アメリカの市民権を取得するための手続きと日本国籍離脱について

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アメリカの市民権を取得するための手続きと日本国籍離脱について

更新日 2018.09.27


アメリカにいながら日本国籍を保持する米国永住権(グリーンカード)とは違い、米国市民権を取得するということは、米国籍を取得し日本国籍を離脱することになります。米国市民権を取得する場合の手続き、日本国籍離脱とその影響について説明します。

米国市民権を取得するための条件

2017年にドナルド・トランプ大統領政権が誕生後、米国の移民法が厳格になったことから、グリーンカード保持者が、権利確保のために米国市民権を取得する件数が増加しています。

米国市民権は、米国市民との結婚により永住権を取得した場合は3年、それ以外の取得方法では5年経過後に申請することが可能です。 

ほかの条件としては、18歳以上であること、過去30ヶ月間(米国市民と結婚している場合は18ヶ月間)米国内に居住していること、居住している州内、あるいは申請する米国移民局(USCIS)の管轄内に、過去3ヶ月間居住していることなどが挙げられます。

アメリカ 国籍 パスポート 市民権

米国市民権を取得するプロセス

  • 1)申請書を入手して記入する 
    米国市民権を取得する手続きとして、まずN-400と呼ばれる申請書類をUSCISのウェブサイト(下記)でオンライン申請するか、またはダウンロードして記入します。
  • 2)申請書類をUSCISに送付する 
    申請書類と写真2枚、パスポートとグリーンカードのコピー(表裏)に申請費を添えて、ハワイ州を管轄するUSCISに申請費と共に送付します。申請費は、2018年12月現在640ドル、バイオメトリックス費85ドルで、計725ドルです(小切手可)。バイオメトリックス費は、75歳以上の場合必要ありません。
  • 3)バイオメトリックス(顔写真撮影と指紋採取)を受ける 
    申請書類が受理された後は、バイオメトリックスの通知が届き、顔写真撮影と指紋採取が行われ、この際に過去の犯罪歴について尋ねられます。スピード違反や駐車違反などは問題ありませんが、飲酒運転を含む犯罪歴を持つ場合は、弁護士を立てたほうが良いでしょう。
  • 4)面接と米国市民学試験を受ける 
    面接と試験では、英語力、および米国の政治や歴史に関する理解についてテストされます。英語については、読み書きと会話能力が試されます。市民学については、出題される問題集を事前に、USCISのサイトからダウンロードできます。試験は2回まで受験可能です。
    50歳以上で過去20年以上米国に居住している場合、また55歳以上で15年以上居住している場合は、通訳をつけることが可能。

合格すると通知が届き、米国市民としての宣誓を行います。 

市民権取得申請数が大幅に増加したため、申請から取得までには約1年程度かかることが見込まれます。申請内容に問題がある場合は、それ以上時間がかかる場合もあります。

60歳以上で過去20年以上、米国に移住している場合は、問題数が少なく合格がしやすくなっています。

特別な事情や状況にある方は、あらかじめ移民弁護士に相談することをおすすめします。

市民権取得の際のチェックポイント

  • 犯罪歴の有無
    犯罪歴がある場合、裁判結果を記した書類を持参すること
  • 半年以上の国外滞在歴
    半年以上の国外滞在歴がある場合、米国に居住する意思がないと思われ、最悪の場合はグリーンカードの返還を求められるケースも
  • 税金申告
    面接の際に、米国市民と結婚している場合過去3年、それ以外の場合過去5年間の税申告書類を持参
  • 兵役登録
    18~26歳の男性は兵役登録証明書が必要。26~31歳以下の場合は(該当する場合)兵役登録をしていた証明
  • 結婚・離婚・名前変更の証明
    結婚証明書、離婚判決書、法的に名前を変更した際の判決書、配偶者の過去の離婚判決書など
  • 英語力
    英語力の有無は大きなポイント
  • 市民学
    試験の点数成績が悪いと不利に。市民権受験クラスを受けた証明があれば有利
  • 米国への忠誠心
    市民権を得る前に、宣誓式で米国とその憲法を守る意志、および忠誠心を誓う

【参考】 米国移民局(USCIS)
ウェブサイト:www.uscis.gov

【情報提供・監修】
ドナルド日谷弁護士

住所:220 South King St., #1680, Honolulu, HI 96813 
電話:(808)526-1122 
Eメール:lawoffice@hidani.com

日本国籍離脱と国籍喪失届について

日本国籍を持っている人が自分の意思で外国籍を取得した場合、日本国籍を喪失します。(国籍法第11条)。また、子供が未成年のときに、親など法定代理人が外国籍取得の手続きをとった場合も、自己の志望による外国籍の取得に当たると考えられています。 

日本国籍を喪失した場合には、本人、配偶者又は四親等内の親族が、所定の届出書2通に以下の書類を添えて、在外公館(日本大使館・総領事館)または日本国内の本籍地を管轄している市区町村役場へ国籍喪失届を提出する必要があります。

  • 1)国籍喪失届書 2通(届書は窓口で入手できます)
  • 2)米国政府発行の帰化証明書和文訳 2通(1通はコピーで可)
  • 3)米国政府発行の帰化証明書 2通

なお、日本国民が自己の志望によって外国の国籍を取得した場合は、本人からの届出がなく日本の戸籍簿から除籍されていなくとも、日本の国籍法の規定により日本国籍を失うこととなっていますので、日本のパスポートを取得・行使することはできません。また、在外選挙人名簿登録の資格はありません。

【参考】
在アメリカ合衆国日本国大使館
ウェブサイト:http://www.us.emb-japan.go.jp/j/koseki/koseki_top.html
在ホノルル日本国総領事館
ウェブサイト:http://www.honolulu.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/koseki05.html

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