ホノルルリアルター協会が発表した統計を元に2025年3月のオアフ島不動産マーケットについてレポートする。
2025年第1四半期が終了した3月。昨年同月比で戸建てマーケットは売買件数が下がり、コンドミニアムマーケットは逆に上がるという対象的な動きを見せた1ヶ月となった。
ホノルルリアルター協会による 2025年3月のマーケットレポートサマリー
- 戸建住宅の中間価格は前年同月比5.5%増の$1,160,000
- 戸建住宅の販売数は206件、前年同月比で10.4%減
- 売出期間は先月よりも8日短くなり、15日間
- コンドミニアムの中間価格は前年同月と同額の$500,000
- コンドミニアムの販売数は369件、前年同月比で7.3%増
- 売出期間は先月より8日遅くなり、40日間
ここからそれぞれの主要な指標についてお伝えする。
中間価格
(チャートは緑のラインが戸建て、黄色のラインがコンド。以下のチャートはすべて同じ)
2025年3月の中間価格は前年同月の1,100,000ドルから5.5%上昇し、1,160,000ドルとなった。その一方でコンドミニアムの中央値価格は昨年同月と同額の500,000ドルとなった。
中間価格ついては、先月、2025年2月に戸建ての中間価格が過去最高となる1,185,000ドルを記録したとお伝えしたが、この3月にはもう一つ、オアフ島不動産にとって大きなニュースがあった。
それがカハラの海沿いの豪邸、6,570万ドル(約86億円)の売買成立で、ハワイの住宅史上、過去価格記録を樹立した。

この破格の高額物件を含めると含めないとでは、オアフ島の3月の売買の平均価格が全く変わってしまうという結果に。この物件を含めた平均価格は1,819,326ドルに跳ね上がり、この物件を抜くと1,507,469ドルになってしまう(しかし中間価格には影響なし)と、一件でとんでもない異常値を叩き出すインパクト大の売買となった。
価格帯別の販売件数
全体の売買件数としては、前述の通り、戸建ては前年同月の230件から10.4%減少の206件となった。
その価格帯別の内訳は以下の通りとなっている。
戸建ては昨年同月との比較でみると、80万ドル台の物件売買が34件から20件へと大幅にダウンし、逆に300万ドル以上と高額物件が9件から15件へと大きく伸びた。
コンドミニアムについては売買件数が昨年の344件から369件へと7.3%増加と戸建てとは対照的となった。
中間価格の50万ドルを挟んだ40ー50万、50-60万ドルのボリュームゾーンの売買はもちろんそれぞれ60件と多い。しかし100万ドル以上の高額コンドミニアムも伸びている。100ー150万ドルで、昨年同月の13件から今年3月は19件に大幅な伸びを示した。また200万ドル以上の超高額コンドミニアムも8件が売買成立し、高額物件も引き続き強い。
売出し期間
(チャートは緑のラインが戸建て、黄色のラインがコンド。)
売り出し期間の中間値は戸建てで15日となり、先月の23日から8日短縮した。昨年同月の31日と比較しても、約半分の期間となった。
また、コンドミニアムについても同様に、先月の48日から8日短縮されて40日となった。前年同月は29日だった。
コンドミニアムマーケットについては大きな動きでみると、22年、23年、24年と徐々に全体としての動きは遅くなりつつ、それが2025年にはいってからは顕著に遅くなっていた。3月についてはどちらも売買期間が短縮された形だが、4月の経済指標などをみると一時的なものとなる可能性も高い。
市場在庫・新規売出し物件数
市場在庫については3月に戸建て、コンドミニアムともに増加した。
戸建ては773件、コンドミニアムは2,302件と、前年同月比でそれぞれ33.0%、54.2%増と大きく積み増した。特にコンドミニアムでに買い手が選べる状況が続いている。
在庫はオアフ島の全地域で増えているが、エヴァ地区、ハワイカイ地区などで売り出し物件が増加している。
3月の新規売り出し物件も増加した。戸建ての新規物件は377件で前年同結比29.6 %増、コンドミニアム789件で21.9%の増加となった。
2025年第1四半期の累計では、戸建て住宅の販売件数は569件で、前年同期と比べて4.0%減少した。一方、コンドミニアムの販売は0.4%増の974件と、ほぼ横ばいという形になった。
同様に戸建ての累計中央値価格は昨年同期比で7.5%上昇し、1,150,000ドルとなり、コンドミニアムの中央値も1.0%増の510,000ドルとなった。
2025年4月、トランプ大統領の発令した相互関税の影響で、株価の下落、景気後退への懸念と先行きの不透明感に怯える風潮が強まっている。
コンドミニアムマーケットでは、リスティング価格通りに販売された物件の比率が2024年3月の98.3%から97.1%へとじわりと下がった。積み上がっている在庫や、弱気なバイヤーが増えるであろうマーケットを見れば、痺れを切らした売り手に対しては強気な交渉もありえる2025年第2四半期となりそうだ。
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