ホノルル不動産協会より発表された2020年11月のハワイ・オアフ島の住宅市場レポートによると、戸建住宅の売上は引き続き堅調な伸びを見せ、中間価格は$877,500となり、売上は前年同月比で5.6%の伸びとなった。コンドミニアム市場は売上は前年同月比で6.2%下まわるなど、やや苦戦気味ではあるものの、中間価格は前年同月比で1.2%の伸びとなった。
また提示価格よりも高く取引された物件が戸建・コンドミニアム両方で急増した。
ホノルル不動産協会による2020年11月のマーケットレポート
・コンドミニアムの売上は前年同月比で6.2%下落したが、中間価格は前年同月比で1.2%上昇。一方で平均価格は前年同月比で2.6%下落した。
・注目に値する動きとして、提示価格よりも上回った金額で取引された物件が急増したことである。戸建住宅では前年同月比で210.2%、コンドミニアムでは前年同月比で79.2%と急騰した。
戸建住宅マーケット
2020年11月の戸建住宅市場で、大きな話題になったのが、やはり提示価格よりも上回った金額で取引された物件が急増したことである。前年同月比で210.2%増という驚きの数字を叩き出した。それに伴って中間価格も先月より上昇。9月に記録した$880.000には及ばなかったが、前年同月比でおよそ$80.000弱も上がったことは、需要の高さを如実に示している。なお平均価格は$1,084,834であった。
この入札競争はオアフ島全体で起こったが、特に競争が激しかったのは、オアフ島西側のエヴァプレイン、オアフ島東側のカイルア、カネオヘであり、$700.000〜$999,999の価格帯の物件であり、売上全体の80%を占めた。
売上が最も多かった価格帯は700,000ドル~799,999ドルの価格帯で61軒、次に多かったのは800,000ドル~899,999ドルで55軒であった。また高額価格帯の2ミリオンドル以上の高額物件の販売数が21軒あった。
全体の売上の中で$700.000以上の物件が占める割合は25.7%増加、販売された戸建住宅の80%以上を占めた。
特に取引が増えたエリアはダイヤモンドヘッドとカイルアで、それぞれ40%増と60%増。対してホノルル中心地では28.6%も落ち込む結果となった。
コンドミニアムマーケット
2020年11月のコンドミニアム市場は引き続き回復基調ではあるものの苦戦気味。売上は前年同月比で6.2%下落した一方で中間価格は前年同月比で1.2%上昇し$420,000となった。もっとも売れた価格帯は$400,000〜$499,999で90軒、次に売れたのは$300,000〜$399,999で87軒、続いて$500,000〜$599,999で69軒となった。
戸建市場と同様に、コンドミニアム市場でも入札競争は激化しており、提示価格よりも上回った金額で取引された物件は前年同月比で79.2%も増加した。特に競争が激しかったのは、エヴァプレイン、ミリラニやワイアワのあるセントラル、そしてワイパフのエリアで、$300,000ドル〜$599,999の価格帯のコンドミニアムが提示価格を超えて販売された。
続く戸建住宅の在庫の低下
例年、冬場は新規のリスティング(売り出し)物件が減少する時期ではあるが、戸建住宅では前年比で10.8%増加、コンドミニアムでは前年比で4.1%減少した。
全体の在庫に関しては、戸建住宅では昨年同月比で34.0%減少し、在庫の低下が続いている。一方でコンドミニアムの在庫は、十分に在庫のある価格帯と在庫の少ない価格帯とがあり、$299,999以下、または$2,000,999以上の価格帯では在庫が多く、最も売れている中間の価格帯での在庫が昨年同月比で12.2%減少した。
なお、11月の在庫が市場にある期間は、中央値で戸建住宅で約10日間、コンドミニアムで約16日間となり、9月、10月に引き続き活発な取引が行われた。
ニューノーマル下でもハワイ不動産市場は安定
このように月毎の比較では、戸建・コンドミニアムともにロックダウン以前の水準に戻ったように見えるが、2020年全体の年間売上を昨年と比較してみると、戸建住宅がわずか昨年の全体売上より0.7%下回っただけなのに対し、コンドミニアムの売上は15.8%下落というかなりショッキングな結果が見えてきた。
一方で、ホノルル不動産協会会長のトリシア・ネコタ氏は、
「在庫が限られているにもかかわらず、住宅に対する需要が高いため、オアフ島の不動産市場は今回のロックダウンからニューノーマルに至るまでの期間にあっても、堅調で安定している」と断言している。
戸建住宅の売上と中間価格が伸びている要因としては、ローカルの歴史的な低金利によるリハウス需要と、新型コロナウイルスによるライフスタイルの変化にあるのは間違いないが、加えて、ワード・アラモアナエリアの高層コンドミニアムに物件を所有していた富裕層が、ロックダウンを契機により安全な環境を求めて戸建に住み替えたこと、また現在に至るまで新型コロナウイルスの猛威が治らないメインランドから富裕層がハワイへ移住してきていることなどの影響も大きいと思われる。
その上、11月に日本人渡航者に向けた事前テストプログラムの適用が始まったことに続き、12月にはカナダ及び韓国からの渡航者にも事前テストプラグラムが適応されることになれば、世界中からの買い手によるハワイ不動産の購入が更に活発になることが予想される。
これは業界としては望ましいことではあるが、一方で常にアフォーダブルな住宅の不足に苦しむローカルにとっては更なる悩みの種となりそうだ。
2020年12月が現在の需要と供給のバランスが悪い状態が続くのだろうか?そして2021年のハワイ不動産市場は2020年でロスしたモノを取り返すことができるのだろうか?まだまだハワイ不動産の動きから目が離せない。