ここ数年、厳しくなったと噂されるアメリカの永住権と市民権の取得に関する状況。今後、どのように変わっていくのだろうか?2020年の動きについて、ドナルド・日谷弁護士に伺った。
ビジネス法、移民法、不動産法、トラスト関連専門。日米両方の文化に精通したアドバイスに定評がある。米国弁護士会会員。米国移民法弁護士 協会会員。ハワイ州・ワシントンD.C.弁護士資格。日本生まれ日本育ち。
2020年、アメリカの永住権取得申請は提出書類が増え、市民権取得は試験が難しくなりそうです。
「 市民権の場合は、試験を少し難しくするという話があります。もう少し英語力を要し、出題も今より難しくするという傾向です。移民法は連邦法なので、政権が変わるたびに移民法も変わってきました。今はトランプ政権ですから、非常に反移民傾向にあります。
その理由としては、移民の場合、特に合法、難民、亡命、もしくは不法などで入国するヒスパニック系の移民に関しては、グリーンカードを取得すると、次は必ず市民権を得ようとします。問題は、ヒスパニック系の移民の場合、大抵が民主党支持だということです。そのため、トランプ大統領率いる共和党政権は民主党派の投票権が増えることを危惧し、それを阻止するために移民法に徐々に手を加え、ヒスパニック系移民の永住権や市民権の取得を難しくしているという背景があります。アメリカの会計年度は 10 月1日スタートですから、もしこの民間意見調査期間が終わって最終規則が決議されれば、おそらく 10 月1日から市民権試験はある程度難しくなることでしょう。
ちなみに、 市民権の試験は2回までしか受けられません、一度目で落ちた場合は 90 日くらいで再試験。それがパスできなかったら新しく申請しなくてはいけないということになり、試験の難易度が上がることで、市民権のハードルが際立って上がる可能性があります。
個人差はありますが、現在市民権取得には、8ヶ月~1年を要します。帰化の唯一の争点は、その方の道徳的観点から見た人格になりますから、何回も飲酒運転で捕まっているなど、犯罪歴が問題にされることも多いため、試験時だけではなく、普段の生活態度にも注意が必要です。
永住権も、手続きが煩雑になり、以前より時間がかなりかかる傾向にあります。書類を提出しても、そのまま通らず追加証拠物提出の要請が細かく送られてくるようになっていて、現在はほぼ毎回、追加要請がある状況です。移民局が要請書類を発行して、その書類を全部収集して、また提出する、というプロセスが入るわけですから、それだけでも時間がどんどん経過し、今は早くても1年ほどかかるのが普通です。
また、アメリカ人との婚姻による永住権申請の場合は、永続的な永住権がなかなかもらえず、暫定永住権の期間が3~4年に及ぶケースが多くなっています。というのもアメリカ人と結婚すると、2年間通用の暫定永住権がもらえますが、2年満了前に永続的永住権取得の書類提出が必要となります。その時に提出すべき結婚生活を裏付ける書類の種類が増え、 結果的に永続的永住権の取得に非常に時間がかかっています。
またこれは観光で入国される方の場合ですが、エスタではねられるケースも増えています。コンピュータで管理されているため、犯罪歴のある人物と同姓同名などで入国を拒否されるケースも発生しています。気になる点がございましたら、まずは弁護士にご相談ください。」
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