旭川ラーメンの「梅光軒」 ハワイからアメリカ本土へ進出! その挑戦の舞台裏を語る 【特別対談】 井上雅之氏(梅光軒オーナー)×フランク・クラーク氏(リアルセレクトインターナショナル社長)

更新日 2024.07.29

ワイキキのど真ん中、ワイキキショッピングプラザ地下1階にある”アジアの料理”をテーマにしたフードホール「STIXアジアンフードホール」。そのSTIX内でもひときわ人気の高い北海道・旭川のラーメン店「梅光軒」が、ハワイでつかんだ手応えと成功を元に、アメリカ本土・カリフォルニア州へ進出した。

今日は、梅光軒の海外進出を推し進める井上雅之社長と、その進出をパートナーとして支えるリアルセレクト・インターナショナルCEO/STIXアジアCEOのフランク・クラーク氏への対談をお送りする。  

左:井上 雅之氏
右:フランク・クラーク氏

参入障壁の高いハワイで得られた経験
「ハワイからすべてが始まった」

豚骨、鶏ガラから摂れる”動物系スープ”に、煮干し、昆布から摂れる”魚介系の旨味”を加えた「Wスープ」は旭川発祥と言われる。その中でも梅光軒はミシュランに掲載されるなど旭川を代表するラーメン店である。

中細縮れ麺によく絡むこってりなのに後味すっきりの極上スープ、厚切りのチャーシューやさくっとした食感の極太のメンマ。日本そのままのクオリティを再現した極上の一杯は観光客のみならず、ローカルの固定客も取り込んで、ワイキキの人気店となった。 
Wスープでこってりなのに後味すっきり
王道の醤油ラーメン
画像引用:梅光軒オフィシャルサイト
STIXワイキキ内の梅光軒店舗

2017年のハワイ進出、そして2024年にはカリフォルニアに2号店の開店を果たした。

井上社長: 
自分にとってアメリカ本土への進出は長年の夢でした。でも、ハワイでの成功なくしては、アメリカ本土への進出も叶わなかったと思います。 すべてはハワイから始まったんです。

 

そのハワイ進出への道を拓いたのが、フランクさんだった。ハワイ進出後の道も平坦ではなく、コロナ禍を乗り越えるなど苦楽を共にしてきた二人はビジネスパートナーであり、ともに夢の実現に向かって走る戦友でもある。
 

井上さん: 梅光軒は”世界にラーメンを”モットーに掲げてきた会社。自分が若い頃、アメリカに住んでいたこともあって、自分にとっての”海外進出”というのはやはりアメリカだった。フランクと初めて会って、ハワイのフードホール進出の話を聞いたとき、”夢しかない!”と思ったよ。

フランクさん: STIXのコンセプトは「日本やアジアの本物の食文化を世界に広げたい」ということだったから、ラーメンで海外進出を考えていた井上さんとはすぐにパートナーとして意気投合したね。

井上さん: アメリカ進出へのドアをフランクに開けてもらったと感謝している。

フランクさん: ハワイへの進出、特に飲食店の進出は、日本と同じ感覚で捉えていると失敗するポイントがたくさんあるから、梅光軒がハワイで軌道に乗るまでをしっかりサポートできて、本当に良かった。

井上さん: 梅光軒も、すでに参入障壁の低いベトナムやタイなどのアジア圏に進出を果たしてはいたけれど、いざ憧れのハワイ進出!となると、そのハードさは予想以上だった。”もし単独出店していたら?”と考えるとぞっとするよ(笑)。

フランクさん: ハワイでの開業までには何もかも日本とは比べ物にならないほど時間がかかる。工事の許可を取るのは現状2年がかり、これでもまだ少しはましになった方なんだ(笑)。さらにホノルル市のインスペクションを受けて、飲食免許やアルコール販売免許が取れるまでにさらに数ヶ月~1年は見ておいたほうがいい。

井上さん:それを知らずに独自で進出を試みていたら、開業するまでに資金が尽きて倒産していたかもしれない(笑)。

最初からワイキキ中心の一等地に1号店を出せたことも、そしてフードホール全体でのマーケティング力でブランド認知を上げるサポートをしてもらえたことも大きかった。ほかにも法規制、ローカルスタッフとの労務問題、弁護士や会計士を紹介してもらったりと、アメリカでの企業経営のノウハウについても、かなりフランクに助けてもらったよね。

それにフランクのサポートだけでなく、同時期にハワイに進出した日本からのほかの企業さんたちとは、課題や疑問を相談し合ったり、原料調達のサプライチェーンを紹介しあったりと、助け合える仲間として切磋琢磨できた。これも心強かった。

フランクさん:開業までのハードルの高いハワイだからこそ、STIXのようにフードホール内の一テナントとしてまず出店してみる、それでうまく行ったらさらに独自で展開していく、というのはリスクの少ないハワイ進出のスタイルだと自信を持っているよ。

日本の飲食業のアメリカ進出は”メジャーリーグへの挑戦” 

今回、梅光軒がアメリカ2号店を出したのはカリフォルニア州サンディエゴのヒルクレストの路面店。ヒルクレストは何ブロックにもわたって飲食店やバーなどが続き、ビンテージショップなどお洒落に敏感な人たちが集まる街としても知られ、明るく活気あふれるエリアとなっている。

画像引用:San Diego Org
井上さん:満を持して、念願のアメリカ本土への進出。それはエントリーポイントのハワイ店で学んでいたから実現できたと思う。ハワイの1号店はSTIXの中に出すことが出来たけど、今回は路面店での単独出店だから、ハワイ以上に大変だった。

フランクさん:カリフォルニアは2026年にはワールドカップ、2028年にはオリンピック開催など、大きなイベントが目白押し。人も資金も集まり、さらにビジネスチャンスが広がる最高のタイミングだね。

井上さん: 
日本の飲食業がアメリカに進出するのは、日本のプロ野球からアメリカのメジャーリーグに挑戦するのと同じ。体力も精神力も必要だけど、そのハードルを越えたら得られるものもケタ違いに大きい!

例えば、店舗の家賃ひとつ取っても、日本は開業日起算だけど、アメリカは契約日起算。サンディエゴでも保健局のインスペクションが1.5年待ちなどハワイ並みに遅いから、その間のカラ家賃を払う資金的な体力は必須だし、そういう苦労に負けない忍耐力も必要となる。

ざっくり開業にかかる費用も3倍、だけど売上も3倍。日本だとやっと単価が1杯1000円を超えたところだけど、アメリカでは3000円の価格がつけられる。 同じものを作って出しても、場所が変われば評価も単価も大きくアップできるし、実際に自分たちも利益を出せている。

フランクさん: 「STIX」も本物のアジアンフードや日本食文化をもっと広げていくために、アメリカ本土への進出も計画中なんだ。次のSTIXの展開のときにもぜひ「梅光軒」に出店してほしい。

井上さん: もちろん。お互いにパートナーとして今後も協力してビジネスを広げていこう!
 


サンディエゴ・ヒルクレスト店は、すでに有力な商業施設デべロッパーの目に止まり出店要請も来ているそうで、好発進を切ったことを伺わせた。


世界に認知されるラーメン。それゆえに「日本風のラーメン」を作る店舗が増えてきた今、メジャーリーグで活躍する日本人選手のように、本格的で本物の日本の美味しさをぜひ世界へ届けてほしい。そして「STIX」ブランドのアメリカメインライドでの展開も楽しみだ。

リアルセレクトインターナショナル社 ホームページ:https://www.realselectintl.com
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