30年勤務した銀行を退職し起業した半田さんが、その拠点に選んだのは東京とホノルル。来たるべく超高齢化社会を見据えたサービスを 展開していくという同社が、なぜホノルルをビジネスの舞台に選んだのか、 そして目指す先にあるものは何なのか。想いを伺った。
ステージゲート・ジャパン 代表取締役社長 半田哲也さん

1970年東京都生まれ。大学卒業後の1994年、住友 信託銀行に入社。銀行窓口業務、財務相談業務、不動産・ローン業務を経験した後、海外での企業買収 (M&A)、国内での銀行統合プロジェクト等を担当。 ルクセンブルク三井住友信託銀行および米国三井 住友信託銀行にて社長を歴任。2024年に退社を決 意し、StageGate Japan Co., Ltdを設立。南青山、ホノルル、種子島にオフィスを構える。また、海外の日本人学校の理事長を務め、アフリカの恵まれない子供たちのサポートなどにも取り組んでいる。
30年勤務した銀行を辞めて起業。
ホノルルに拠点を構えた理由を話します。

人生100年時代と言われていますが、私は人生50年だと思って全力疾走していました。昭和の象徴とも言える存在の美空ひばりも石原裕次郎も52歳で亡くなっています。自分は50代半ばになりつつあるのに、いまだ真の自己実現ができていないもどかしさがありました。銀行員を続けるという選択肢もありましたが、それを選ぶことよりも、自分が世界を変えていきたいという気持ちが強かったのだと思います。
米国社長在任時に過去最高収益を記録し、一定の成果を上げた実感はありました。大きな組織でしかできないこともありますが、逆に小さな組織だからこそ、時代の変化に負けないスピード感で実現可能なことも認識していました。自らの頭の中にある様々な想い・アイディアを、独自の手法・感性に従って自由に物事を決められる立場で思う存分やってみたかった。もう第一ラウンドは終わった。それならば、あとは後進たちに道を譲って、自分は自分の道を行こう。ちょうど周囲の同年代たちが同じ想いを抱いていたということもあり、起業を決めました。
新しい会社のテーマは大きく5つあります。①高齢化社会②介護・医療・終活③エンターテインメント④金融(資産管理・運用)⑤衣食住(ファッション・飲食・不動産・インテリア)。これまでの社会に「ありそうでなかったサービス」を、世界中の人々に提供していくことを目指します。
拠点にもなる予定で、現在は農作物の育成やお酒の生産などに挑戦し始めている。
これらのテーマを考えた時、もはや「国」という枠組みは意味を持ちません。判断や行動の基準になるのはあくまで「人」であり、国や国籍は本質ではない。まず最初に展開しようとしているビジネス「宇宙葬」を考えた時、“天国に近い島”と言われるハワイはふさわしいと直感しました。故人が夜空に輝く美しいお星様になり、それをハワイの美しい星空で眺める幸せは、唯一無二だと思うのです。

宇宙葬と言うと高額なイメージがありますが、ご遺骨の量に応じて、手のひらサイズ(50gまで)が55万円、人こぶしサイズ(200gまで)が110万円、人一人分(2kgまで)が550万円~と、現実的な料金に設定しています。SPACEX社と契約し、無人ロケットにより打ち上げたご遺骨が葬儀専用の人工衛星に乗り、地球の周回軌道に乗って周回し続ける仕組み。「大切な人が星になり輝き続ける」ことのできる夢とロマンあふれる葬儀です。
またもう一つ、「デジタルセラピードッグ」の取り扱いも開始します。お年寄りに「癒し」を、スマートフォンやタブレットといった「現代のツールに関するスキルやノウハウ」を、そうしたお年寄りを見守っている側の人々に「安心」を与えることができます。
自分がいた信託銀行の精神は、「ゆりかごから墓場まで」。人が生まれてから亡くなるまで一生涯にわたり、その人に寄り添い、信じて託してもらえる存在になること。これからの超高齢化社会を生きる人々に、どのようなサービスを提供することが最善か。それを新会社でも追求していきます。
やりたいことは山ほどあります。そう考えると、幸せな50代なのかもしれませんね。日本とハワイを拠点に、世界を相手にどんなことができるか。とにかく今は、ワクワクしています。



