ハワイに不動産を所有している方にとっては気になることの一つが”家に関するトラブルが起きたときに、保険でどこまでカバーできるか?”という問題ではないだろうか。その「住宅保険」の状況が、いまアメリカでは大きく動いているという。
ハワイで多くの保険を取り扱う日本語もOKの保険エージェント、ショーン・アキオ・磯野さん(ビジネス・インシュランス・サービセス)にお話を伺った。
アメリカで相次ぐ大規模な災害により保険料が高騰しています
ショーンさん:
私は多くの保険会社の保険商品を扱うエージェントとして、アメリカ全土の保険業界の動きを見ていますが、この数年はかなり大きく動いており、日々刻々と状況が変わっています。
その理由としては、この数年間に立て続いて起きたアメリカ各地での大きな災害が最大の原因です。
2023年には日本でも大きく報じられたマウイとラハイナの山火事やハリケーン、2024年にも大きなハリケーンが立て続き、今年に入ってからはカリフォルニアでの多発的な山火事も発生しました。
これらの災害に対しての損害保険の支払いや、インフレなどの要素が合わさり、アメリカの各州で大幅な保険料の増加が起きています。保険会社が加入する再保険会社への保険料も上がっており、全体が高騰している形です。もちろんハワイ州でもその影響は顕著です。
ハワイに住宅を所有しているホームオーナーの方が住宅保険に関して知っておくべき最近の動き、注意していただきたいことについてお伝えしたいと思います。
ハワイに住宅を所有するホームオーナーが知っておきたい最新事情
住宅保険の新規加入や更新が難しくなっている
上記のように住宅保険の損害保険の支払い額が膨らんだことにより、住宅保険の新規の受け入れや更新を行わない、また特定のエリアから撤退する保険会社も出てきています。以前だったら見積もりを複数の保険会社からとって1番良いところを選べたものが、限られたチョイスの中から選ばざるを得ない状況も起きています。
またトラブルが多いコンドミニアムでは、そのコンドミニアムの全ユニットが保険加入を断られ、別の保険会社が見つかるまで無保険になっていた・・・・といったケースも出ています。
また、保険の内容についても今までよりもdecuctible(免責)の金額を引き上げられるケース、そのほかにも、法人として購入されたコンドミニアムに対して、保険はオーナー個人が加入していた場合に更新を断られるケースなどもあります。
この状況は、今しばらくは続くと考えています。管理会社さんにお任せしたっきり、という日本在住のオーナーさんも多いと思いますが、ご自身が所有しているコンドミニアムの状況などを、管理会社さんとしっかり情報共有し、ご自身の保険についても把握していただければと思います。
戸建ての住宅保険加入も以前より厳しく
ハワイでは築年数が古い戸建て物件が多いですが、この戸建ての保険の加入も以前よりも厳しくなりました。一つの目安は25年。築25年を超えた建物は屋根を取り替えていないと新しく保険に入る事は難しくなっています。去年から、保険会社が軒ずつルーフインスペクション(屋根の調査)を入れて実地確認するなど、”よい状態の物件ならば保険を継続するが、状態が悪ければ更新しない”など、顧客を精査する姿勢を見せています。
ぱっと見では綺麗な状態であっても、中身は・・・ということもありますので、保険を更新するためにも、ご自身が所有している物件の適切なメンテナンスの重要性が上がっていることをご理解ください。
保険を使うと更新ができない!?保険申請の判断は慎重に
上述した保険の新規加入や更新が難しい、という話とつながるのですが、何かユニット内でトラブルが起きたときに保険料を申請するかどうかの判断も、今まで以上に慎重にする必要があります。と言うのも、一度でも保険を利用したら次の更新が難しくなる傾向にあるからです。
保険を使った結果、更新ができなければ、次に加入する別の保険会社の保険料は確実に今よりも高くなります。 ”保険を申請するなら、更新ができなくなる覚悟で、ここぞという一回で使う”という状況になっています。
保険は内容により本当にケースバイケースなので、私も明確なラインは申し上げられませんが、”このくらいの損害なら自腹で修理しておいたほうがよいか・・・”という判断もありえるということです。
管理会社さんとの状況共有をしっかりと
このように状況が動いている今、保険料の値上げ、管理費の値上げが起きているので、当然、貸しているオーナーさんは賃料や室料の値上げなども視野に入れて動く必要があります。
何もないときは管理会社さんにお任せでも良いのですが、今のように状況が動いている際にはご自身でも管理会社さんと連絡を取り合って情報を取りにいき、いざという事態に向けて備えておくべきだと思います。
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