日本人不動産エージェントとしてトップに何度も輝いたサチ・ブレーデンさん。2003年にサチハワイ総合不動産会社を創業。 オアフ島エージェント販売額ランキング TOP100で個人第2位を獲得、その売上額は実に$96ミリオン、日本円にして約110億円にも上る。(Hawaii Business Magazine 2018年) 2021年の全米の不動産マーケットの動きを振り返る
2021年のアメリカ全体の不動産マーケットを振り返る
サチさん:まず2021年のアメリカ不動産マーケットの動きを振り返ってみましょう。2021年通年では50州の主要都市の不動産の中間価格は全体で14.6%の値上がりとなりました。
各都市を見れば値上がり幅にはばらつきがあり、例えばネバダ州のラスベガスでは25%アップ、アリゾナ州のフェニックスやスコッツデールでは26%アップなど大きな上昇を見せました。またハワイ州全体でも19%のアップとなり、全米水準以上の価格上昇となりました。
この動きは昨年だけのものではなく、下の全米不動産中間価格の5年チャート(2017-2021年)を見ても、基本的に上昇を続けています。 グレーの縦のラインが入ったところは2020年のパンデミック開始直後に少し落ちていますが、その後は一貫して右肩上がりとなりました。
背景としては2020年、2021年と銀行の不動産長期ローンの利率が過去最低レベルに低くなっていたことです。借りやすくなったことで、市場に一気にお金が流入したのです。
そして、この低金利ローンの機会を逃さず不動産を購入したい、不動産投資をしたいという人が増加し、全米主要都市での不動産価格の押し上げにつながりました。
ハワイの不動産マーケットへの影響はどうだったのか?
サチさん:
こういった状況から、ハワイマーケットも活況でした。
ハワイ在住のローカルの方の購入や買い替え需要、またコンドミニアムから戸建てへ、戸建てならさらに部屋数の多い家へ、という購入需要が膨らみました。そこに、カリフォルニアをはじめとしたアメリカ主要都市から移住の需要が重なりました。ハワイに不動産を購入してリモートワークしたいという方、また他州からリタイアしてハワイに移住して来たいと言うシニアの方なども加わり、さらに売り手市場のマーケットが加速しました。
2021年、オアフ島では史上初の戸建ての中間価格1ミリオン、コンドミニアムの中間価格50万ドルを突破し、記録破りの年となりました。
(上の緑のラインがオアフ島の戸建て不動産の中間価格、下の黄色のラインがコンドミニアムの中間価格)
2022年後半も、ハワイ不動産マーケットは売りも買いもまだまだ動く
サチさん:
ただ、上のチャートを見てお気づきかもしれませんが、2022年に入り4月にオアフ島の戸建て不動産の中間価格が久しぶりに少し下がりました。
これは2021年に平均2.96%だった不動産ローンの低金利が反転し、2022年に入ってから4~5%台に再び高くなってきたこと、戸建てには手が届かないと判断した方がコンドミニアム購入にシフトする動きが続いたためと思われます。
ではこのまま反転して、下落しつづけるか?またはパンデミック前の水準に戻るか?というと私はそうは思いません。
それはハワイ不動産が、常に「実際に住みたい」「来たい」という実需に支えられているからです。
気候に恵まれた島でありながら学校や病院などのインフラが整っていて、どこからでもアクセスが良いというオアフ島の魅力が改めて評価されたのがこのパンデミックだったということです。
日本や韓国など国際マーケットからのバイヤーが本格的に戻ってくれば購入のための競争はさらに厳しくなります。
その一方で、不動産価格の上昇を見て売却を考えられる方や、長年ハワイに別荘を所有していた方がご高齢になって手放されるケースもお見受けします。
このように、2022年後半においても購入・売却ともに、ハワイ不動産マーケットは多少の値動きがありながら引き続き活発に動いていくと思います。
売り時は?買い時は?
ご自身の夢を長期的な視点で叶えるために
サチさん:
このようなマーケットデータだけを見ると、買うにしても売るにしてもタイミングの判断に迷うところだと思います。ただ、長年ハワイ不動産に携わってきて思うのは、その方の目的や時間軸によって「買い時」「売り時」は変わるということです。
ハワイ不動産にご興味がある方には、ハワイが好きだから住みたい、またハワイ不動産で資産形成をしたい、またお子さんをハワイで育てたいなど、それぞれの夢がおありだと思います。
マーケットの数字にとらわれすぎず、ご自身にとっての「夢を叶えたいタイミング」でご判断されることが重要だと思います。
先行きに不透明な世界情勢だからこそ、お客様の中には「グローバルな資産のポートフォリオ」としてハワイ不動産を購入される視点の方が多いですね。価格が下がらず売却したいと思ったときに流動性の高いハワイ不動産をドル資産として分散所有しておくことは、目先の円安以上に長期的なリスクヘッジになるとお考えになるからです。
また、日本とハワイの間の渡航の本格再開が見えてきた今、治安と教育環境のいいハワイでお子さんを育てたいという方の移住ニーズも復活してきています。
マーケットの変動は今後も続きますので、長期的・俯瞰的な視点で、ぜひみなさまの夢を叶えていただければと思います。