プロワークスの桑野啓子さんに聞きました。
ハワイで事業買収(M&A)する場合の会計上の注意点は?
プロワークス取締役。2017年から米国の日本人投資家を中心に会計および その他の専門的なサポートサービスを提供している。日本生まれで、日米の監査法人(PWCおよびデロイト)で公認会計士として勤務した経験を持つ。
桑野さん:
ビジネスでのハワイ進出と、ビザ取得後のハワイ移住という2つの意味において、ハワイの地元企業を買収(M&A)することは一番の近道と考えられています。ただ、ハワイと言えども米国です。ビジネス習慣も市場も異なりますから、注意すべき点が多くあります。
まずは、その事業が買収に値するかどうかをしっかり見極めることです。売上や利益率などの業績評価に加えてリース契約の残余期間、従業員との雇用契約など、多岐にわたり分析する必要があります。その事業が今後も存続可能か、長期的な視点を含めた市場調査が必要です。また、ビザ取得を目的とするならば、事前に移民法の弁護士に相談して、その事業がビザ取得の資格があるかどうかを検証してもらうことが重要です。
次に、契約上の注意点です。複雑なリース契約に対応するためには、米国法を熟知したパートナー(弁護士や会計事務所など)の協力が必須です。日本ではあまり気にしない細かなことでも「こうなっているだろう」「大丈夫だろう」と思い込むと、あとで大きな損害を被ることがあります。日本では一般的な「解約条項」が欠けている場合もあるのです。状況によって契約内容が大きく異なるので、契約時には粘り強い交渉も必要になってきます。
そして、予算の確保とキャッシュフロー分析も重要です。工事の見積もり一つとっても、日本では見積額がそのまま請求額になることが多いですが、ハワイでは追加や変更が多く生じ、最終的な請求額が見積もりの3倍、4倍になることがあります。建設費、保険料、建物設備のメンテナンス、広告費、税金など、予期せぬ出費が発生することが多く、余裕をもって予算を準備しておくことが大切です。知識豊富な会計事務所と提携することで、コストを明らかにし、包括的な財務分析が得られるはずです。また、ハワイでは通常、一つ一つのプロセスに日本よりも多くの時間を要するため、余裕を持ったスケジュールを心がけてください。
コロナ後のハワイは失業率も低くなり、人手不足が続いているため、人材確保に苦労する例が多く見られます。優秀な人材を採用できても、労働市場が流動的で安定せず、保険料を含めた人件費が高騰しがちです。労働法だけでなく、労働組合など働くことに関する考え方が日本とは大きく異なります。日本風に推し進めず、ハワイの環境に合わせて採用計画や人事計画を練る必要があります。労務の専門家を利用することも有効です。
プロワークス・グループでは、日本とハワイ双方のビジネス環境を熟知し、コンサルタントとしてもお役に立てる弁護士や会計士を揃え、さまざまな観点からお客様のビジネス進出をお手伝いしています。文化的、法的なギャップを埋め、M&Aプロセス全体にわたって細かく相談に応じます。デューデリジェンスと市場調査もお任せください。
ハワイでのビジネス展開は、予期せぬ課題に直面することも多いですが、柔軟にハワイに適応し、適切なサポートと確固たる指針があれば、これらの課題は必ず解消されるはずです。ぜひご相談ください。
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