目立つのはこんな中でも多くの新しいショップ、レストランがオープンしていること。観光客が戻ると共に、楽園ハワイの“らしさ”が戻ってきた。ぜひハワイの街の変化を実際に見にいらしてほしい。
水質が向上したハナウマ湾
パンデミックを経て、ハワイは大きく変わった。中でも大きいのが環境の変化。シュノーケリングビーチとして人気観光スポットであったハナウマ湾は、感染拡大を受けて2020年3月16日から12月2日まで261日間、閉鎖された。この閉鎖期間中に、水質が大きく向上したという。ハワイ大学の海洋生物研究所は「一般に公開されていた当時と比べると、閉鎖期間を経て海洋水の透明度が42%増した」と発表した。ハナウマ湾は水質維持のために休業日を設けているが、「以前の休業日と比べても18%透明度が増している」ということだった。
同研究所は、2021年の4月から6月に週に1回、採水して測定した。「人が長期間、水に入らなかったことで水中の堆積物が混濁せず、水質が向上。生息する魚の生態にも変化があり、ウミガメやモンクシール(ハワイのアザラシ)が出現する頻度も高くなった」と結論づけている。さらに、サンゴの健康悪化とされる白化現象が2020年以降は見られなかったという調査結果もある。ハワイで最初の「海洋生物保護区域」に指定されたハナウマ湾は、そのユニークな生態系を守るため、休業日を設けたり教育ビデオの視聴を義務づけたりなどの活動をしてきたが、感染防止のための入場制限が最も効果的な施策となったことになる。
ダイヤモンドヘッドの入場料も値上げ
パンデミックの影響なのかは不明だが、各所の値上がりが目立つのもコロナ後のハワイの特徴だ。
2020年10月からは、ハワイ州立公園において、観光ツアー目的の利用とハワイ州外からの観光客の入場料が値上げされた。トレイルコースとして人気のダイヤモンドヘッド州立公園の入場料は、レンタカーで行く場合は10ドル(従来は5ドル)、徒歩の場合は1人5ドル(従来は1ドル)となった(州在住者は無料)。ハワイ州立公園の入場料値上げは実に20年ぶり。5月12日からは州在住者以外にオンライン予約システムが導入され、14日前からの予約を受け付けている。混雑緩和と環境保全のための取り組みだ。
そのほか、1941年創業のバス会社ロバーツハワイが運行する送迎サービス「空港シャトル」はダニエルKイノウエ空港からワイキキ地区まで片道16ドルだった運賃が23ドルに、ワイキキから空港までは21ドルに改定された。レストランのメニュー料金も少しずつ値上がりしているようだ。昨今のガソリン値上がりに加え、輸送料金や郵便料金も上がり、さらに電気料金もオアフ島で約10%など大きく上昇し、各種コストが上昇しているのが要因と考えられる。
コロナ後の経済・ビジネス状況
ハワイ州全体の景気は上向いている。
グラフに示した通り、日本の消費税にあたるGEタックス(GeneralExcerciseTax)の徴収総額は2021年6月以降、コロナ前の2019年を超えている。あるレストラン経営者の話。「2021年夏からアメリカ本土からの観光客が殺到し、それ以降、2019年のパンデミック前の売上を超える状態が続いています。これまで多かった西海岸だけでなく東海岸や南部などさまざまな州から訪れているようです」
景気拡大を受けて、パンデミック直後に20% を超えた失業率は2022年3月には4.1%に。逆に飲食業や建設業を中心に人手不足が続いている。
一方、主要産業である観光業のほうはどうか。2021年夏以降、アメリカ本土からの観光客が急増し、観光客数は2021年7月には2019年同月の88%を超える回復を見せた。「海外に行けない米国本土の住民が旅行先にハワイを選んだ」「安価なハワイ行き航空券が出回った」など理由には諸説あるが、「ハワイ旅行は初めて」という旅行者が増えたのは事実のようだ。観光客数全体の回復は現状で65.3%だが、アメリカ本土からの観光客に限って見ると、94.1%の回復となっている。
ビジネス環境はどうか。リモートワークの推進などで一時オフィスの空室が目立ったが、現在は12%前後で推移している。一時、オフィス需要は借り手市場と言われた時期もあったが、賃料も含めて正常化に向かっていると言えるだろう。ただ、ワイキキの路面商業物件など観光エリアに関しては、いまだ空室が目立つ。その一方で伸びているのがオンラインセールス。オンラインセールスによる州全体の売上は2019年1月に2500万ドルだったが、2021年12月には1億8300万ドルと大幅に上昇した(州税務局調べ)。とくにロックダウンとなった2020年3月以降の伸びが目立っている。
コロナ前とコロナ後の変化について、ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)に聞いた。「州全体の景気は回復し、2019年のパンデミック前に戻ったと言えます。観光客数は米国本土からの旅客増加もあり2021年夏からは大幅な回復を見せ、日本の海外旅行マーケットがオープンすれば今後も増加し続けるでしょう。一方で失業率も月を追うごとに改善し続けており、オフィスの空室率は減少しています。オンラインビジネスの成長が顕著ではありますが、州全体の産業構造はパンデミックを経ても変わっていません。2020年に10.8%の落ち込み見せた州内総生産も、2021年全体ではコロナ前に比べて3.8%の伸びを示し、弊局では今後も伸び続ける経済見通しを発表しています」
ハワイはパンデミックの影響を見事に跳ね返したようだ。
※この記事は「ハワイに住む」マガジンVol.49(2022/5/16発行)の記事を元に作成しています。
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