実録 ハワイのロックダウンVol.2 ”エッセンシャルサービス”とは?経済活動、何が止まり、何が動いているのか

実録 ハワイのロックダウンVol.2 ”エッセンシャルサービス”とは?経済活動、何が止まり、何が動いているのか

更新日 2020.04.01

ハワイは3月26日より、州全体で、新型コロナウィルスの拡大を止めるためのロックダウンに入った。ロックダウン後のハワイで、どんな業界は動き、どんな業界は止まっているのか。現地からの状況をご紹介するシリーズ記事、第2弾。

目次

ハワイ州の「Stay at home, Work at home Order」(外出禁止令)では、”エッセンシャルサービス”、つまり重要業務従事者は、出勤・通勤が可能だが、それ以外の業務従事者は自宅からの勤務となり、基本的な外出禁止命令が出ている。(通院・食料品や生活必需品の調達のための外出・また運動のための外出はOK。) ではどんな業種がエッセンシャルサービスとして指定されたのか見てみよう。
ロックダウンによって、
立ち入り禁止テープの
貼られたワイキキビーチパーク。
​​​​​

「エッセンシャルサービス」
=ロックダウン中も止まらない重要業務

ハワイ州によって「エッセンシャルサービス=重要業務」と位置付けられた業界・業務のリストは下記のようになっている。医療や社会インフラ、生活必需品を供給する業務、また社会的保護が必要な人のためのサービスが中心となっている。


 

【ハワイ州のエッセンシャルサービス一覧】

医療関連

ー医療業務と医療関連の施設

ー薬局・ドラックストア

食品・食材関連

ー食料品店、スーパー、コンビニ、ファーマーズマーケット、フードバンク、ペット用品店

ー配達またはテイクアウトで食品を提供する施設・レストラン

ー農業と漁業 食料

ー食料、シェルター、ソーシャルサービスを提供する企業

社会インフラ関連

ー銀行および関連金融機関

ーガソリンスタンド、自動車や自転車の修理事業、牽引サービス

ー工具・建材店、電気技師、害虫駆除業者、および家庭や企業で必要な安全性、衛生設備、および重要なサービスを維持するその他のサービスプロバイダー

ー建設および建設サービス

ー郵送、発送、配送サービスを提供する企業

ーコインランドリー、ドライクリーナー、工業用ランドリーサービス

ー葬儀、葬儀、火葬および関連サービス

専門家・メディア

ー法律、会計、不動産、その他のサービスを含む専門サービス

ーメディア 

教育・シニア・子供たち向けサービス

ー教育機関

ー保育施設

ー高齢者、大人、子供のための在宅ケア 住宅施設とシェルター

輸送・ホテル

ー航空会社、タクシー、その他の民間輸送業者

ーホテルとモーテル

その他 

ー在宅勤務に必要な商品を提供する事業

ー他の必須事業に対して供給する事業

ー重要な労働組合機能

ー認可された私立探偵、警備員および類似の機関

ー動物に食料、シェルター、その他のニーズを提供する企業 

 

こうして見てみると、意外と多くの業界が、ロックダウン中でも動いているといえる。

医療は当然のことだが、社会インフラとなる業界、また社会的弱者になる老人・子供・貧困層などのシェルターなども止められていない。

空輸やホテルなどは、エッセンシャルサービスなのだが、実質的に観光客の流入が止まった今、一時休業を余儀なくされるホテルが増え、エアライン各社も大幅減便で対応している。

不動産関連も動いている。金利が下がっていることから買いたいという人もいて、エスクローなど不動産取引の仲介企業も動いている。しかし、ソーシャルディスタンスを保つ観点から「オープンハウス」は中止になり、バーチャルオープンハウスに切り替わっている。

また、建設業もエッセンシャルワークであることから、建設工事は順調に進んでいるそうだ。
 

では逆に、エッセンシャルではない業務を見ていこう。
ロックダウン後、日中でも
ひとがいなくなったワイキキの
カラカウア通り。​​​​​

「エッセンシャルサービスでない業務」
=不要不急・ロックダウンで止まっている業務

いわゆる「不要不急のサービスや商品を扱っている業務」、また新型コロナウィルス拡散に影響しそうな密室性・接触性の高い業務は、今回のロックダウンで休業や事業縮小を余儀なくされた。

レストランの店内での飲食・バー・クラブ

レストランは、持ち帰り・デリバリーでの営業に限り、エッセンシャルサービスとして認められ、店内飲食サービスの提供が止められた。ホテル内にあるレストランや、ショッピングモール内のレストランなど、ホテル客や観光客を相手にビジネスをしていた店舗は休業を選択するしているところが多い。持ち帰り・デリバリーのみで頑張っている多くのレストランが80%以上の売上ダウンを喫しているという。

生活必需品以外の小売業

食品や生活必需品・薬品を扱う店以外のファッション、お土産、ジュエリー、ラグジュアリーブランド、雑貨店などはすべて閉店となった。

ビューティ系サロン

マッサージ・スパ・ヘアサロン・ネイルサロンなどの美容系のサロン。

アクティビティ・ツアー・エンターテインメント

観光客向けのツアーやアクティビティ、映画館などのエンターテイメントも、すべて休業となっている。

ゴルフ場・スポーツクラブ・テニスクラブ

4月1日からは、ゴルフ場、テニスクラブ、スポーツクラブなどもクローズになった。




 

ハワイを支えている観光業そのものが、本来、ラグジュアリーなもの、不要不急なものであるため、今まで世界中からのお客様をおもてなししてきたフロントラインの人々が、もっとも今回のロックダウンによる直撃を受けている。 


リストとしては、「エッセンシャルサービスに入らない業務」のほうがうんと短いが、実際にハワイ経済に与えるインパクトの大きさは、リストの長短と全く関係ない。たとえば、ホテル業界やエアライン業界は、エッセンシャルサービスに入っているが多くが休業、休航などで、解雇や一時帰休などを行っている。

ハワイツーリズムオーソリティによると観光関連業務に、ハワイ州の人口は約100万人のうち約22万人が観光関連業に従事しており、その22万人の約25%の57,000人がここから数カ月の間に職を失う可能性があると言われている。

ホスピタリティ業界と、そこで働く多くの人々が、ハワイを守るシールドとして最大の犠牲を払ってくれたことを、我々は忘れないだろう。

世界中からいろいろな人が集まる場所であったハワイゆえに、感染が広まり始めた初期から踏み切られたハワイ州のロックダウン。

次は、ロックダウン中のハワイの生活を在住者目線でお伝えする。

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