米国およびハワイの医療システムは日本とは大きく異なる点も多くあります。ハワイの医療システムの基本について説明します。
米国の保険と主治医制度
アメリカの医療制度では、一般的な医学上の問題はPrimary Care Physicianと呼ばれる主治医にまずず相談します。Primary Careを担当するのは通常内科医か家庭医ですが、妊娠中の主治医は産婦人科が担当し、子どもの主治医は小児科医が担当する事が多いです。日本では鼻風邪は耳鼻科へ、また、アレルギーはアレルギー科へ直接行ったりしますが、アメリカでは、どんな問題でもまずは主治医に相談してください。例えば、女性で腹痛があった場合、盲腸かもしれませんし、産婦人科系の問題かも知れません。患者が自分で盲腸だと判断して外科に行っても、実は別の専門医の分野の問題だったという事があるかも知れません。主治医はどんな問題でも、大体診断をつけ、適切な専門に送ってくれます。しかも、 外科医の中で、どの外科医がどれだけの実力があるのかを主治医は普段から調べていて一番いい専門医を患者に代わって選んでくれます。
年一回の健康診断
標準化されているアメリカの医療と定期検診
オバマ大統領の時代にアメリカは保険制度の大改革をしました。一般にはあまり知られていないのですが、全ての患者を年一回、健康診断し、色々な医学上の問題を早期発見すれば医療費は大幅に抑制できるのです。長年、医療費の高沸に悩んできたアメリカは、予防医学に力を入れる事によりようやく、解決の糸口をつかんだのです。この新しい政策により、保険会社は年一回の健康診断や様々な健康管理を主治医に義務化しました。アメリカの保険制度では、どの患者が何の検査をしなければいけないのか、細かく決められており、その実施は主治医の責任となりました。 わかりやすく言うと、患者に決められた検査をしないと、主治医が罰を受ける制度になったのです。この為、アメリカ中の医師が一生懸命早期発見するような有益な検査を患者に実施するようになりました。ですから、ハワイに住んでいる方は、主治医を決めて、最低年一回は検診を受けるようにしてください。検診の費用は$10〜20程度で、日本で10万円相当の人間ドックと同レベルの検査が保険を使って受けられます。
Deductible(控除可能)とは
次に、アメリカで健康保険を使うとき、よく遭遇するDeductibleという制度について説明します。日本では保険の種類は国民健康保険か社会保険、いわゆる国保か社保しかありませんが、アメリカでは沢山の種類の健康保険があります。アメリカの医療保険は、日本から海外旅行へ行く際に購入する海外旅行者保険を想像してくださればいいと思います。東京海上やAIUなど様々な種類があります。アメリカでは同じように民間が健康保険をアメリカ国内向けに販売しているのです。大抵は個人で健康保険に入るのではなく、お勤めの会社がどこかと契約をして保険が決まります。また、年齢が65歳以上になると、アメリカで税金を10年以上払った方なら、連邦政府の公的保険であるMedicareに加入できます。
保険によって診察の際に支払う個人負担金 (Copayment)が多少違います。また、保険によっては年の最初にある一定の金額を個人負担として払ってから、その後の支払いが始まる場合があります。これをDeductibleと言います。例えばDedactibleが$200の保険で診察を受ける場合は毎回診察料を自費で払い、その総額が$200を超えたらその後は保険の支払いが開始されるのです。保険があるのに、診察料のほとんど全額を支払わされたという場合はそのような保険なのかも知れないと、確認して見てください。Deductibleが高い保険は、その代わりに毎月の保険料が安かったりしますので、一概に損とは言えません。
日本 | アメリカ | |
医療保険 | 公的保険制度 | 民間保険制度 |
カバー率 | 一定 | 保険会社・プランによる |
医療費 | 安い | 高い |
救急車 | 無料 | 有料 |
診察前の見積 | 保険適用外の場合 | 一般的 |
定期検診 | 統一されていない | 標準化している |
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【情報提供・監修】
小林恵一医師(内科)M.D.,
聖ルカクリニック St. Luke's Clinic
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