ハワイの弁護士が教える「日本とは全く違うアメリカの相続事情とは?」

ハワイの弁護士が教える「日本とは全く違うアメリカの相続事情とは?」

更新日 2019.05.24

2019年7月6日(土)に東京・日本橋で開催される、「第5回ハワイに住む主催 ハワイ不動産・ビジネス・移住・教育セミナー」にも登壇される佐野郁子弁護士にアメリカの相続対策についてお話を伺いました。

目次

ハワイ不動産を購入したり、アメリカに不動産以外でも資産を持つ方にに知っておいて頂きたいのが、アメリカの相続対策。そんな相続事情を事前に理解し、対策をすることが余計なお金や時間をかけないための1番の近道です。
 

【プロフィール】佐野郁子弁護士(佐野&アソシエーツ)
アメリカで15年の実績を持ち、カリフォルニア、ハワイ、ニューヨーク各州の弁護士ライセンスをもつ日本人弁護士。専門はエステートプラン・リビングトラスト・アメリカ(日米間)の相続・資産形成・相続対策・節税対策・財産分与など。日米間の相続にも精通。日本生まれハワイ育ちで日米の文化や法律を熟知しているため、きめ細やかな法務サービスに定評がある。明治大学法学部、チューレーン法科大学院卒業。

日本では有効な「遺言書」が使えない・・・?
アメリカならではの裁判手続き「プロベート」とは?

 日本で相続対策といえば「遺言書」が一般的です。亡くなった時に自分の財産を「誰に・何を・どれだけ託すか」遺産分割を明記した書類です。アメリカにも遺言書(Will)があります。日本と同様、遺産分割を明記した書類ですが、アメリカの場合は遺言書があってもなくても、所有財産の総額が州法に定められた一定額を超える場合は「プロベート」という裁判所の監視下で行われる遺産分割・相続手続きが必要となります。
 遺言書に「不動産は長男に託す」や「金融資産は長女に託す」と明記されていてもプロベートは必要となります。裁判所の手続きを経ないと実際の相続(名義変更や売却) ができません。遺言書があれば、遺言書で指定された相続人が相続します。遺言書がなければ州法に基づく法定相続人が相続します。何れにせよ、「プロベート」を経ないと相続はできません。プロベートによる遺産分割・相続手続きは日本の相続手続きとは大きく異なります。

相続に期間を要し、お金もかかる「プロベート」

 プロベートの規定は州によって異なりますが、 ハワイ州の場合、亡くなった方の所有財産の総額 が100,000ドル以上ある場合にプロベートが必要となります。亡くなった方、または相続人がアメリカ人であってもアメリカに住んでいなくても、一切関係ありません。アメリカにある財産全てがプロベートの対象となります。例外として、生命保険など死亡時の受取人を予め指定してる財産はプロベートの対象にはなりません。  
 プロベートの手続きが始まると、完了するまでスムーズに行われても数カ月から数年かかります。この間遺産は凍結し、不動産にかかる管理費や固定資産税は支払わなくてはならず、出費がかかるケースも珍しくありません。アメリカではプロベートを避けるために、「リビングトラスト」が用いられることが一般的です。

回避できない「プロベート」を避けることができる「リビングトラスト」

 「リビングトラスト」とは、財産管理用の会社を設立するイメージです。「トラスト合意書」という書類を作成し、亡くなった後にトラストに残った自分の財産を「誰に・何を・どれだけ・どのように託すか」トラスト合意書に明記しておきます。そして相続の対象となる財産を予めリビングトラストの名義にしておきます。
 リビングトラストは遺言書と同じ働きをしますが、遺言書と異なる点は遺言書は「個人の財産」をどうするか明記する書類である一方、リビングトラストは「法人の財産」をどうするか明記する書類です。つまり、お亡くなりになった時に「個人で所有している資産がない・相続の対象となる財産はない」とみなされるため、プロベートを回避することができます。プロベートの必要がないため、スムーズに財産分与が進められるのが利点です。 リビングトラストは死後の財産分与に役立つだけではなく、認知症などの理由でご自身で資産管理ができなくなった時にも役立ちます。

リビングトラストとは別の方法「Transfer On Death Deed(TODD)」

 プロベートを回避するもう一つの手段として、 ハワイ州では「Transfer On Death Deed(TODD)」が利用できます。不動産の「死亡時の受取人」を予め指定しておく書類なので、該当する不動産だけが対象となります。Transfer On Death Deed(TODD)は死亡時の受取人を指定するだけで「代わりの受取人」を指定することはできず「Aが相続しなかったらBに」、「売却してAとBに」、「Aが未成年だったらBに」というような条件を付けることもできません。さらに所有者の死亡時にプロベートを避けることができても、所有者が病気などで資産管理をすることができなくなった時や、不動産の売却手続きを行うことができなくなった時には問題が発生します。  
 なのでTransfer On Death Deed(TODD)を利用する場合はセットで委任状を用意することが好ましいでしょう。リビングトラストはアメリカにある全ての財産に適用される一方、繰り返しますがTransfer On Death Deed (TODD)は該当する不動産だけが対象となります。裁判所の関与なく該当する不動産の名義変更(相続)が可能であっても、その他の財産がプロベートの対象となる可能性もありますので要注意です。



いかがでしたか。今回はアメリカの相続の基礎的な部分を伺いましたが、相続・節税対策としてハワイ州にある4つの不動産登記方法やリビングトラストの詳しいお話など、日米の文化に精通し、日米の相続に詳しい佐野弁護士にお話を聞いて準備しておくことをお勧めします。


 

また、7月6日(土)に東京で開催されるセミナーでは、そんな佐野弁護士に個別に無料で相談できるブースも併設しております。聞きづらい質問なども、この機会に聞いてみてはいかがでしょうか?


セミナーの詳細・お申込みについてはこちら>>
 

 


東京のセミナーとは別に、ハワイでも佐野弁護士のお話がきけるセミナーが開催されます。ハワイ在住の方はこちらへどうぞ。

【相続セミナー in Hawaii】
日時:5/30(木)31日(金)午後2時~
場所:1003 Bishop Street, Suite 2700(パウアヒタワー27階)
セミナー参加費:無料/個別相談:有料
申込みはこちら

佐野弁護士の詳細、お問合せはこちらから>>

 

関連キーワード

合わせて読みたい記事

各カテゴリーのお知らせを見る

不動産会社・
エージェントにお問合せ
閉じる