ハワイ州で会社・法人を設立する場合の手続き、および必要な書類について説明します。
日本国籍者が経営するビジネスがハワイ進出するケースや、グリーンカードを持つ在住者がビジネスを興すケースが増加しています。職種や規模により個人事業(Sole Proprietor)としての経営の道もありますが、本格的にビジネスを成長させたいという場合は、法人化することが理想的です。
法人を設立する際は、まず経営形態を決定することから始めます。代表的な形態には株式会社(Inc.)と、有限責任会社(LLC)があり、日本国籍者がハワイで会社を設立する際は、大抵がこの2つに当てはまります。
ハワイで株式会社(Inc.)を設立する場合
株式会社を設立する場合、役員(Officer)や、取締役(Director)がハワイ在住である必要はなく、1人がこれらの役職を兼任することも可能ですが、裁判所、または政府機関から法人へ書類が届いた場合、その法人を代表して、ハワイでその書類を受領できるハワイ在住の登録代理人(Registered Agent)が必要になります。
ハワイで株式会社を設立する際に必要となる書類
- 定款(Articles of Incorporation)
- 法人規制(Bylaws)
- 法人設立者の証明書(Certification of Incorporator)
- 第1回取締役決議書(1st Board of Directors Meeting)
- 取締役選任の株主決議書(Shareholder Consent regarding Election of Directors)
- 役員選任の取締役決議書(Board of Directors Consent regarding Election of Officers)
- 株式申込書(Subscription)
- 連邦納税番号(Federal Employer Identification Number)
- 議事録本(Minute Book、オプショナル・業者に発注)
ハワイで株式会社を設立するために決定しなければならない事項
- 会社の名前
他社の名称と酷似していると、DCCA(州商業・消費者保護局)から承認を受けにくいため、独特な名前を付けることが必要。名称の後に「Inc.」、「Corp.」、「Corporation」、「Co.,Ltd.」、「Limited」のいずれかを選択。 - 会社の住所
自宅住所でも可。 - 登録代理人
ハワイ法人は、州政府、または裁判所から、会社を代表して通知等を受け取る現地の登録代理人が必要。 - 授権資本
最高何株発行可能かを決定。後に定款を修正して変更可。 - 発行株数
授権資本のうち何株を初めに発行するかを決定。 - 株主
株主の個人名、または会社名。株主が法人である場合は法人代表者名。 - 役員(Director)
社長(President)、副社長(VicePresident)、監査役(Treasurer)、秘書役(Secretary)を指定。 - 取締役
最低1人以上の取締役を選任。 - 会計年度(FiscalYear)
毎年、何月に会計年度を〆るかを決定。 - 事業内容(BusinessPurposes)
会社の事業内容を決定。
ハワイで有限責任会社(LLC)を設立する場合
株式会社と異なり、有限会社には役員(Officer)や、取締役(Director)というポジションがありませんが、替わりにオーナー(Member)またはLLCを運営する人物(Manager)というポジションがあり、日本在住の日本人でも就くことが可能です。
オーナー自身が運営する場合は、メンバー経営「Member-Managed」。マネージャー経営「Manager-Managed」の選択をして、オーナー以外の個人または法人に運営を任せることも可能です。
株式会社と違い、株はないため、基本的にはオーナーシップを証明する株券もありません。一般的には法人書類で「LLCの●%を所有している」と表現します。
ハワイで有限責任会社を設立する際に必要となる書類
- 定款(Articles of Organization)
- 法人規則(Operating Agreement)
- 連邦納税番号(Federal Employer Identification Number)
ハワイで有限責任会社を設立するために決定しなければならない事項
- 会社名
株式会社と同様、独特な会社名を付けることが必要。名称の後に付けるのは「LLC」。 - 会社の住所
自宅住所でも可。 - 登録代理人(Registered Agent)
株式会社同様、ハワイ在住の登録代理人が必要。 - メンバー(Member)
LLCオーナーがメンバー。複数いる場合はそれぞれのオーナーシェア%が必要。 - 経営形態
メンバー経営(Member-managed)か、マネージャー経営(Manager-managed)を決定。
マネージャー経営の場合、マネージャーの名前。 - 会計年度
毎年、何月に会計年度を締めるかを決定。 - 事業内容
会社の事業内容を決定。
法人設立には、さまざまな書類や手続きが必要ですが、上記の書類と情報を揃え、弁護士を雇うことにより、約1週間前後で法人登記(設立)および法人書類が完了します。
【情報提供・監修】
小林剛弁護士
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