オアフ島で60件以上の不動産を管理し、ご自身も不動産投資家であるグレイスインターナショナル・ハワイ社長の岡崎恵子さん。
岡崎さんによる、「2024年のハワイ不動産の見通し」を”投資家目線”でどのように捉えているのか?インタビューした。
2024年のハワイ不動産、年明けの所感は?
岡崎さん:
まずはアメリカ不動産マーケット全体の概要ですが、アメリカにおける不動産ローンの高金利はまだしばらく続きそうです。
30年ものの不動産ローンの全米平均金利は、コロナ禍から脱却する経済刺激策として2021年1月に2.65%と歴史的な低金利をマークした後に反転し、2023年11月には7.79%にまで上がりました。2024年の1月にはいり6%台に下がったとはいえ、そこまで大きな利下げは起きないと見ています。インフレの影響や先行きの不透明感もあいまって、アメリカ国内でローンを組んでのバイヤーの買い控えは今年も続くでしょう。
ハワイ州においても売買の総件数の回復は、2025年以降にかけて徐々に戻るような形になるかと思います。
一方で、日本からのバイヤーの方たちにとっては、コロナでの渡航規制が完全になくなったとはいえ、円安の影響が大きく様子見ムードの2023年だったと言えます。
しかし、アメリカ国内のローンを組んで買うバイヤーが買い控える中、市場在庫も少しずつ積み上がっており、資金の豊富な方にとってはチャンスが増えています。私は「動き出す投資家の方たちが増える2024年」になるのではと感じています。
ハワイ不動産を購入したい方へ
キャッシュバイヤーは価格交渉しやすい買い時です
今売りに出ているのは「売りたいニーズ」の強い物件
上記のように、買い控えが起きているマーケットにおいて、いま売りに出ているのは「売りたいニーズ」の高い売り物件と言えます。
ローンバイヤーが減った今、強いのは手元資金のあるキャッシュバイヤー。売りたいモチベーションの高い売り手に対して、リスティングプライス(売り出し価格)よりも下のオファーを入れての購入希望も増えるでしょう。
動き出す投資家が増えるだろうと私が予測する理由は、投資家の皆さんは、今のような”指値で買えるチャンスが高いタイミング”を見ているからです。
狙い目の物件タイプ、エリア
私は約60件のホノルル市内の賃貸物件管理も行っています。コロナ後に会社の借り上げでアメリカ本土から移住してきたリモートワーク組や、期間限定で働く医療従事者なども本土に戻る人が増え、ハイエンドやラグジュアリー物件の賃貸ニーズはスローダウンの方向です。
逆に、いま長期賃貸ニーズが高いのは、ホノルルで働くプロフェッショナルやそのファミリーなどが長期的賃貸する$2000~3000/月の賃料レンジのコンドミニアムやアパートメント物件です。
例年ですと賃貸マーケットは11月12月というホリデーシーズンは停滞してしまうのですが、2023年はこのシーズンも活発に賃貸物件が動いていました。好調な雇用市場を受け、1月から新しい仕事に転職する方などの引っ越しニーズが高かったようです。
純投資としてのハワイ不動産購入を考える方は、エリアとしてはホノルル市内であれば、アラモアナやマキキ、モイリイリ、ユニバーシティなど学校やスーパーが多く、地元民に人気エリアのコンドミニアムなどはよいテナントが探しやすく、空室率低く回せる可能性が高いです。特にH-1の高速道路の山側には手頃な物件も見つかります。
また法人であれば引き続き加速度減価償却が取れるエバやマカキロなどのエリアの築20年以上の木造物件は、ミリタリーのファミリーの賃貸ニーズも高く、節税効果も狙えます。
どうなる?トランプホテルの物件
「ワケあり」タイミングで投資できる人は強い
築14年の「トランプタワーホテル」が、ヒルトングループがマネジメントする「ワケナワイキキ」というホテルコンドミニアムへとリブランドすることが発表されました。
オーナーさんには、リノベーション費用の負担が発生する(例:スタジオ物件で約10万ドル)ということで、それを懸念したオーナーさんの売り物件が多くでています。リノベーションは2025年中に完了する予定とのこと。
きれいに生まれ変わったときに買いたいと思うのが普通のバイヤーですが、投資家であれば「ワケあり」なタイミングで買って、高くなった時に売る、が鉄則。リノベーションが完了した暁には、ヒルトンも全力で新ホテルをプロモーションし、稼働率を上げて、バリューアップを狙うことでしょう。その時、物件価格はどうなるでしょうか?
リッツ・カールトンも改修に入る予定とのこと。こういった動きにも注目が集まる2024年になりそうです。
円安の様子見は終了、購入に踏み切る人も
多少の上げ下げはありながらも大きな円高に振れることはしばらくなさそうだと感じた方の中には、様子見モードから一転、購入に踏み切る人も増えてくると思います。長期にわたって円資産の価値が下がっていく現実を見て、ドル資産への分散投資の必要性を再認識され、「円高になるのを待っていられない」と踏み切った方の購入のお手伝いもありました。
ハワイ不動産を売りたいオーナーの方へ
売り出し期間が伸びる可能性に留意
投資家が買いに来る局面、低めのオファーが増える
上述のように、決して売れやすいと言えないマーケットにおいては、強気のオファーが増えてくることが予想されます。
待てるのであれば、もう少し金利が下がって、ローンバイヤーが戻ってくるまで待つのも良いと思います。
その一方で、円安を理由に売却したい、また持っている物件を売却して今のうちに買い替えたいという日本人オーナーさんはタイミングを見逃さず、早く動いたほうがいいかもしれません。
為替差益やこの数年の値上がり益を考えれば、円安のうちに、また買い手市場になっているうちに、動いたほうが得策とも言えるからです。
賃貸テナントの流動性が下がり、長く住む傾向に
また最近の状況から、不動産オーナーさんに留意いただきたいのが、長期賃貸物件に関しては、長く住みたいテナントが増えていることです。これは大家さんとしては嬉しいことですが、いざ売却、となった場合には、内見案内などがしづらく売りづらさの原因にもなってきます。
住民が住んでいる場合、通常2日前に内見が入る旨を通達し、ある程度片付けておいてもらうなど、空室状態の物件を売るよりもひと手間かかります。不動産管理会社を通じて、テナントさんの状況を把握し、退去や内見などにもお互い調整しあえる良い関係を日常的に築いておくことも大切です。
アメリカでの金利が上昇による「不動産の買い控えモード」に入ってからすでに2年ほどになります。今をチャンスと見て動き始める方は、私自身も不動産投資をしているので、「投資家同士」でストレートにお話します。ご相談はいつでもどうぞ。
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