9月24日に解除されるロックダウン
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、4週間に渡る2回目のロックダウンを経験したハワイ・ホノルル。9月24日に1ヶ月間のロックダウンが解除されるが、ホノルル市からは市中感染をコントロールしながら市民の経済・社会活動を安全に再開させる為に、段階的のための再開計画が発表された。
ホノルル市が発表した再開計画とは?
今回、ホノルル市が発表した段階的解除では、第1段階から第4段階までの4段階があり、一週間ごとの感染者数の平均値で段階が決定されることとなった。また基本的に各段階は四週間続くことになっている。
9月24日時点では、ホノルル市は第1段階から、スタート。
新規陽性者の7日平均が100名以下、テスト受診者の陽性率5%以下が基準となる。
第2段階に移行するには、第2段階で設定されている平均感染者数を2週間連続で保つ必要があり、それを達成できない場合は、第1段階に留まることになる。また、第2段階にあっても平均感染者数が増えた場合は、第1段階に逆戻りするというものだ。
ハワイ州もホノルル市も、今までのロックダウンやその解除については基準を明確にして来なかった。そのため、どの業界がその対象になるのか、いつなるのかの発表も常に突然行われ、しかも実施は30時間後といった猶予のなさで、事業者も住民も非常に高い負荷がかかった。今回ホノルル市が、全市民・全業界にわかる形で、先を見越せる基準を初めて発表したことは評価できる。
また、7日の陽性者数の平均をローリングで見ていくという基準としたこともホノルル市の姿勢の転換といえるだろう。「ある程度のアップダウンがあること」「長期に渡って陽性者がいること」を織り込み、今までの「完全封じ込め志向」から、この新型コロナウィルスと長く付き合って行く「共生志向」への転換だ。
9月24日から「再開計画の第1段階」が開始
さて、具体的にロックダウンの解除・再開計画がどのようになっていくのか、見ていこう。現在の感染者状況をベースに、9月24日「再開計画の第1段階=TIER1」からスタート。添付したチャート内の左端の赤い枠内が第1段階の再開プランとなる。
小売店の営業再開
エッセンシャルでない小売店の再開も今回OKとなった。店舗は5割の収容人数で営業が可能となる。
レストランでの店内飲食再開
ロックダウン期間中、レストランはテイクアウトとデリバリーだけで営業していたが、最大で通常の5割の収容人数で店内飲食の営業再開が可能に。ただし一つのグループは5人以下に限定され、同居家族のみに限定される。また予約必須で連絡先の詳細を伝える必要があるといった条件が追加された。
ヘアサロン・理容室・ネイルサロンの営業再開
ヘアサロン・理容室・ネイルサロンは、人数制限やマスク着用義務などの制限付きで営業再開。ただし、パーソナルサービス(マッサージ)などは、屋外でのみOKとなった。
不動産業のショーイングなどの営業活動再開
不動産業のショーイングなどの営業活動も、屋内に滞在する人数が最大5名までで可能。
公園、ビーチ、トレイルの再開
公園、ビーチ、トレイルでの最大5人までの集まりが可能となる。この5人は同居家族である必要はない。
その他、条件付きで再開される経済・社会活動
- 可能な限りのテレワークが引き続き推奨。
- 社会的な集まりは5人以下(葬儀は10名まで)
- マッサージなどのパーソナルケアは屋外でのみ営業再開
- ボートツアーやスカイダイビングは5人までの参加人数で営業再開
- ジムやフィットネス施設は屋外に限り、5人までの参加人数で営業再開
- 博物館、アトラクション、動物園は営業再開、ただし屋内では5割の収容人数に限る
- 映画館は営業再開だが5割の収容人数、ただし食べ物や飲み物の提供なし。
- ボウリング場は5割の収容人数で開場。1グループは5人まで
- 宗教活動は5割の収容人数で可能
閉まったままのビジネスや活動は?
- バーやナイトクラブは営業は引き続き休止
- ゲームセンターの営業は引き続き休止
- ヘリコプターツアーは引き続き休止
- バケーションレンタルなどの短期賃貸は引き続き休止
ハワイ・ホノルルでの感染状況(2020/9/22時点)
ホノルル市からロックダウンの段階的解除計画が発表された9月22日時点でのオアフ島内の1日の感染者数は55名。つい二週間前はまだ3桁台であったが、ここ一週間程で2桁台に落ち着いてきた。再ロックダウンされた8月27日辺りの感染者数が1日250人から300人越えの間で推移していたことを考えると、感染拡大は確実に落ち着いてきている。また市中感染率が1.9%と低く抑えられているのも良いニュースだ(症状のない人も希望で受けられる大量テストの結果は0.6%とさらに低い)。
この状況がロックダウン解除以降も続き、次の解除第2段階に進める日が待たれる。
更なる解除に向けて
今回の段階的解除計画の発表時、カーク・コールドウェル市長は、この措置が市民の安全と経済活動のバランスをとる為であること、そして1回目のロックダウンが解除後に、市中感染の増加が増加してしまったという同じ失敗をもう繰り返したくない、という意図があることを強調した。
そのため、2回目のロックダウン解除は、1回目の解除よりも慎重に、厳しい条件かが進める計画となっている。また今後も、無症状者も含む大量PCR検査は継続、感染拡大が見られるコミュニティへの働きかけ、コンタクトトレーサーの補充などで感染食い止め策に取り組む。またトレーシングアプリの導入計画もされており、一日も早い実装が待たれる。
2度のロックダウンで、閉店や解雇など経済に甚大な被害が出たホノルル市。そんな中、ハワイ州は10月15日から待望のハワイへの観光再開のための、旅行前の72時間前PCR検査プログラムをようやくスタートする。
旅行者の増加でホテルやツアーなどホノルルの主幹産業である観光経済を復活させつつ、コミュニティの健康を守るという、かつてハワイが直面したことのない難しい局面が、本格的にこれから始まる。
実録!ハワイのロックダウン 記事一覧>
本記事↓