ハワイに移住したらまず知っておきたいのが教育について。ハワイの公立校のシステムを説明します。
ハワイの義務教育と学年制度
ハワイ州を含む米国の義務教育は、キンダーガーテン(1年)を含む13年間で、ほとんどの学校では、小学校5年、中学校3年、高校4年のシステムを採用していますが、一部地域(カイルア、カネオヘ、モアナルアなど)では、小学校6年、中学校2年、高校4年の場合もあります。
キンダーガーテンとプリスクール
2014年8月より早期教育の取り組みの一環として、7月31日時点で5歳になる子供は、小学校に併設されているキンダーガーテンへ入学することが義務付けられました。
プリスクールは、民営で現時点において入園は任意ですが、キンダーガーテン入学準備として通園が強く薦められています。
また、公立小学校によってはキンダーガーテン入学前に、1学年間通うことが可能な「プリキンダーガーテン(Pre-K)」が併設されている場合もあります(オアフ島は7校)。
プリキンダーガーテン併設校(オアフ島) (2018~19年現在)
- Keolu Elementary(808)266-7818
- Linapuni Elementary(808)305-2150
- Nanakuli Elementary(808)668-5813
- Waiahole Elementary(808)239-3111
- Waialua Elementary(808)637-8228
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Kailua Elementary (808)266-7878
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Kalihi uka Elementary (808)832-3310
入学申請は毎年3月1日から、申し込みフォームは、https://earlylearning.hawaii.govからダウンロード可能。入学受付申し込み順(条件を満たしている場合)で、定員に達した時点で締め切られ、その後はウェイティングリストに載ります。
【情報参照】
https://earlylearning.hawaii.gov
プリキンダーガーテン入学条件
入学可能年齢は7月31日の時点で4歳になる子どもで、公立のため授業料は無料ですが入学申請には収入額に上限があります。
- 7月31日の時点で4歳の子供
- 学区内に住む家庭が優先
- 家族数により所得上限あり(2018~2019年の年間所得上限は以下)
2人・・・$56,790
3人・・・$71,700
4人・・・$86,610
5人・・・$101,520
6人・・・$116,430
7人・・・$131,340
8人・・・$146,250
公立校の種類と学校スケジュール
ハワイの公立校の種類と通常の通学年齢
- エレメンタリー・スクール(小学校、Elementary School)
キンダーガーテン:5歳
1年生~5または6年生:6歳~10(11)歳 - ミドル・スクール(Middle School、中学校)
6(7)~8年生:11(12)歳~13歳 - ハイ・スクール(High School、高校)
9~12年生:14歳~17歳
公立校の年間スケジュール
公立校には、ハワイ州が決めた共通の年間スケジュールがあり、カレンダーにもよりますが、通常新学期は8月初旬に開始され、学年は5月下旬に終了します。学年ごとの年間スケジュールは、通常学年開始時に配布され、ハワイ州教育局や各校のウェブサイトにも掲載されています。
また、学年中に、秋休み1週間(9月下旬か10月上旬~10月中旬)、冬休み2週間(12月中旬から下旬~1月上旬)、春休み(3月下旬~4月上旬)があります。夏休みは学年が終了する5月下旬から新学年が始まる8月上旬まで約2ヶ月半です。
ハワイの公立校の学区制度について
日本と同様に、ハワイ州では居住する住所により学区が決まります。同じ地区でも、住んでいる道、または番地により、学区が異なることもありますので、注意しましょう。
学校に通っている、またはこれから通う子供がいる場合は、住宅を購入したり借りたりする際、自宅住所がどの学区に属するか確認しておくことが大事です。自分の住所がどの学区に属するかは、ハワイ州教育局のウェブサイトで、確認が可能です。
ハワイ州教育局のウェブサイト
http://www.hawaiipublicschools.org
公立校入学申し込みに必要な書類
公立校は、学区にある学校に申し込み書類と、入学に必要な書類を提出して入学申請をする必要があります。公立校に入学申し込みをする際に、必要な書類は以下の通りです。
- 入学申込書(Enrollment Form)
- 児童(生徒)の最新情報(Student Information Update Form)
- 健康診断・予防接種記録(Student Health Record)
- 出生証明書(Birth Certificate)
日本で生まれた場合はパスポートなど誕生日が証明できるもの - 現住所の証明(1通以上、学校によっては2通以上)
- 転入の場合、以前通っていた学校の通学証明(成績証明書等)
- 法的文書(ある場合のみ。親権に関する裁判所命令、接近禁止命令等)
入学までに必要な検査と予防接種
健康診断・予防接種記録は、キンダーガーテン(またはプリK)入学時、あるいは転入時に提出し、その後は7年生まで提出する必要はありません。6年生終了後、7年生に進学する際、1学年間以内に健康診断を受け、記録を再提出する必要があります。
- ツベルクリン反応(TB)
※陽性の場合は胸部レントゲン写真の診断書 - ジフテリア、破傷風、百日咳三種混合(DTap):5回
- ポリオ(Polio):4回
- ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib):1回
- B型肝炎(HepatitisB):3回
- 麻疹、流行性耳下腺炎、風疹三種混合(MMR):2回
- 水疱瘡(Varicella):2回
越境入学(GE)について
何らかの理由があり、子供を自宅が属する学区の学校に通わせられない場合、越境入学および転校GE(GE, Geographic Exception)を申し込んで、ほかの学区にある学校に通うことも可能です。
申し込み期間は、毎年1月1日〜3月1日で、申請書類は、属する学区の学校オフィスからもらうことが出来ます。
GE申請には、通常正当な理由が必要です。離婚した親の片方が、別の学区内に住んでいる、すでに兄弟姉妹が同じ学校に通っている、親がその学校で働いているなどの理由が優先され、希望者が多い場合は、抽選が行われる場合もあります。
一般的にテストスコアが良く、便利なロケーションにある学校に、申し込みが殺到し、合否はその学校の受け入れ枠にもよります。学校の規模が小さい、または人口の多い住宅街にあり、児童(生徒)数が定員を超える学校では、受け入れ枠が小さい、またはない場合もあります。
申請自体は、何校でも可能ですので、予め選んだ学校数校のオフィスに電話かメールで見学の予約をし、キャンパスを実際訪れて雰囲気を確認したり、職員・校長と話したり、ウェブサイトで教育方針やテストスコアをチェックしたりして、ニーズに合う学校を選びましょう。
現住所の証明について
前述したように、学区制を採用するハワイ州では、住所により子供が通う公立校が決定します。しかし、GEを申請せずに、親戚等の住所を利用して、希望の学校に通わせようとする保護者も存在するようです。そのような住所偽装行為の防止策として、学校側では、現住所を証明する下記のような書類提出を要求します。
- 住宅の賃貸証明書
- 住宅ローンの書類や請求書
- 水道、電気、ガス、電話等の請求書
- 銀行の取引明細(住所入り)
- 自宅住所が印刷された小切手
人気の学校は上記から2通以上の提出を求める場合もあります。また、保護者や親戚や友人宅に間借りしている場合、同居が証明できる公正証書が必要です。
毎年学年が終了する前に、新年度の通学登録を行います。引越しなどで入学当時の住所と違う場合、そのまま同じ学校に通い続けるか、または新しい学区の学校に転校する選択が可能です。
英語補修クラス(ELL)が必要な場合
ハワイ州の一般公立校では、ハワイ語授業のある学校を除き授業が英語で行われます。しかし学校に入学しても英語の読み書きが出来ない児童(生徒)も多数おり、家庭生活が外国語の場合は、順応に苦労する場合も多いようです。そんな子供たちために、通常のクラスについていくための英語力を養う「ELL(English Language Learners)」が用意されています。
ELLのクラスが必要か否かは、「WIDA(World-Class Instructional Designand Assessment)」という英語力テストで判断されます。ELLは、英語クラスから出て、別のクラスで受けなければならない場合も多く、なるべく早く通常のクラスに戻るためにも、家庭における保護者の努力が非常に重要となります。ELLは学校により指導方法が異なり、また英語レベルによってもサポート内容が変わります。前述のようにクラスから「プルアウト」されるケースもあれば、「プッシュイン」といって、クラス内でサポートを受ける場合もあります。
いずれにしても、ELLに認定された場合は、学校のELL担当者と面談して、指導内容やサポート方法を確認しましょう。
学習スタンダード「コモン・コア」
ハワイ州の公立校では、大学進学準備やキャリア選択への準備を重視した、「コモン・コア(Common Core)」という数学と英語の学習スタンダードを利用しています。
学年により、一定の学習進度の目安を設定するシステムで、子供がそのスタンダードに著しく達していない場合は数学・英語の補修クラスを受ける場合もあります。
学校で使われる教材は、このハワイ州教育局が認定したコモン・コアのスタンダードに沿うものですが、学校により州政府に許可を受けた独自の教材を使う場合もあります。
小学校のうちは教科書がなく、クラスで配られたプリントや、ワークブックなどを使って勉強することが多くなります。
同じ学習スタンダードを使っていても、教育理念については各学校の校長、または各クラスの教師により異なる部分も大きく、教師によっては学習進度やクラスでの子供の学習・生活態度などについて保護者に頻繁に連絡をしないため、こまめに担任教師とコミュニケーションしましょう。
学校への寄付金
公立校の授業料は基本的に無料ですが、各学校の予算は、学区に住む住人が支払う税金や児童(生徒)の保護者からの寄付金によっても増減するため、寄付金が多い学校では、教育施設や質が向上する場合もあります。
ドネーション・ドライブ(Donation Drive)について
毎年各校では、「ドネーション・ドライブ(Donation Drive)」が行われ、児童(生徒)は目標額などが記載された寄付の案内と封筒を持ち帰ります。学校に寄付をしたい場合は、小切手を入れ、期日までに子供に持たせれば、税金控除に利用可能なレシートが送られてきます。学校にとっては、寄付金が貴重な財源であるため、子供も通う学校の設備に貢献する意味で少額でも寄付が期待されています。
PTSAとボランティア活動
PTSA(Hawaii State Parent-Teacher-Student Association)とは、親(保護者)と教師、児童(生徒)から構成される組織で、母体となるのは非営利団体です。学校にもよりますが、ハワイではPTSA活動が盛んで、参加した保護者や児童(生徒)は、学校で行われるイベントでボランティアをするなどして活動します。PTSAへの参加は任意ですが、ボランティア活動に参加することで、知り合いが増え、子供の社会的勉強ともなるため、積極的な参加が奨励されます。
学校の制服
公立小学校の場合、一部の学校では、学校のロゴ入りTシャツが制服として利用されていますが、ほとんどの場合制服がなく、私服で登校します。制服がなくても、イベントや遠足(フィールドトリップ)等の行事の際は、学校指定のTシャツ着用することが義務付けられることもあります。Tシャツは、学校のオフィス等で購入出来ます。
中学校になると、学校指定のTシャツ(半袖・長袖)やジャケット等が制服になります。制服は、通常Tシャツのみですが、パンツなどのボトムも長さや形等が指定されることもあります。高校は私服の場合が一般的です。
学校給食
公立校では、学期中、毎日給食があります。給食は無料ではなく、保護者が毎月、児童(生徒)の給食用アカウントに入金し、1食ごとにアカウントから代金が差し引かれます。
給食のメニューは、毎月学校のウェブサイトなどで公開され、親の勤務時間などの理由で朝早く学校に来る場合は、朝食を摂ることも出来ます。給食メニューには、ピーナッツ等代表的なアレルゲン以外特別な配慮はありません。給食を食べさせたくない場合は、自宅からお弁当を持参出来ます。
家庭の所得が一定以下の場合、給食費が一部補助、または無料化されるプログラムに申請が可能です(毎年新学年開始時に案内配布)。
アフタースクールプログラム
アフタースクールプログラムに関して
キンダーガーテンを含むハワイの小学校では、授業終了以降の時間に働いているか、学校に通う保護者のため、州政府が助成するアフタースクールプログラム「Aプラス(A-Plus)」があります。授業終了後、通常は午後5時30分頃まで、YMCAまたはカマアイナ・キッズ(Kama`ainaKids)のスタッフが、キャンパスを訪れ、様々なアクティビティを提供します。
申し込みは、管轄のAプラス機関に行い、費用は毎月小切手、または銀行引き落としかクレジットカードで支払います。2018年~2019年度のAプラス費用は、月々$120で、所得により補助が受けられる場合もあります。両親または片方の親が放課後、自宅で子供をみられる場合は受け付けられません。
習い事プログラム
また各小学校では、キャンパス内で様々な習い事のプログラムが提供されており、放課後に通わせることも可能です。習い事の案内は、通常学期開始時に配布されます。
【参照】
ハワイ教育局
【一部情報提供・監修】
船津徹
TLCforKids
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電話:(808)593-1312
Eメール:info@tlcforkidsusa.com