ハワイではコロナ禍を経て、本土からの観光客で「観光リバウンド」とでも言える状況。とはいえ経済打撃は甚大で、商業地区には路面店の空き物件が目立つ。そこで観光復活と空き物件に着目して、この機にビジネスでハワイ進出を試みるビジネスパーソンに向けて、ハワイのビジネス最新動向を5回シリーズでお届けする。
シリーズ1回目はハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)の事業開発&支援部門行政官 デニス・T・リン氏へのインタビューです。
ハワイ商業不動産案内1:ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)
事業開発&支援部門行政官 デニス・T・リン氏 インタビュー
ハワイはいつでも日本からの投資やビジネス進出を歓迎しています
ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT) 事業開発&支援部門 行政官
2002年より現職。ビジネス、経済開発および観光部門の戦略的マーケティングや、既存・新規のビジネス開発および投資サポート全般を手がける。特にハワイ産の製品やサービスのグローバル展開に注力している。
2005 年からはオアフ労働力投資委員会(Oahu Workforce Investment Board)理事長も務める。
1974年ハワイ大学マノア校数学科卒業、1980年MBA取得。
ハワイ州産業経済開発観光局 ウェブサイト https://invest.hawaii.gov
今こそビジネスでハワイに進出するチャンス
ハワイも新型コロナウイルスによるパンデミックで、多くの日系企業がハワイからの撤退を余儀なくされました。ワイキキのメインストリート、カラカウア通りからは観光客が消え、店舗や事務所が次から次へと空室になり、信じがたい光景を目の当たりにしました。
しかし、それから1年以上が経った2021年現在、オアフ島には劇的な変化が起きています。これまでカナダやオーストラリア、日本、台湾、韓国などからの観光客が多かったオアフ島に、アメリカ国内各地からコロナ禍以前よりも多くの観光客が戻ってきているのです。
レストランには長い行列ができています。それでもメインストリートの路面店など良い条件のテナントに空きが出ています。「日本人観光客が戻ってくるまでハワイへのビジネス進出を控えよう」という日本の企業もあると聞いていますが、私は今こそ、ビジネスでハワイに進出するチャンスだと思っています。
もともと日本からのハワイビジネス進出数は、海外部門ではナンバーワンでした。ハワイはちょうどアメリカ本土と日本の真ん中に位置し、日本人がアメリカでビジネス展開していくには最高のテスト拠点になることが大きいと思います。
ハワイ居住者の13%が日系人であるということから、日本語が通じることも多く、日本のカルチャーも浸透しています。起業するにはいきなりアメリカ本土で試すよりはるかにハードルが低い。またコロナ発生後、海外からの観光客は少なくなっているとはいえ、ハワイは世界でも有数の観光地です。これからはハワイにいながら、アメリカ本土からの観光客の動向をリサーチできるという特性を大いに活用できることでしょう。
ハワイ文化と日本文化の融合で新たなサービス誕生に期待
また、ハワイ州には経済成長や開発を促すための「Enterprise Zone(EZ)」というものがあって、一般消費税の免除や、州税や雇用保険料などに対する税額控除などさまざまな優遇措置を受けることができ、起業しやすい環境が整っています。
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ハワイはビジネス進出に向いている!?
・事業のグローバル展開を試すのに最適
・小規模なビジネスからスタートできる
・アジア系住民が多い
・設備や補助の制度が整っている
・日本語が話せる専門家が多い
私どもハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)では、ワンストップで起業のサポートを行っているので、起業を考えているならまずはお気軽にご相談いただきたい。日本語が話せるスタッフもおります。日本からの事業進出では最近でも大規模な工場を建設した製造業の成功例もありますし、メイド・イン・ハワイの製品やメニューを日本に紹介しようという事業もあります。もちろん、日本の飲食業はローカルにも観光客にも広く受け入れられているので現在も活発ですし、今後も成功できる可能性は十分にあります。
世界から飲食業が切磋琢磨しているおかげで昨今のハワイの外食事情はとてもハイレベルになり、世界各地から食を求めてハワイに来る人もいるほどです。飲食での出店をお考えなら、ワイキキに限らず、カパフル、カカアコ、カイムキ、マッカリーにチャイナタウンまで広い地域に目を向けていただきたいと思っています。
最近の日本からの事業進出の成功例を紹介しましょう。今ではローカルにも日本人にも広く認知されているハワイアン焼酎「波花」は、ハワイ産のサツマイモを使って、日本の伝統的な製法で芋焼酎を製造、販売している会社です。年2回の出荷は数量を限定していて、毎回販売開始から3ヶ月で売り切れるという盛況ぶりです。弊局でも事業ローンのお手伝いをしたことから始まり、事業拡大のお手伝いもさせていただきました。完成まで9年の歳月をかけてご苦労も多かったと思いますが、ハワイの原材料と日本の伝統を見事に融合させた、新たなメイド・イン・ハワイ製品を誕生させました。
また「ハワイで日本酒を製造する」という試みに挑戦している「アイランダー・サケ・ブリュワリー」という会社もあります。日本で醸造学を学んだ専門家がコロナ直前に開業して苦労もされましたが、酒粕を使った製品なども販売し、現在も多くのファンを生んでいます。両者に共通するのは、ハワイのカルチャーやライフスタイルをよく理解し、そこに自分の能力や経験を融合させて、新たなものを創造していることです。さらに大いなる熱意がありました。こんな情熱を、ハワイは歓迎していますし、ぜひ応援したいと思っています。
コロナ以前もコロナ以後も、変わらないのは皆さんハワイが大好きだということ。ハワイ州は、アロハ精神に象徴されるハワイ文化と日本や世界各国の文化が融合し、新しいビジネススタイルが生まれるのを楽しみにしています。
ハワイ州産業経済開発観光局( DBEDT)で受けられるサポート
- Enterprise Zone (EZ)
年度ごとに必須条件を満たす事業は、ハワイ州政府から以下の優遇措置を受けられる。一般消費税(General Excise Tax)の100%免除/事業立ち上げ初年度は「州税の払い戻し不可の税額控除率」80%/事業立ち上げ初年度は雇用保険料の80%に相当する州税額控除など。
該当ビジネス:農業、製造業、卸売り・物流、IT、ヘルスケア、バイオテクノロジー、エネルギー関連など。
https://invest.hawaii.gov/business/ez/
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Opportunity Zones
米国に拠点を置く企業向けの優遇制度。キャピタルゲインに対する一時的な税繰延べや、控除などが受けられる。
https://invest.hawaii.gov/oz/
※日本には存在しない税制度なので、国際税務専門の税理士と相談することをすすめます。
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Hawaii Foreign-Trade Zone No.9 (FTZ#9)
ハワイ州からグローバルに展開する企業への、関税などの優遇制度。
https://www.ftz9.org/
※この記事は「ハワイに住む」マガジンVol.46(2021/8/16発行)の記事を元に作成しています。
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