株式会社ゼットン菊地大輔さんにインタビュー【ハワイで活躍するビジネスパーソン】

更新日　2025.02.28

ハワイで瞬く間に10店舗を展開。いま最も勢いのある飲食グループと言われるのがゼットン。ハワイの店舗開発を牽引してきた菊地さんは、 2025年3月1日より日本本社の代表取締役社長に就任。「飲食の世界は人がすべて」と言い切る彼は、自身も人の出会いに助けられたと語る。

ZETTON 株式会社ゼットン代表取締役社長兼 ZETTON, INC. Chairman
菊地大輔さん

プロフィール
菊地大輔（きくち　だいすけ）さん
1974年東京生まれ。大学卒業後アパレル会社勤務を経てオーストラリアに移住。2002年に帰国後、アルバイトとして株式会社ゼットン入社。その後社員となり、店長職、エリアマネージャー、営業部長などを経て、13年執行役員に。15年ZETTON, Inc. Hawaiiのディレクターを兼任。17年ハワイに移住し、ハワイ法人COO。20年からは本社取締役副社長を兼務し、 21年ハワイ法人CEOに就任。24年からハワイ法人チェアマン、25年3月より本社代表取締役社長に就任。

人を育て、人に育てられたから今がある。
自分を育ててくれた飲食業界に恩返ししたい。

　僕らのいる飲食業界は、フードやドリンクを提供していますが、モノ消費ではなくコト消費の世界です。贅沢で楽しい時間、空間を売っています。外食って、今も昔もやっぱり特別な機会。友人同士でも家族でも、日常と少し違う時間、場面を過ごすものです。そんな時間を生み出すためには、店舗空間だけでなく、そこにいるスタッフが生み出す楽しい雰囲気も、すごく重要です。

今でも僕の仕事のキモは人を育てること。人が育てば、店も育ちます。それがお客様に伝わり、売上につながる。経営者としては、店が存続するためにしっかり売上を作ることも大事。売上があるということは、それだけ地域の皆様に受け入れられているということですから。店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。これは弊社のスローガンですが、ハワイでも実践しています。

　2017年にハワイのZETTON, INC.に着任し８年たちましたが、一貫して取り組んだのがスタッフの教育でした。とくに店を束ねるマネージャー陣。正直、着任前は問題だらけ（苦笑）。人をもてなす、という飲食の基本姿勢から問いただし、一人一人と徹底的に話し合いました。従業員の待遇も改善し、ようやく体制が整ってきたなと思っていたらコロナ禍に。心が折れそうになりました。

でも、そこも人なんですよね。人の育成に力を入れたおかげであの難局を乗り切れた。店を離れるスタッフも少なく、逆に出店攻勢に出ることができました。新規オープンの際にはスタッフ皆でアイデアを出し合い店づくりをしていきます。それをお客様が楽しんでくれれば、我々も嬉しい。想いが伝われば、お客様は何度も来てくれます。そんな店を増やすことができたかなと思います。会社全体の数％だったハワイの売上が、今では30％まで増えています。

スタッフたちとの集合写真。
定期的に店舗を休業にして
スタッフが交流する日を確保しているのも、
人を育てる仕事の一環だ。

　思えば、私も人にもまれ、人に育てられました。新卒で入社した会社を翌年退職し、海外をウロウロして帰国した、真っ黒に日焼けした怪しい（苦笑）若者を「面白い奴だ」と雇ってくれたのが、弊社ゼットンの現社長である鈴木伸典でした。僕にとっては今でも兄貴のような存在です。

その後、鈴木に口説かれて、そんな気はなかったのに（笑）正社員に。それからはもう怒涛の日々でした。誰よりも働き、誰よりも楽しんだ。いつの間にか本部長とか管理職になり、実は2017年頃は日本での仕事に一区切りして独立したいと考えていた時期なんです。兄貴分が社長になったし、もう自分がやることもないかなと。それで、海外事業を担当したいと言ったら、「じゃハワイやれ」と言われて。2017年に、肩書もなく送り込まれました。

　それからは、また日本の若い頃のようにイチからスタートするつもりで奮闘しました。大変でしたが、おかげさまで何とか形になり、現在はハワイ法人社長を長谷川誠に継承し、ハワイと共に日本のゼットンの経営にも再び携わっています。

初めて飲食業に携わったオーストラリアのカフェで見た光景が僕の原点。スタッフもお客様もとても楽しそうで、キラキラした時間を過ごしていました。そんな空間を世界中の皆様に提供したい。20年以上も僕を引っ張ってくれた飲食の世界に、今度はどんな貢献ができるか。一緒に成長してきた仲間たちと共に、考えたいと思います。