natuRe waikiki(ナチュール・ワイキキ)
エグゼクティブシェフ 小川 苗さん
小川 苗(おがわ なえ)さん
1992年東京都生まれ。専門学校卒業後「NARISAWA」で修業を積み、21歳で渡米。ニューヨーク、パリを経て、2017年「パリハワイ」のスーシェフに就任。2021年より現職。「REDU-352019」でGOLDEGGおよび岸朝子賞、滝久雄賞を受賞。2022年には、ハワイ飲食界で最も権威ある「ハレアイナ賞」を受賞。24年4月より、natuRetokyoのクリエイティブディレクターも兼任。
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natuRe waikiki(ナチュール・ワイキキ)
電話:808-212-9282
住所:413 Seaside Ave.
営業時間:コースメニュー 5:30pm - 8:30pm
アラカルトメニュー 5:30pm - 10:00pm
アラカルトにショートコースもご用意しました。
誰でも楽しめて持続可能なフレンチを追求しています。
私が環境について考えるようになった契機は、コロナ禍でした。時間を持て余し不安な時期、それまで気づかなかったハワイの自然に魅了されたのです。この素晴らしい自然を守らなければ、そんな使命感が芽生えました。
まずは食材の仕入れ、その生産現場にまでコミットすることから始めました。地元の食材を使用して輸入にかかる燃料やCO2を減らす。その上で食べ残しは肥料として農家に納めます。生態系の変化にも気を配り、大量発生したらその種を多用する。例えば最近では、マウイ島で大量発生して問題となっている鹿を使ったメニューを考案して提供しています。お店のインテリアにも天然のものを多用しています。溶岩を使ったコースターもあるんですよ。
当店では、月に1度は店のスタッフと地元の生産者を1件1件訪ねています。実際に現場を見て、生産者と直接会わないとわからないこともありますから。まずは食材についてその背景やストーリーをよく知ることが大切。新たな発見もたくさんあります。例えば、MauiNuiVenisonというファームでは、増殖してマウイ島の生態系を崩しているアキシスジカを捕獲し、ジビエとして販売。サステナブルとビジネスの両立を目に見える形で実現しています。生産者の皆さんも、自分たちが大切に作った生産物を卸す先の人々の顔が見えて、喜んでくれています。
こんな風にスタッフと行動を共にすることで、店の方針を自然と共有することができます。今年4月には東京にナチュール・トーキョーをオープンしましたが、こんなスタッフたちがいるからこそ、東京とハワイ2店舗を同時に監修することができるのです。店名にも込めた自然の大切さ、環境を守ることの大切さ、それを料理で具現化するのがナチュールです。
当店で提供している6品のテイスティングコース($120)には、素材へのこだわりが詰まっています。メニューには料理名ではなくあえて食材の名を記載しています。お客様に好評をいただいているアワビのリゾットは、ハワイ島コナの海洋深層水で育てられたアワビをハワイ産のキアヴェの薪で燻製し、ハワイ島プナガーデンのハーツオブパーム(椰子の木の新芽)を載せました。
モロカイ島からは、とりわけ環境への影響に配慮して運営している養殖会社からシュリンプを仕入れています。調理方法は季節によりますが、最近ではジェノベーゼソースのパスタにして味わっていただきました。牛肉は、ハワイ島の広大な牧草地で成長剤など一切使わない牧草飼育牛を厳選。欲しい部位だけ買うのではなく、一頭を購入して骨までスープに使います。無駄にしません。こちらのビーフもキアヴェの薪で焼きます。東京店にも薪焼きの設備を作ったほど、ハワイの薪を使った調理にはこだわっています。前述のマウイ島の鹿肉は、アミューズ(前菜)としてタルタルにして提供します。オアフ島のクアロアランチのオイスターは特製のジュレと共に。ハワイ島のチキンはレバーパテにしてアミューズで提供しています。(編集部注・メニューは季節により変動します)
環境にやさしい素材を、食べるお客様にもやさしい料理に昇華させるのが、シェフの役目。その際にフレンチで鍛えた技術がものを言います。フレンチというとちょっと敷居が高いかもしれませんが、ナチュールはもっと身近な存在になりたい。メインのダイニングのほかにテラス席や、アラカルトやお酒を気軽に楽しめるバースペースもあります。ハワイ産のオーガニックワインも豊富に揃っていますよ。赤ちゃんやお子様も歓迎です。
今回、120ドル6品のテイスティングコースのほか、新たに3品のショートコース($60)も用意しました。ワインペアリングも追加していただけます。私たちのサステナブルな取り組みを、ぜひ味わいにいらしていただければと思います。