米国の離婚率は約5割。国際結婚が多いハワイでも離婚率は高いようです。国際離婚の基本的な情報を説明します。
ハワイの離婚法では、離婚理由やどちらの非かは無関係
ハワイの離婚法は、日本と違い、夫婦のうち一方が離婚したい場合は、理由を問わず申請を行うことが可能です。またハワイ州では、「ノー・フォルト・ディボース(No Fault Divorce)」という制度を採用しているため、不貞行為などがあった場合でも、離婚手続き上では双方の非を考慮に入れない判断が下されます。
ハワイ州で離婚申請をする場合
ハワイ州で国際離婚を含む離婚申請をする場合、申請を行う時点で、申請者が過去6ヶ月間以上継続してハワイ州に居住していた証明が必要です。離婚申請の前に、ハワイ州外や日本を含む海外に引っ越すことは出来ないので注意しましょう。また協議離婚の場合でも、家庭裁判所の判事に必要書類を提出して、離婚が許可されるまでは正式に成立したことにはなりません。
弁護士を雇うメリットとは
離婚をする場合、通常は一方または双方が弁護士を雇い、自宅や預金など財産分与または子供がいる場合、親権や養育費などについて話し合って、正式な取り決めと必要な書類の作成を行います。
弁護士を通さなくても、配偶者と話し合い協議離婚することは出来ますが、前述の事項などについて自分の正当な権利を知り、相手側に主張するためにも、離婚に関する専門的知識を持つ弁護士を雇うことがお薦めです。権利を知らず合意して離婚書類に署名すると、権利の放棄にもつながり、後々問題が出てくる可能性もあります。特に英語力が十分でない、法律用語や離婚のプロセスが理解出来ないなどという場合は、離婚弁護士を雇うことが賢明でしょう。
子供の親権に関する注意点
ハワイ州では、親権に関して両親が同等の権利を持つ
どちらかが親として不適格な行動をしたと判事が判断した場合は、もう一方の親に単独親権が与えられる場合もありますが、通常は父母共に同等の共同親権が与えられることが多いようです。
離婚協議により親権・監護権の合意に至らない場合は、長期に及ぶ裁判に発展する恐れもあり、最終的には判事が「子供にとって最善の利益」となると判断した決定を下す可能性も考えられます。
共同親権の場合、片方の親の許可なく子供を国外に連れだせない
ハワイでは2018年7月より家庭法が改正さ れ、それまでの離婚訴状に2ページの自動禁止命令が追加されました。これは離婚訴状が提出 された時点で自動的に夫と妻に対してさまざまな禁止命令が発動され、離婚裁判中はいかなる場合も、その子どもは裁判所の許可なくオアフ島を離れることが出来なくなりました。弁護士が許可申請を願い出てもその判断はあくまでも裁判所次第です。
片方の親が子供を連れて日本に永住帰国することは困難
また裁判後であっても両者間で合意した場合を除き、片方の親が子どもを連れて日本に永住帰国したり、外国や米国の他州に移住することはできません。こういった取り決めを無視して日本に帰国した場合、米国に再入国する際に逮捕されたり、 親権を奪われる場合もあるので注意が必要です
離婚後の査証について
結婚2年未満でまだグリーンカードがない場合、条件によっては国外退去となる可能性もあります。米国に居住し続けたい場合は移民弁護士に相談することをお薦めします。
離婚届を在ホノルル日本国総領事館へ提出
ハワイで離婚したら、在ホノルル日本国総領事館に忘れず離婚届を提出しましょう。
【情報提供・監修】 山谷美季弁護士
コーツ フライ 谷本&ギブソン法律事務所
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