ハワイの経済をいかに地域内で循環させるか
ハワイでは、主要産業である観光業が封鎖され、州外からの来訪者を、3月から約5カ月間にわたりほぼ受け入れてない。
ホテル、レストランや小売店などすそ野が広いため、そのダメージは甚大なものとなっている。経済活動は段階的に解除されたが、特にワイキキなどホノルル市内の主要エリアでは、臨時休業や、そのまま閉店などに追い込まれているところも少なくない。また最近のニュースではハワイ最大企業であるハワイアン航空も解雇を発表するなど、明るい兆しはまだ見えていない。
このような状況の中、少しでもハワイの経済状況を改善するために新しい取り組みが動きだしている。キーワードはいかに、ハワイ外からの収入を少しでも稼ぎつつ、ハワイ内での地域内経済を循環させ、そしていかにハワイ内でお互いを助け合うかということである。
以下に、ハワイ州やホノルルの非営利団体、企業などが始めた取り組みを紹介しよう。
「ハワイ経済の新しい動き」 Vol.2の記事はこちらから>>[ARTICLE ids:1564
ハワイ州産業経済開発観光局のハワイ産ブランドのポータルサイト
「Buy Hawaii, Give Aloha」
ハワイ州の産業経済開発観光局が6月にBuy Hawaii, Give Aloha(ハワイを買ってアロハを送ろう)というポータルサイトをスタートした。
これは、ハワイ製品とビジネスを紹介するポータルサイトで、ハワイ地元のメーカー、小売業者、レストラン、農家などが無料で登録し、商品を消費者に向けて紹介し、各社のオンライン通販などにリンクすることができるという取り組みだ。
事業者側は取り扱っている商品全体の75%がメイド・イン・ハワイであれば登録することができる。「ハワイ産の商品・ブランド」州外の人からの購入を促進し、州内の消費者はハワイ産の商品を意識的に選択することでローカル経済に貢献することがきる。
ハワイ州が「ハワイ産ブランド」を世界に向けてアピールするショーケースであり、地元経済をサポートする消費者の啓蒙としても貴重な場となっている。
フード宅配プラットフォーム×地元駐車場管理会社がコラボ
「Food-A-Go-go&エリートデリバリーサービス」
次に紹介するのは、非営利団体と地元企業の取り組みである。
ロックダウン中のハワイのレストラン業界を支えるために、地元の農業系NPOであるHawaii Agricultural Foundationがレストランのテイクアウトやデリバリーを無料掲載できるポータルサイトFood-A-Go-goを立ち上げた。
Ubereatsやbitesquadなど全米規模でやっている大手フードデリバリーがロックダウン後、注目を集めたが、実はこれらのシステム、レストランに13.5〜30%の料金を、消費者に最大40%の予約手数料とサービス料金を請求しており、かなりプラットフォーム側に中抜きされている。ただでさえ打撃を受けているレストラン業界救済のために生まれたのがFood-A-gogoである。
またレストランの店内飲食激減により、影響を受けた関連サービス企業として、レストランの駐車サービス(バレーパーキング)を受託していた会社が挙げられる。
その一つであるハワイ地元企業、エリートパーキングサービス社と組んで始めたのがFood-A-Go-go&エリートデリバリーサービス(foodagogo.org/restaurants/)である。
これは、レストランは手数料なしで無料で利用できるサービスになっていて、逆に、消費者はエリート社に配達代を一律で$10支払う。
つまりレストランが注文総額の100%を受け取ることができ、消費者も割増しされてないオリジナル価格で、注文手数料なしでオーダーできるため、お得になこともある。地元企業のエリート社、そして地元レストランを、両方サポートできる。
注文の流れは次の通り、
1)Food-A-Go-Goのレストラン紹介ページからエリートデリバリーを行なっているレストランをフィルターで選択
2)注文したいレストランページに掲載されているエリートデリバリーの配送時間帯とエリアを確認
3)その後レストランに直接電話し注文と支払いを済ませ、エリートデリバリーがピックアップすることを忘れずに伝える
4)Food-A-Go-Goの該当レストランページに戻り、ピックアップのスケジュールを設定、サイト内でエリートデリバリーの料金を支払う。
現在はディナーだけのサービスに限定されており、かつレストランへの注文&支払いとエリートデリバリーへのピックアップ設定&支払いを別々で行う必要があるため手順に若干の煩雑さは伴うが、レストランをサポートしながら地域経済を循環させる素晴らしい試みである。ちなみにデリバリー代のうち、$1がHawai'i Ag Foundationに寄付される。
シリーズ2本目はハワイの生産者と消費者をダイレクトでつなぐ農業や漁業での動きを紹介する。
「ハワイ経済の新しい動き」 Vol.2の記事はこちらから>>
「ハワイ経済の新しい動き」 Vol.3の記事はこちらから>>