
グローバルエントリーカード
1. グローバルエントリーとは?
グローバルエントリー(Global Entry)とは、アメリカの税関国境警備局(Customs and Border Protection, CBP)が運営する、事前審査を受けた旅行者向けの入国審査優先プログラムである。グローバルエントリー保持者は米国入国時にグローバルエントリー保持者専用のキオスクを利用でき、通常の入国審査レーンの長い列に並ぶ必要がなくなるため、入国がスムーズになる。現在アメリカの60以上の空港にグローバルエントリー専用レーンがあり、他にもカナダの複数の空港やアブダビ空港などにも設置がある。
公式ウェブサイト:CBP Global Entry
https://www.cbp.gov/travel/trusted-traveler-programs/global-entry
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2. グローバルエントリーを取得できる国、日本が加わった経緯
グローバルエントリーは、特定の国の市民のみが申請できるプログラムであり、これまでにカナダ、ドイツ、イギリス、シンガポール、韓国など10数カ国の国民が対象となっていた。
2024年11月27日、日本政府と米国政府の間でのパイロットテスト期間を経て協議が進み、日本人もこのプログラムの対象となることが正式決定された。これにより、日本のパスポートを持つ旅行者もグローバルエントリーの申請が可能になり、米国入国時の手続きが大幅に簡素化されることとなった。
この決定の背景には、日米間の経済的・人的交流の活発化や、日本人旅行者の米国への渡航頻度の高さがある。特にハワイやロサンゼルス、ニューヨークなど、日本人旅行者に人気の目的地では、グローバルエントリーの導入により、入国の利便性がぐっと高まることが期待される。
3. グローバルエントリーを取得するメリットまとめ
グローバルエントリーを取得するメリットは以下の通り。米国入国時の待ち時間短縮
通常の入国審査レーンを利用せず、専用のキオスクで迅速に入国手続きを完了できる。通常入国審査のような質問をほとんど受けることなく(事前審査が終わっている前提で)入国できる。TSA PreCheckの利用による時間短縮
グローバルエントリーを取得するとTSA PreCheckも同時に取得できる。これは飛行場保安検査場(TSA)を通過する際に、通常レーンとは別のTSA PreCheckレーンを利用できる。このレーンは利用者数が少ないため待ち時間が短いほか、アメリカのTSAで求められる靴やジャケットを脱いだり、3-1-1リキッド(規定量の液体)やラップトップをバッグから取り出したりすることなく保安検査を通過できる。ホノルルから日本に帰国する際にもTSA PreCheckの専用レーンが利用可能となる。4. グローバルエントリーの申請方法と審査プロセス
申請方法
グローバルエントリーは一度取ると有効期限は5年。
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CBPの公式ウェブサイトからアカウントを作成し、Trusted Traveler Programsの中のからGlobal Entryを選択、申請フォームに記入。
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申請料($120)を支払う。
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申請フォームが受け付けられ、PendingReview(審査待ち)になったら、戸籍謄本(原本)を下記の住所宛に送付する。
東京入国管理局 審査管理部(GEP担当)
〒108-8255 東京都港区港南5-5-30 -
ステイタスがConditionally Approved(条件付き承認)になったら面接予約。
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米国の指定された入国審査オフィスで対面面接を受ける。または、Enrollment on Arrival (EoA)(※次の項で説明)を利用し、米国入国時に到着空港で面接を受けることも可能。
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面接で承認されると、グローバルエントリーカードが後日届く。
申請フォームの入力には、過去5年間の住所や渡航歴なども詳しく記入する欄があるため、少々時間が必要だが、正確に書くこと。また「戸籍謄本まで取り寄せるのか!」と思った方は、アメリカ渡航回数との兼ね合いで検討するのが良いのでは。
家族で申請する場合、グローバルエントリーは個人ごとの登録が必要であり、親子であってもそれぞれが申請し、面接を受ける必要がある。未成年の場合、保護者が付き添う必要があるが、審査基準は大人と同様となる。
Enrollment on Arrival(EoA)とは?
EoAが可能な空港・オフィス
ホノルル空港を含めた主要空港では、米国到着時に入国審査と同時に面接を受けることが可能なEnrollment on Arrival(EoA)制度がある。アメリカ在住の方は、最寄りの面接可能オフィスに面接予約をするほうが早い場合もあるが、日本在住の方は、アメリカ入国時にグローバルエントリーの面接が受けるのがよいだろう。
Enrollment Centerのあるアメリカの全空港リストはこちら。
日本人利用の多いEoAが利用できる主要空港の一部:
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ホノルル国際空港(HNL)
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グアム国際空港(GUM)
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ロサンゼルス国際空港(LAX)
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ジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)
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サンフランシスコ国際空港(SFO)
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シカゴ・オヘア国際空港(ORD)
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ダラス・フォートワース国際空港(DFW) など
ちなみに筆者は、グローバルエントリー「条件付き承認」のステイタスとなった際にEoAのことを知らずにホノルル空港面接予約を入れていた。その間にホノルル空港からアメリカに入国することがあり、通常の入国審査レーンで入国審査を受けたところ、審査官が「グローバルエントリーの面接予約が入っていますね。このまま、面接を受けていきますか?」と尋ねてくれ、すぐ横の別ブースに移動して面接する流れになった。
面接の際に聞かれたことは、なぜグローバルエントリーを取りたいのか、どのくらいの頻度で海外渡航するかなど、英語での数問の簡単な面接で即承認となり、1週間ほどでカードが送られてきた。日本にお住まいの方はもう少しかかるかもしれないが、書類審査さえ問題なければ、面接は簡単なことが多いようだ。
また過去にはCBPの審査官が来日し、東京および大阪で特別に面接会が行われたこともある。今後の動きはアメリカ大使館ビザ課のウェブサイトやX(旧ツイッター)アカウントなどで今後の動きもチェックするとよい。
5. グローバルエントリー取得後の航空券予約方法
グローバルエントリーは、CBPは保安検査が簡略化のプログラムとして推奨する「トラスティッド・トラベラー・プログラム Trusted Traveler Program(TTP)」制度のひとつ。そのほかにも他にカナダ向けNEXUS、メキシコ向けのSENTRIなどの複数のプログラムがある。それらを総称して「ノウントラベラーナンバー Known Traveler Number(KTN)」と呼ぶ。
グローバルエントリー取得後にオンラインでの航空券予約の際には、この「Know Traveler Number#」欄に、Grobal Entryカードの裏面左上の「PASSID」の下の9桁のナンバーを入力する。(裏面は数字だらけなので要注意!!)

6.ハワイ・ホノルル空港でのグローバルエントリーの入国方法
ハワイのホノルル空港(ダニエル・K・イノウエ国際空港)では、グローバルエントリー専用キオスクが通常の入国審査レーンの右側に数台、設置されており、以下のような流れで入国できる。
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飛行機を降りた後、グローバルエントリーのキオスクへ直行。
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パスポートと指紋認証、顔写真のチェック行う。
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キオスクから出てくるレシートを取得。
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入国審査官にレシートを見せ、税関を通過して入国完了。
通常のホノルルの入国審査では、複数便が同時刻帯に到着するため1時間以上並ぶこともあるし、英語で審査官に質問をされる緊張感もある。しかしグローバルエントリーを利用すると、数分で入国できることが多く、特にホノルル空港のような観光客の多い空港では大きなメリットとなる。
2024年10月にホノルル空港でグローバルエントリー入国した際は、実質的には名前の確認をされただけで、質問ゼロ・待ち時間ゼロだった。
また出国時のTSAレーンが大行列になるホノルル空港ではTSA PreCheckレーンが使えることもグローバルエントリーの嬉しいポイント。ただし、空港によって運用にばらつきがあるようだ。2025年2月にホノルルからLA行きの国内線に乗る際には、TSA PreCheckレーンだったにも関わらず、通常のTSA同様に靴を脱がされ、ラップトップなども取り出すように言われた。しかし、LAからホノルルに戻る際には靴も脱がず、カバンもそのままでOKだった。
長いフライト前後に行列するのはうんざりするもの。待つのが嫌な人、日本からハワイに頻繁に来る方や、アメリカ国内で移動が多い方などは持っておいて損はない。
現時点では、日本人へのグローバルエントリー発行件数に関する具体的な統計はないが、日本人の米国渡航者は出張者や米国在住者も多いため、今後急速に普及する可能性が高い。