ハワイの老舗レストラン「チャートハウス」お店を50年以上続けてこれた理由について創業者に伺った
ハワイリピーターの方で知らない方はいないだろう。
レストランひしめく観光の聖地ワイキキで創業50年以上の
シーフード&ステーキレストラン「チャートハウス」。
これからハワイでビジネスをしたいと思っている方にも、すでにビジネスをされている方にも聞いてほしい「50年お店を続けてこれた理由」を創業者のジョイさんに伺った。
ハワイで創業50年以上の老舗ステーキ&シーフードレストラン。ヨットハーバービューのサンセットを眺めながらハワイアンテイストの豪華なステーキやロブスターなどのシーフードが堪能できることで人気。有名人も訪れる同店へはハワイ在住者が日本からの客人を紹介することも多い。ロケーションはアラモアナセンターからも徒歩圏内のワイキキに位置するがワイキキの喧騒とは離れた落ち着いた雰囲気で食事が楽しめる。
海と船を愛する親友と始めた最初のレストランの場所とは、、
編集部:お店を始めた経緯を教えてください。ジョイさん:私は若い頃はけっこう有名なサーファーだったんです。 ワイキキのカラカウア通りにある有名な銅像のデューク・カナハモク氏は私のサーフィンの先輩なんです。共に大会に出て波に乗る日々でしたが本土の大学に行くためにハワイを離れました。大学生の頃は冬になるとスキーのレースにも出場しており、その間滞在していたコロラド州のアスペンで親友と1961年レストランを作りました。海と船が好きな親友のバギーとドライブ中にチャート(船にある海図)ハウス(人々が集まる場所)という名前を思いつき「チャートハウス」と名付けました。その頃からシーフード&ステーキがお店のコンセプトでしたが当時はシンプルなメニューが多く、今と物価の違いもありますがステーキ1人前395円で提供していたんです。今では有り得ないお値段ですね。
お店を開けた場所はハワイでも海の近くのどこかでもなく山だったのですね。
あの有名なデューク氏と共に波に乗っていたサーファーだったとは驚きですが、やはり海を愛していたからこその店名、親友と決めたというのも男のロマンです。
その後、カリフォルニアに2店舗目を開業されたジョイさん。
オープン当日のことが今でも忘れられないそうです。
ジョイさん:2年後にカリフォルニアのニューポートビーチで2店舗目を開業しました。1963年、11月2日、あのケネディ大統領が撃たれた日でした。そんなひどいニュースがあった日なので誰も店にこないと思っていましたが予定通りにお店を開けました。するとたくさんの人が来てくれたんです。みんな悲しんでいて忘れられない開業の日となりました。
その後ついに故郷ハワイへ。
どこにお店を開けるか、良い立地というのはレストランビジネスにいつも欠かせない事項。ジョイさんはどのようにしてヨットハーバー目の前のあの場所を掴んだのか、伺いました。
ビジネスに必要なことは先見の明だけではない
編集部:ハワイのヨットハーバー目の前にお店を開けた経緯を教えてください。
ジョイさん:1968年、ワイキキに帰ってきました。 故郷でレストランを創業したい、そこにうってつけの場所がありました。 当時アラモアナのサーフスポットでサンゴだらけで何もない土地をきれいにしたところにイリカイホテルが建ったのです。この周りに今後建物が建つと見越しましたね。そしてすぐにイリカイホテルのオーナーに直接売り込みに行きました。「この場所に建物ができたら私のレストランを入れて欲しい」と直談判しに行ったんです。若いってすごいパワーですね。認めてもらうために、実際のお店を見てもらった方がいいと思った私は、イリカイホテルのオーナーをカリフォルニアの店舗まで連れて行きました。そしてお店を気に入ってもらいその場所に建物が建ったらレストランを入れてもらうことが決まりました。
ヨットハーバー目の前、サンセットが綺麗に見える格別のロケーションを手に入れた裏には、この場所がいつか栄えると見越したジョイさんの先見の明がありました。当時ジョイさんは30代、経営者にしては若い方ですが、イリカイホテルのオーナーに直談判しに行く度胸と情熱がきっと伝わったのでしょう。
お店を作る際に大切なこだわり
ジョイさん:この場所はヨットハーバーでオーシャン目の前、そしてメザニンといい1階を掘って中2階をレストランにすることで、ちょうどサンセットが綺麗に見える高さという計算された作りになっているんです。 ちなみに店内のテーブルや椅子などのインテリアはすべて手作りです。このテーブルの柄は実は船板をモチーフにした柄になっており船の真ん中の芯のスクリューとプラグも描かれています。
テーブル、椅子全てのインテリアが手作り、さらに柄にもとてつもない思いが込められていました。サンセットが綺麗に見えるのは、ロケーションがいいから、だけではなく綺麗に見える高さを計算しお店を作ったからだったのです。創業者の思いの丈が伝わりますね。
一番大切なことは
編集部:50年続けてこれたのはなぜだと思いますか?
ジョイさん:チャートハウスのスタッフたちを僕は船のクルーのように仲間でありとても大切だと思っています。そしてスタッフそれぞれがお互いをリスペクトしあっています。スタッフ数がとても多いので時には衝突することもあるのですが。笑。レストランなので食べ物についての勉強はもちろんしていますが、結束力の強い「ストロングチーム」を作ることはとても大切なことです。チャートハウスは船のような場所で僕はその船長のようなものです。僕の意思を理解してくれるマネージャーや、それについてきてくれるスタッフがいることがお店が長続きした理由だったら嬉しいと思っています。
50年、半世紀、長いお店の歴史の中には様々な葛藤や問題も発生したそうです。
ジョイさん:実はお店を開けて10年ぐらいのとき、何者かに火をつけられて大火事になったことがあります。お店の上のホテルに泊まっていた赤ちゃんを救出したり、大変だったのですがオープン前だったのでお店に人がおらず怪我人がでなかったことが不幸中の幸いでした。しかし家具は全部ダメ、コンクリートしか残っていませんでした。ショックでかなり気を落としましたが、当時のスタッフ全員でもう一度同じ柄のテーブルやインテリアを1から作りました。誰かやめてもおかしくない状況だったのに1年かけて全員ですべて作り直したのです。そして再オープンして数年後、あの日救出した赤ちゃんが大きくなりお店にきてくれました。当時は本当に最悪の事態でしたが、お客さんやスタッフ、周りに支えられていると実感した出来事です。
大火事でお店に何も残らない絶望的な出来事がありました。しかしスタッフ全員でお店を立て直し創業50年以上を超える老舗レストランになりました。そんなチャートハウスを支えているのは、船長であるジョイさんの意思を理解しついていきたいクルーたちが集っているからに違いないでしょう。
次にお店に来たときには、ちょうど良い高さで綺麗に見える抜群のサンセットを眺めながら、テーブルの柄や店内に飾られている写真たちに注目してみると創業者の思いを感じれるのではないでしょうか。
チャートハウスのおすすめメニューについてはこちらをご覧ください。