ホノルル不動産協会より発表された2020年4月のハワイ・オアフ島の4月の住宅市場は、ロックダウンの影響が大きく出たものとなった。
「ハワイに住むネット」編集部では、新型コロナウイルス対策のためのロックダウンがホノルル市で始まった3月23日以降、独自の市場定点観測調査を始めた。ここでは、編集部独自の市場定点観測調査を交えながらハワイ不動産の最新動向を探っていこう。
ホノルル不動産協会の2020年4月マーケットレポート
ロックダウンの影響が大きく出た4月
5月頭にホノルル不動産協会より発表された4月期のレポートによると、リスティング物件が前年同月比で42%ダウン、戸建て住宅のセールスが前年同月比で22%減少、コンドミニアムのセールスが前年同月比で27.9%減となり、ロックダウンの影響を大きく受ける結果となった。
- 新規リスティング物件(売出し物件)が大幅減少
4月の新規リスティング物件は730件、前年同月比で42%減少。2018年には1254件、2019件には1259件のリスティングがあった。 - 戸建住宅のセールスが大幅に下落
前年同月比で22%減少、中間価格は809,000ドル(前年同月比5.5%上昇) - コンドミニアムのセールスが下落
前年同月比で27.9%減少、中間価格は450,000ドル(前年同月比7.5%上昇)
まずリスティング物件に関していえば、4月は引っ越し・移動の時期にあたるため、通常であれば新規リスティング物件が増加する月であるにも関わらず、ロックダウンの影響で一時的に売出し物件を市場から取り下げた売り手が多かった。その為4月の売出し物件の総数は3,366件となったが、それでも一昨年2018年から比較すれば、まだ4%高い数字にとどまっている。
次にセールスであるが、戸建て住宅で前年同月比22%減少、コンドミニアムで前年同月比27.9%減少と大幅な現象になっている。その理由をホノルル不動産協会会長トリシア・ネコタ氏は「先が見通せない状況下で売り手、買い手共に今後の現実的な経済的な保障を考慮し非常に慎重になっています。」と述べている。
一方で、中間価格が戸建てで5.5%,コンドミニアムで7.5%と大きく上昇している。これは、この3月、4月で失業や一時帰休などのあおりを受けた低所得層が購入を中止せざるを得なくなくなったためだろう。
それではこれからの住宅市場はこのまま下がっていくのだろうか?
ネコタ氏は、5月に入りハワイの新型コロナウイルスの感染が収束しつつあり、経済活動が徐々に再開されることに期待し、「消費者がパンデミックの影響からの脱却を少しずつ感じ始めたら、リスティング件数、セールス共にゆっくりと増加するでしょう」と予測している。
「ハワイに住む」編集部が行った定点観測調査
この4月のレポートを受け、5月の不動産動向はどのように変化するのだろうか。
「ハワイに住む」編集部が独自に行なっている4月以降現在までの市場定点観測調査では、以下の3点が見えてきた。
- エスクロー数の現象
ロックダウンが始まって約1週間後の3月31日段階で1331件だったものが、約1ヶ月後の4月23日には1121件、5月8日現在は1075件と3月末よりも250件減少。 - 5月に入り新規リスティング物件が徐々に増加
4月に取り下げたリスティング物件を、マーケットに再度出す動きが顕著に。5月1日にはロックダウン以降で最も多い1日で58件もの新規リスティングがあった。 - 5月に入ってもセールスは低迷
4月は1日平均25件ぐらいの売買成立があったが、5月に入ってからは1日平均10数件で推移
まず1点目のエスクロー数についてだが、一般的にハワイでは、エスクロー期間(不動産取引完了までの期間)の多くは45日間に設定されているので、5月8日現在、エスクローに入っている物件はロックダウン開始後に入ったものがほとんどになっている。ハワイはようやく経済再開がすこしずつ見えてきた段階だ。このまま下げ止まらなければ1000件をきるかもしれない。
2点目に関してだが、ネコタ氏の読み通り、5月に入り徐々に新規リスティング数は増加している。今後もこのまま増加傾向に傾くのではないかと編集部では予想している。
最後に3点目に関してだが、コロナの影響が本格化する前に始まった取引が含まれていた4月のセールスと比較して、5月のセールスは一日の売買数が大幅に減少しており、いよいよロックダウンの本格的な影響が売買成立件数にもはっきり始めた。
一方、ハワイの外出禁止令の緩和により、各不動産会社のセールス活動も活発化するであろうし、売り手も買い手もある程度の経済的な見通しが立てられるようになり、不動産マーケットに動きが戻ってくるだろう。エスクロー数、セールス共に5月後半は下げ止まり、回復基調に向かうことを期待したい。
以上は、ホノルル不動産協会がまとめているデータのようにマルチリスティングサービス(MLS)システムから収集されたデータをコンピューターで解析したものではないので、必ずしも正確な数字とは言えないが、ロックダウン以降のハワイ市場の動向の一面を垣間見ることができると言えるだろう。
セーファー・アット・ホーム令後の不動産業の動き
5月7日、ハワイ州ではこれまでのステイ・アット・ホーム(外出禁止令)から一歩緩やかになったセーファー・アット・ホーム令(ソーシャルディスタンスの確保を義務付けた上で外出を一部緩和)へと変更になった。これに伴いロックダウンからの経済再開の次のステップとしてリテール業を含む複数のビジネスが再開された(ホノルル市は5月15日より再開予定)。
一方の不動産関連業に関しては、元々エッセンシャルサービス(重要業務従事者)に指定されていたが、ロックダウン後はオープンハウス(日曜の2-
今回のロックダウンでオープンハウスが行えないことは、ハワイの不動産関連業にとって一番の痛手であったが、他方でズームを利用したショーイングや相談や、3DバーチャルツアーなどITを活用したマーケティングを開始するのに良い機会となった。
「ハワイに住むネット」では、ほぼ毎日ハワイ不動産の最新売出し物件に注目した【今日の編集部ピックアップ物件】というシリーズ記事を連載中だが、ここでも新たな試みとして売出し担当エージェントによる内見動画を作成、公開している。これを見ればズームなどを利用したショーイングや3Dバーチャルツアーがどういう感じなのか、雰囲気をなんとなく掴んでいただけるではないだろうか。是非一度試して欲しい。