っている人々に影響が大きい法案として注目を集めていた。
このバケーションレンタル規制法案41号について、サチハワイ総合不動産会社のブローカーであり市政委員を務める井手彩子アンチェタさんに、その詳細について解説していただいた。
オアフ島のバケーションレンタルの状況
彩子さん:
「バケーションレンタル」というのは、住宅やコンドミニアム、ホテルコンドミニアムを、短期間ゲストに貸し出す仕組みです。エアビーアンドビーやVRBOなど、バケーションレンタル広告のインターネットのプラットフォームが浸透することで、ホテルに比べてお手頃なバケレンはハワイでも急速に人気が拡大。これにより、住宅として使われていた一軒家やコンドがバケーションレンタルへと続々と転用されていきました。
ではなぜ観光客に人気のバケーションレンタルに対して、ホノルル市は規制をかけようとしているのか?まずはその背景をご説明します。
バケーションレンタル規制法案41号が提案された背景
バケレン人気の裏で起きていたさまざまな問題
彩子さん:
観光客の間で高まるバケレン人気の裏では、住民との間で軋轢も起きていました。
- 住宅地での短期バケーションレンタルのゲストによる騒音や違法駐車問題で、住民からのクレームが増加していた
- コロナによって観光客が急減し、静かな環境を取り戻した住民から、改めてバケレン規制強化を求める声が高まった
- バケレン物件への投資人気が不動産価格の上昇を招き、住民用の手頃な購入物件や長期賃貸物件の不足が深刻化していた
- 2019年のバケーションレンタル規制法案89号(違法な短期バケレンの禁止と罰則)が効果的に施行されなかった
バケーションレンタルはハワイ観光経済にとってはメリットもあった反面、ホノルル市としては、住民の生活を守り、バケレンに流れた不動産を住民に取り戻すべく、もう一段踏み込んだ法律が必要ということで法案41号が作られたというわけです。
「ゾーニング」別に、貸出期間や広告のルールを新たに設定した法案41号
そもそもオアフ島の不動産は「ゾーニング」と呼ばれる土地区画のカテゴリーがあり、ゾーニングによって貸出せる期間や用途が規定されています。
次の項で詳しく説明しますが、今回の法案41号の最大のポイントは「リゾートゾーニング以外」つまり、住宅やアパートなどのゾーニング物件で物件を貸し出す際の最短日数が、30日から90日へ変更されたことです。
我々ホノルル不動産協会は、約20人のメンバーで市政委員会を作って新法案の是非についても議論をし、規制強化には反対の立場を取っていました。草案段階では30日から180日へ変更するというさらに強硬な案だったのですが、公聴会などを経て最終的な折衷案として90日に落ち着いたというところです。
バケーションレンタル規制法案41号の重要ポイントまとめ
彩子さん:
この法案41号の重要なポイントをまとめます。
リゾートゾーニング以外の不動産では最短の貸出期間が90日に
冒頭でも書きましたが、いままでリゾートゾーニング以外では、最短の賃貸期間が、30日から90日になりました。さらに90日の場合だと「年4組にのみ賃貸契約が可能」となります。今までグレーだった部分(期間の重複など)を明確にし、今まで以上に厳しい運用を求められます。
またゾーニングとしては90日単位で貸出可能でも、コンドミニアム管理組合ルールで禁止されているところもあり、その場合にはコンドルールが優先となります。
合法な短期バケーションレンタルも、すべて新たにホノルル市への登録と毎年の更新が必要
合法的に1日単位での貸出しができるリゾートゾーニングの物件、またNUC※を持っている物件も、新たにホノルル市への登録、また毎年の更新が必要となります。
(※Non conforming use certificate=ゾーニング規制関係なく、1日単位のレンタルが可能な証明書。過去に発行されたものは更新が必要。新規発行はされない。)
新規の登録時には$1000、更新時には$500が必要です。またNUCの更新にもいままで2年に1度だったものが1年に1回更新になり、9月1日-10月15日と限られた更新時期になるため要注意です。
バケーションレンタルの広告を出す際には、最短の貸出可能な期間の合計金額の提示が必須に
いままではどんなバケレンユニットも一日単位の価格での提示が可能でしたが、今後は最短貸出期間の総額(90日が最短のユニットなら90日分の総額)を表示しなければならないルールに変更になります。バケレン管理会社や広告プラットフォームのサイト上の表示ルールにも規制が入るということです。
またこれらのルールに違反した場合、一日あたりの罰金は$1000~最高$10,000。不動産オーナーだけでなく、広告を出稿しているバケレン管理会社や、エアビーアンドビーなどの広告プラットフォーマーにも適用されることになります。これも今までよりも厳しくなったポイントです。
この法案41号の前に施行された89号法案の法的拘束力などの面で甘いという批判があったため、今回の法案41号では更に厳しい運用ルールや罰則が盛り込まれた形です。
その他、細かいルール変更もありますので、ご心配な方はサチハワイまでお問い合わせ下さい。
バケーションレンタルで人気のあった代表的なコンドミニアムへの影響は?
彩子さん:
今まで通りのバケレン貸出が可能なコンド
もともとリゾートゾーニングに建っているコンドミニアムやホテルコンドミニアムは、新規登録や更新が必要ですが、いままで通りの運営が可能です。ワイキキではイリカイホテル、ワイキキビーチタワー、ワイキキショアなど。このほかにコオリナ、クイリマ(ノース)が特別に許可が下りたエリアとなります。
30日間→90日間に変更になるコンド
30日間のバケレンで人気だったが今回90日になってしまうコンドミニアムがあります。
ワイキキ内は基本的にクヒオ通りからアラワイ運河側にあるコンドミニアムすべてが対象となります。(例外がワイキキ・バニヤンと、ワイキキ・サンセット)。
不動産オーナーの皆様への相談窓口を開設します
あやこさん:
サチハワイ総合不動産では、今回の法案41号に関するご相談を受け付けています。
現在、ハワイ不動産を所有している方で物件のゾーニングが知りたい、また今後の運用方針について相談したい、これから購入を考えておられる方。など、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。
今回の規制で30日単位のバケレンが出来なくなった方は、
・いったん90日単位の貸出に切り替えて様子を見る
・半年以上の長期賃貸に切り替える
・個人利用に切り替え、別荘管理に出す
・これを機に売却する 、などの取り組み方があります。
ぜひサチハワイ総合不動産会社までご相談下さい。
Email: info@sachihawaii.com
Tel: 808-596-8801