【注意・免責事項:本記事はあくまでも参考情報の提供を目的としており、法的助言を構成するものではなく、法的助言として依拠すべきものではありません。本記事にてご提供する情報等に基づいて行為をされる場合には、必ず個別の事案に沿った具体的な法的助言を別途お求め下さい。】
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ハワイで早川太基弁護士と、マロッツ (古屋) 有沙弁護士の二人の弁護士がタッグを組んで立ち上げた、新進気鋭の「アドビス法律事務所」。今日はビジネス法や訴訟に強い早川太基弁護士に「ハワイにおける契約時に気を付けるべき6つのポイント」についてお伺いした。 自分やビジネスを守るためにも知っておきたい、契約社会のアメリカの重要な基礎知識だ。
早川先生:
これからお話しする内容は、ハワイ州に適用するものですが、個人と法人、また法人同士などあらゆるアメリカにおける契約書においてアメリカで一般的に共通する内容となります。契約書にはContractやAgreementなどの用語がありますが、基本的には同じ法的拘束力のあるものです。
契約の際には、しっかりこれらのチェックポイントを確認してから行ってください。
アメリカ・ハワイにおける契約書を結ぶ際に
気を付けるべき6つのポイント
1、当事者が明確であること、署名欄も当事者と一致していることを確認する。
基本中の基本となりますが、契約書内の相手の社名、また署名する人(サイナー)がすべて一致していることが重要です。法人同士であれば、法人名と法人の代表者の氏名も入れてサインをすることで、当事者が明確になります。また、法人の不動産取引でのエスクローを通して売買する場合には、不動産売買に関して法人の決議書が必要とされます。
ハワイの法人であればハワイ商業消費者局Department of Commerce & Consumer Affairs(DCCA)のサイトで、正式な社名や代表者指名、取締役などの氏名を検索することができます。社名や氏名が正しいことは当然ですが、その契約書に対して署名をする権利のある人がサイナーとなっているのかも含めてチェックが必要です。サインをする権利のない人がサインをした場合、契約書そのものが無効になる場合があります。
2、口頭での口約束、携帯テキストメッセージメールなどの約束も契約となる。
契約違反の場合、 後は証拠の問題になる。
”契約”というと書面によるもの、というイメージを持つ人が多いと思います。しかし口頭での会話やLINEなどの携帯テキストメッセージ、メールでのやり取りであっても合意があれば契約と見なされます。
契約違反となった場合には「証拠の有無」が重要になります。たとえば、口頭のやり取りで約束を交わし、契約が存在していたことを証明するためには、書面によるものがない場合、証人の証言でしか証明することができない場合もあります。なお、当事者以外の証人もいない場合、先方の証言との一対一となってしまい、「信じられた側の勝ち」という結果になるケースも多いです。
証拠となるやりとりはあとから証拠として使えるよう書面で残すことが大切です。
3、もしも契約書に “merger” または “entire agreement” という条項があれば、 契約締結前に何かに合意していても、契約書に書かれていなければ一般的に無効になる。
これも重要なポイントです。契約書の最後のほうに”merger” または “entire agreement” という条項が追加されてないかを必ず確認してください。これは、この”契約書一本にすべてをまとめる”という目的で、追加される条項です。
たとえば、リース締結前に、家主さんから「2年目からは家賃を下げる」とか「○○の許認可が下りなかったら、無料の賃貸期間を延ばす」などの条件を引き出していたとします。しかしこれらの内容が契約書に盛り込まれておらず、”merger” または “entire agreement” という条項が入っている契約書にサインをしてしまえば、リースに関する契約前の交渉、約束などはその時点で無効になる可能性が高いです。契約書内に事前に合意した内容がすべて盛り込まれているか、きちんと確認してください。
4、先方が契約を違反した場合の対応を考えておく。先方に賠償能力があるかどうかを確認する。
契約違反をした相手を訴える場合に、もし先方に全く資産がなければ簡単に勝訴できたとしても損害賠償を回収できません。そうすれば契約した意味がなくなり、
金額の大きな契約に関しては、契約締結前に相手の資産状況をきちんと調査することが大事です。逆に小さな金額なのであれば、調査せずにリスクを受け入れるかどうかを判断すべきです。
5、契約相手の訴訟履歴などバックグラウンド調査を行う。
ハワイ州のケースであれば、相手が起こした違反や訴訟の履歴などをeCourt Kokuaという一般公開されたシステムで調べることが出来ます。
個人名や企業名、ビジネス名などを入力すれば、関わった訴訟案件や、起こした違反などを検索することが出来ますので、ぜひご自身で出来るバックグラウンドチェックは行ってください。
6、不動産の売買に関する契約書、特に売り手として開示する情報は明確に!
売り手として不動産売買契約に結ぶ際、特に売り手として気を付けてほしいのは、売却する不動産についてのリノベーションや修理の履歴などの説明を明確にしておくことです。買い手が不利になることを購入後に発見した場合、売り手が意図的に隠していたのでは?と疑われることがないように、分かっている情報は最初からまとめて提出するようにしましょう。
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