ハワイでラグジュアリー不動産の売買取引に数多く携わっている一棟多代さん(ハワイ5−0プロパティーズの不動産取引主任)。
今回は、米国公認会計士(CPA)としてハワイでご活躍されているホー(鈴木)哲子さんに、一棟多代さんが「ハワイの不動産を購入する前にクリアにしておくべき税務上の4つのポイント」について伺いました。広島県福山市生まれ、奈良県生駒市育ち。1987年に渡米、南カリフォルニアでハイスクール、コミュニティカレッジを卒業後、ロスアンゼルスで日本航空に入社。その後フライトアテンダントとして米国系航空会社に転職。ハワイ在住25年目。邸宅の物件管理を手伝ったことをきっかけに、不動産ライセンスを取得。2018年にはブローカーライセンスを取得。現在、ハワイ5−0 プロパティーズの不動産取引主任(Broker-in-Charge)。
【プロフィール】ホー(鈴木)哲子さん (上写真 左側)
アメリカ公認会計士(CPA)、ホー(鈴木)哲子公認会計士事務所代表。国際公認会計士事務所で会計監査及びハワイ州税務局での税務監査業務などを経て35年前に独立。日本からハワイに進出し事業展開を行う多くの法人や不動産投資家をクライアントに抱える。
多代さん: 本日は、哲子さんのオフィスでインタビューする機会をいただき、ありがとうございます。 こちらの素敵な絵は、このオフィスを開設された時から飾られているものだそうですね。
哲子さん: はい、ハワイの画家のニキ・フーラーさんの作品です。この絵の背景はモアナサーフライダーホテルとワイキキビーチで、当時の写真が現在のモアナサーフライダー・ウェスティン・リゾート&スパに展示されています。
私がハワイに初めて来た55年前に、ニキ・フーラーさんが描いたプリンセス・カイウラニの肖像画がロイヤルハワイアンホテルに飾られていました。その憂いを帯びたスマイルに魅了されて、その絵の前に何度も足を運びました。絵を見ながらしばらく1人で時間を過ごすうちに、不思議と「ハワイで頑張っていこう!」という気持ちになりました。その絵はプリンセス・カイウラニがイギリスに留学寸前にとられた写真をベースに描かれたそうです。ロイヤルハワイアンホテルに滞在する世界各国からの訪問客からも同様な絵のリクエストが数多くあったそうです。 そのような経緯から、35年前にオフィスを開いた際に、ニキ・フーラーさんに「長年のファンです!」とお伝えして、描いていただいた絵です。それ以来、いつもこのオフィスとともにあり、見守っていただいているように感じます。
多代さん:とても素敵なお話ですね。
ハワイ不動産の購入・売却に際して
押さえておきたい税務上の重要なポイントとは
多代さん:哲子さんは、長年にわたり、
哲子さん:そうですね。日本のバブル時代には、ゴルフコース、ホテル、貸ビルなどの大型投資家が多く、その後は、減価償却を目的としてハワイ不動産を購入する方々が増えました。 経済状況の良い時も悪い時もタックスリターン(確定申告)は必ず提出しなければならないですから、会計士の立場から、日本とハワイの経済の変遷を見る事ができました。
多代さん:不動産のニーズも時代を反映して変わっていきますが、不動産エージェントとして税務上押さえておきたいポイントは何でしょうか?
哲子さん:お客様が「ハワイで不動産を購入したい」とお話されたときに、少なくとも以下の4つのポイントについて、事前にクリアにしておくべきだと思います。
- 購入目的:別荘なのか賃貸に出すのか?
また賃貸に出すなら長期か短期か? - 資金の出所:個人ならご本人のみか、
または別の人との共同出資となるのか? - 所有形態:個人、法人、また共同所有とするのか?
- プロベートの回避策:所有者が亡くなった時に、時間と費用のかかるプロベート(
検認裁判)を経ず相続するために、どの方法をとるか?
多代さん:どれも重要なポイントですね。
哲子さん:ハワイの不動産でも特に、大分前に購入された不動産を所有している方や、ご両親が所有している不動産を相続または売却する際は、注意が必要です。
購入時の資金の出所が法人なのに、個人名義所有になっているケースや、夫が購入資金を100%出しているのに、ご夫妻で50%ずつの共同所有名義になっているケースがございます。実態と所有形態が合致していないと、のちのち税務上での問題になる可能性が高いです。
多代さん:なるほど、相続や売却前に、資金源や所有形態を確認しておく必要がありますね。
この数年、多額の資金移動に対しては、日米両国で銀行の手続きや税務署審査が厳しくなってきました。 このように、資金の流れの実態と名義の不一致が判明した場合、どんな対策を取ればよいでしょうか?
哲子さん:
ハワイ州税務局に嘆願書を提出し、それが認められれば問題無く登記所で名義変更が可能です。しかしその際には、購入時点に遡った出金履歴や、その後の減価償却履歴などの書類を提出する必要があり、かなり煩雑な手続きとなります。
多代さん:哲子さんはハワイ州税務局に勤務されていたので、そういった税務局側の手続きや考え方にも精通していらっしゃいますね。
哲子さん:はい、その頃の経験が活きてくる時もあります。何にしても、トラブルが起きた後に修正をするとなると大事になることが多いです。そうならないように、購入時から売却のことまで視野に入れて、日米の会計士にご相談後に、行動されることをお薦めします。
税制は日米ともに変わってきますので、会計士同士でもケースごとの解釈について相談しあい、クライアントにとってベストな方法を常に探っていかなければならないと考えます。
多代さん:不動産エージェントは、税務上の観点から早い段階で会計士とお客様をお繋ぎすることが大切ですね。
最近のハワイの動向について
多代さん:最近の日本のお客様に、よく見られる傾向はありますか?
哲子さん:
アメリカ国内の投資案件に投資することで取得できるグリーンカード(EB-5:投資家ビザ)や、アメリカで事業のM&Aをすることで得られるE-2ビザを申請する方が増えております。
多代さん:不動産をはじめとした日本からハワイへの投資や人の流れも、さらに活発になっていきますね。
哲子さん:若い世代の方達はよく勉強されており、お金の流れについても自分でしっかり説明できるようにという意識を持っている人が多く感心しています。弊社も、諸税務の改変に応じて今後も様々なニーズをサポートしていきたいと思っております。
多代さん:不動産の取り扱いは、信頼できる会計士のサポートなしでは不可能です。本日はありがとうございました。
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