ホノルルリアルター協会による
2025年10月のマーケットレポートまとめ
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戸建ての中間価格は$1,162,500で、前年同月比5.7%増
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戸建ての販売数は261件(前年同月261件)で0.0%、横ばい
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戸建ての売出期間の中央値は26日間で、前年同月16日から62.5%増加
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コンドミニアムの中間価格は$535,000で、前年同月比1.9%増
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コンドミニアムの販売数は443件(前年同月405件)で9.4%増
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コンドミニアムの売出期間の中央値は44日間で、前年同月26日から69.2%増加
ここから、それぞれの主要な指標についてお伝えする。
中間価格
(チャートは緑のラインが戸建て、黄色のラインがコンド。以下のチャートはすべて同じ)

2025年10月の戸建て住宅の中間価格は1,162,500ドルで、前年同月の1,100,000ドルから5.7%の上昇となった。年初来累計でも、戸建ての中間価格は1,150,000ドルと、前年同期比4.5%増で推移しており、高い価格帯が維持されている。
一方、コンドミニアムの2025年10月の中間価格は535,000ドルで、前年同月の525,000ドルから1.9%の上昇となった。年初来累計の中間価格は510,000ドルで、前年と同水準(0.0%)と、こちらは横ばいに近い動きとなっている。
戸建ては高価格帯での取引が引き続きマーケットを牽引しており、コンドミニアムは全体としては横ばいに近いながらも、この1ヶ月ではやや上向きの動きが出ている。
価格帯別の販売件数

戸建て市場では、価格帯によって動きが分かれた。70万〜99万9,999ドルのレンジでは販売件数が前年同月比18.9%減少した一方で、190万ドル以上の高価格帯では販売件数が前年の31件から43件へと38.7%増加。高級価格帯での取引が大きく伸びた1ヶ月となった。
この190万ドル以上の売買の約70%は、最終的な成約価格が当初の売出価格を下回っており、売主が買い手の需要に合わせて価格調整を行っている様子がうかがえる。それでもなお、中間的には売出価格の94.4%で成約しており、高価格帯でも一定の価格水準が維持されている。

コンドミニアム市場では、低価格帯と高価格帯の両方で動きが活発だった。30万ドル未満の価格帯では販売件数が50.0%増の69件となり、エントリーレベルの買い手の動きが強まっている。また、70万ドル以上の価格帯の販売件数も、前年の105件から127件へと21.0%増加し、ハイエンドコンドの需要も引き続き見られる結果となった。
全体として、戸建て・コンドミニアムともに「中価格帯からやや高めのゾーン」および「高級価格帯」での動きがポイントとなる1ヶ月だったと言える。
売出し期間

戸建て住宅の売出し期間(Median Days on Market)は26日で、前年同月の16日から10日延び、62.5%の増加となった。コンドミニアムは44日で、前年同月の26日から18日延び、69.2%の増加となっている。
前年と比べると、両物件タイプとも「売れるまでのスピード」は明らかにゆるやかになっているものの、これは在庫と新規売出しの増加により、買い手側の選択肢が増えたことの裏返しとも言える。買い手がじっくり比較検討しながら物件を選べる一方、売主側は価格設定や条件面での工夫がこれまで以上に重要になってきている。
年初来累計の売出し期間中央値は、戸建てが23日(前年18日)、コンドミニアムが44日(前年29日)と、通年ベースでも前年よりも長めの傾向が続いている。
市場在庫・新規売出し物件数

市場在庫(アクティブリスティング)は、戸建てが775件で前年同月比4.6%増、コンドミニアムは2,341件で19.6%増と、特にコンドミニアムで大きく在庫が積み上がっている。
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新規売出し(New Listings)は、戸建てが309件(前年298件、3.7%増)、コンドミニアムが641件(前年597件、7.4%増)となり、売主側の動きも前年よりやや活発になっている。特に戸建てでは、200万ドル以上の新規売出しが前年のほぼ2倍となり、10月に新たに市場に出た戸建ての約4分の1を占める結果となった。
地域別には、戸建てでハワイカイとカネオヘ、コンドミニアムでマカキロやワイパフなど、一部エリアで在庫の大幅増加が見られ、買い手にとってはエリアと価格帯の選択肢がさらに広がっている。
価格競争の状況

希望価格を上回って成約した物件の割合は、戸建てで約25%となり、前年の31%からやや低下した。一方で、売出価格に対してどの程度の割合で成約しているかを示す「成約価格/オリジナルリスト価格の中央値」は、戸建てで98.0%(前年99.3%)、コンドミニアムで96.8%(前年98.0%)と、いずれも前年より1ポイント前後下がっている。
つまり、「オーバーアスク(売出価格超えでの成約)」の割合はやや減少し、買い手が以前ほど積極的に入札合戦をする状況ではなくなってきているものの、全体としてはまだ売主優位に近い価格帯を維持していると言える。
コンドミニアムでは、売出価格を上回って成約した割合が10%にとどまり、前年の17%から大きく低下していることから、特にコンド市場では価格交渉の余地が広がっている印象だ。
まとめ
買い手にとっては、在庫・新規売出しの増加と、やや落ち着いた価格競争により、物件を比較検討しやすい環境が整いつつある一方で、人気エリアや条件の良い物件では依然として競争が残っている。売主にとっては、適正な価格設定と、物件の魅力をきちんと伝える戦略的なマーケティングが、成約スピードと売却条件を左右する局面に入っていると言えるだろう。


