ハワイビジネス最前線インタビュー
萩原利貴さん(ホノルルコーヒージャパン株式会社 代表取締役社長兼CEO)
ハワイの地名を冠した「ホノルルコーヒー」を日本で展開する萩原さんは、ホノルルコーヒーの魅力に取り憑かれ、何度も営業権の交渉を試みた。粘り強い交渉を経て、熱意が伝わり日本での独占的営業権を取得。その秘訣はいったい何だったのだろうか。
「本物」のコーヒーが 持つ力を日本人にこそ、 知ってほしい。(萩原さん)
大学卒業後の2001年にノエビア入社。営業に従事し、29歳で支店長、35歳で営業部長に。在任中に大規模な業態転換を実現した。2022年、執行役員として総合不動産会社エストゥルースに入社。新規事業立案などに関わる。
2024年、ホノルルコーヒージャパン株式会社を設立し、現職に就任。
ーいよいよオープンですね。
「まずは六本木と銀座でポップアップ店舗を展開し、評判も上々でした。今後、原宿、銀座に開店予定。すべて路面店です。豆も、味も、そしてコーヒーに対する思想も群を抜いているホノルルコーヒーの本物の味を日本人にもぜひ味わってほしい。その想いだけでここまで来ました。今後、30店舗まで増やしていく計画です」
ー営業権を獲得するまで幾度となく交渉したそうですね。
「まず私自身がこのコーヒーの大ファンでしたから。ハワイと日本の店舗に本当によく通っていました。好きが高じて、2022年から交渉を開始しました。オーナーは商売より何より好きなコーヒーに携わっていたいという人で、コーヒーへの思い入れが半端じゃなかった。わたしはそんなオーナーの姿勢に惹かれて、このコーヒーに惚れ込みました。ビジネスマンではないだけに、ただビジネスの話をしても響かない。交渉をスタートした当時は、ほとんど門前払いのような感じでした」
ー途中で戦略を変えたそうですね。
「最初はビジネス展開とか利益計算とかビジネス面ばかり強調していました。けれど、途中から、そうではないなと気づきました。コーヒーを愛してやまないオーナーの気持ちを考えたら、そうじゃないなと。この大切なブランドをどう守るか、この味を継続的に提供するにはどうしたら良いか、一緒に考えていこうと。想いは一緒なのだという話をしていきました。そうしたら、少し風向きが変わってきました」
ー競争相手も多かったとか。
「当時、多くの会社が手を挙げていたように思います。上場企業もたくさんあって、これは資本力競争になったら太刀打ちできないな…という状況でした。我々なら、この大切なコーヒーの味をこう広めていく、日本人に対してこうアプローチしていくという話を徹底的に追求していったら、最終的に契約相手に選んでくださった」
ーホノルルコーヒーは一度、日本に上陸して撤退されています。
「はい、だから今回は失敗できないという覚悟はあります。でも、この事業に関わる出資会社の社長も、私もハワイが大好きという点では共通しています。そして今回、お店に関わるスタッフもハワイが大好きでアロハスピリットをよく理解している子ばかり集まった。店長は可能なかぎり研修でハワイ店に連れていきます。私は何より、このコーヒーに関わる気持ちを大切にしています」
ー今後はどんなビジネス展開を?
「コーヒーブランドは、コーヒーショップだけを経営しても先細りです。持続可能な経営のためには、その裏側でブランドビジネスを展開できるかが重要。コーヒー農園はハワイにあるので、焙煎工場を日本に作ろうと思っています。そこからアジアに出荷するんです。アジア圏は今、本物の質の高いコーヒーを求めています」
ーハワイのコーヒーが世界を巡るわけですね。
「日本人はこれだけ日常生活にコーヒーが浸透しているのに、リテラシーが低い。コーヒーの生産国はどこ?とか世界三大コーヒーは?と聞かれて答えられますか?意外に知られていない。コナコーヒーの魅力を体験していない人たちに世界三大コーヒーの一つを五感で感じていただくことで何が生まれるか、そんなことを考えるのが楽しいんです」
ーやりがいがありますね。
「これからのホノルルコーヒーに期待してください。そして、日本で一度味わってみてください。必ずその味に納得してもらえるはずです」