ハワイ不動産、相続トラブル事例と回避策! 日米間の相続やエステートプランニングに強い佐野郁子弁護士に聞く

更新日 2025.04.10

海外資産の増加と高まる相続対策の必要性

近年、日本の富裕層の間で海外資産の保有が進んでいる。特にアメリカの不動産は、資産としての安定性がく、利回りが日本よりも高いことなどから、不動産、金融商品、保険商品などさまざまな形でドル資産を保有する人が増加している。

しかしそれに伴って、考えておかねばならないのが、日本とアメリカの間の国を超えた相続手続きだ。相続手続きの煩雑さや日米間の制度の違いが資産承継を困難にする要因となっており、発生するトラブルや課税リスクも深刻化している。
 

日本では「相続は亡くなってから考えるもの」という意識が根強く、相続対策が後回しにされがちである。一方アメリカでは、生前に財産の分配や

管理方法を明確にする「エステートプランニング」が一般的であり、リビングトラスト(生前信託)などを活用することで、遺族の負担を最小限に抑える仕組みが整っている。
 

佐野郁子弁護士は、ハワイ、カリフォルニア、ニューヨーク、ワシントンと4つの州の弁護士資格を持つ、日米間の相続やエステートプランニングの専門家として20年以上のキャリアを持つ。

今回は、佐野先生のシリーズ記事として「ハワイ不動産、相続トラブル事例と回避策!」の総集編をお送りする。

本記事でまとめた相続トラブル事例を読めば、”日米の違いをしっかり理解しておくこと”そして”早めの準備が重要”と分かっていただけるだろう。

佐野先生のようなプロフェッショナルの手も借りて、大切な資産を守り引き継ぐためのエステートプラニングをはじめよう。

事例1: 家族4人の名義(Joint Tenancy)で所有していたハワイ不動産。父母の死後、思わぬ兄弟の不仲の原因に!

アメリカには「プロベート」と呼ばれる亡くなった人の遺産を法的に整理・分配するために裁判所を通す手続きがある。遺言の有無を確認し、債務清算後に相続人へ資産を分配するため、時間と費用がかかる。

この事例では、ハワイ不動産の購入時、不動産エージェントより”名義に家族全員の名前を入れておくことで、父または母が死亡した場合の相続発生時にプロベートの必要がなくハワイ不動産を家族に残せる”というアドバイスをもらい「Joint Tenancy」という所有形態で購入。父母と、長男、長女、それぞれが25%ずつ所有する形を選んだ。

父と母が亡くなった後、長男と長女は父母の予想していなかったトラブルに発展した。 

良かれと思って父母が講じていた策が仇となったケース。回避方法も含めてこちらでご紹介している。

事例2:母と娘で共同所有(Tenancy in common)のハワイ不動産。所有名義が問題となり、相続時に面倒な手続きが発生!

母と娘がハワイの不動産物件をテナンシー・イン・コモン(Tenancy in Common)という形態で購入し、娘がそのハワイの物件に居住していた。しかし、母が亡くなり、娘が母の持分を相続することになったが、このテナンシー・イン・コモンという形態だったことにより、回避できたはずのプロベートの対象になってしまった・・・・というケース。
 

事例3:TODD(Transfer On Death Deed)を利用して死亡時の受取人を決めていたにも関わらず相続のトラブルに発展した5大事例

プロベートを回避する手段として、 ハワイ州では「Transfer On Death Deed(TODD)」という方法がある。これは不動産の「死亡時の受取人」を予め登記しておく書類。不動産の所有者が他界時、TODDが登記されていれば、プロベートなく指定された受遺者がその不動産を相続することができる。しかし、それもきちんと然るべき手順を踏んで、完了しておかねば意味がなくなってしまう・・・・というトラブルの5つのケースについて、佐野先生にお話を伺った。 
 

事例4:相続対策として母の所有していたハワイ不動産の名義を娘夫婦への変更。それが思わぬトラブルに!

ハワイに所有していた母親の不動産を、娘夫婦のためにと名義変更を行ったところ、日本の税務調査で「母親から不動産を娘夫婦に贈与した」とみなされ贈与税が課税さることに。その後、慌てて娘夫婦の名義から母親の名義に戻してしまった。今度は「娘夫婦から母親に贈与があった」と問われ二重課税になる羽目に・・・・

例え親子間など関係者同士の名義変更であっても、贈与と見なされれば贈与の申告や納税義務が生じる。また、実際にお金の動きがなくても、売却と見なされればキャピタルゲイン税やFIRPTA・HARPTAの納税義務が生じるので注意が必要というケース。

しかしこちらも回避策がある。佐野先生に聞いてみた。 




 

いかがだっただろうか?
ハワイ不動産を購入したのが親世代で、子供がそれを相続する、というケースにおいては、所有期間に不動産価値が大きく膨れ上がっていることも多く、どのような形・タイミングで納税や相続、名義変更を行うかなど考えるポイントが多い。

また日本では贈与はもらう側が税を支払うが、アメリカでは贈る側が税を払った残りを渡す、などそもそも日米の贈与に関する考え方が違う、など知らずに動いてしまうとリスクが大きい。
 

ハワイ不動産を購入されている方も、これから購入しようという方も、長い目での”エステートプランニング”を考えておくことをお勧めする。

この道20年以上のプロフェッショナル 佐野郁子先生へのお問い合わせはこちらから。

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